本連載シリーズは新しいスマートコントラクトブロックチェーンであるテゾス(Tezos)を特集しています。Tezosについての基本的な概要はこちらのコラムで配信しました。
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Tezosの特徴として、金融分野での利用が進んでいます。その流れの一つとして、最近では証券トークン関連の事業者の間でTezosのブロックチェーンの統合が進んでいます。
証券トークンの業者が続々とTezosのブロックチェーンを統合
例えば、その一つは証券トークンの発行をサポートする企業のセキュリタイズ(Securitize)であり、同社はイーサリアムやハイパーレッジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)以外にTezosのブロックチェーンのサポートを開始しています。
Securitizeは、証券トークンに関わる業務を垂直的にサポートするサービスを提供するアメリカの企業で、主に発行体とブローカーディーラーを顧客とします。SaaS形式のサービスでブロックチェーン上で証券トークンを発行して、ブローカーディーラーの適性確認、投資家の制限執行、税務報告などの機能を持つことを特徴としています。
2019年の資金調達ラウンドでは、野村證券やMUFG、KDDI、三井物産などが出資しており、日本展開を戦略的に視野に入れており、前述のMUFGコンソーシアムにも参画をしています。
証券トークンを発行したい企業は、同社のサービスで発行することができ、その使用ブロックチェーンの選択肢の一つがTezosです。
出典:Securitize )
また、Securitizeと同業にあたるテキサスを拠点とするVertalo社は、同じく企業の証券トークンを支援することをビジネスにしていますが、同社ではデフォルトのブロックチェーンをTezosとすることを決めたとしています。これまでイーサリアム上で発行した証券トークンはTezosのブロックチェーン上にコンバートすることもできるようにしているといいます。
同社の最高経営責任者(CEO)であるデイヴ・ヘンドリックス(Dave Hendricks)氏によると、Tezosを選定した理由として、複数のスマートコントラクト言語が利用できることと、セキュリティが要因であると回答しています。
また、同じくアメリカを拠点にする証券トークン発行から流通市場の構築まで行う企業のtZEROとTezos Foundationは提携して、イギリスはマンチェスターの不動産をトークン化する計画を発表しています。
規模は5億ポンド(約700億円)で、2020年の第1四半期に予定されています。その他の例としては、ドイツはベルリンを拠点とする証券トークン発行企業のThe Fundament GroupもTezosのサポートを発表しています。
Tezos採用の背景
このような世界中の証券トークン発行事業者がTezosのブロックチェーンの統合を進めている背景としては、Tezosの形式検証可能なスマートコントラクト言語の他にも、イーサリアムへの不安もあることが想定されます。
イーサリアムは今後数年間の時間をかけてプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行、Ethereum2.0へのアップデートを行いますが、同アップデートは全く新しいブロックチェーンとしてローンチされます。つまり、証券トークン事業者を含むアプリケーションレイヤーもいずれ新しいブロックチェーンへの移行を強いられます。それを不安視している事業者は少なからず存在しているはずです。
勿論、Tezosの金融領域での適用をTezos Foundationが推進していることも影響していますが、この金融分野でTezosのポジショニングが確立されるかは2020年内である程度明らかになるのではないでしょうか。
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