紙伝票の撤廃などを計画

国内大手『ニトリホールディングス』の物流会社は、ブロックチェーンを使用した新システムを今秋にも稼働させる計画だ。日経新聞が報じた。

ニトリグループの物流を担うのは、物流子会社のホームロジスティクスで、ニトリの550を超える店舗や、拠点間の配送から、個人宅までの配送、家具の設置などを行う。

ニトリは米国や中国、台湾にも進出しており、海外拠点を通じた国際物流も手掛けている。また、ホームロジスティクスはニトリ内部だけでなく、外部にもその物流のソリューションを提供しており、年間20億円ほどの売上を記録する。

日経新聞はブロックチェーンを採用した狙いを3点に分けて解説。一つは紙伝票の撤廃、運送会社との情報共有の強化、最後が積載率の向上だ。

紙伝票を撤廃し、紛失、誤記のリスクをなくし、ドライバーなどの個々のスキルを共有し人員配置の最適化を目指す。積載率の向上については、ブロックチェーンを用い、トラックの空荷状態を減らす考えだ。

このうち特に一つ目に対しては、改ざん不可能なブロックチェーンの情報の正確さが活かされる分野だ。

こういった最先端の技術を取り入れた物流のノウハウを蓄積、外部向けの売上を2030年までに数百億円規模に伸ばすことを目論む。

ホームロジスティクスの深作康太CIOは日経に対し、「家具の配送に限らず、宅内清掃などのサービス事業にも展開できる」と期待を込めて語っている。

ニトリにブロックチェーンの技術面で協力するのはブロックチェーンのコンサルや開発などを行う日本のLayerXだ。

今年2月に東京で行われたイベントの登壇で、深作CIOらは、LayerXは単にブロックチェーンの設計を担うのではなく、物流に対しより広い範囲で携わっていることを明らかにしている。

新型コロナの影響は

ニトリといえば、33期連続で増収増益を達成、デフレの勝ち組として語られることも多いが、6日に行われた決算説明会では、新型コロナウイルスの影響による減収減益が懸念される中で、増収増益を目指していく考えを表明した。

また、緊急事態宣言に対しては、生活に必要な商品を取り扱っていることを理由として、一部店舗を除き通常通り営業を行っていく方針を表明している。

ニトリはニトリ会長による経済予測の的中率のほか、1990年代のバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックなど、不動産価格が大幅下落したタイミングでの投資で成長してきたエピソードが有名だ。

新型コロナウイルスの終息の見通しは立たず、想定を超える売上減少も十分にありうる。ブロックチェーンのような新技術の活用によるコストの削減と、外部向けの物流事業の売上強化は、ニトリの行く末に大きな影響を及ぼしていく可能性がある。

参考:日経新聞

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