現在、分散型取引所(DEX:Decentralized Exchanges)のネイティブトークンが生み出す利益は、中央集権型取引所の独自トークンの利益を大きく上回っています。DEXトークンの大幅な価格上昇によって、2020年初来からの出来高は約30億ドル(約3,300億円)に達し、2019年の記録を塗り替えています。
ハイパフォーマンスを記録するDEXトークン
暗号資産(仮想通貨)分析プラットフォームのメサリ(Messari)によれば、主要なDEXトークンの過去1年間における平均上昇価格は取引所トークンの平均上昇率に比べて、5倍にまで達しています。この格差は、より幅広く開放的な仮想通貨市場を求める投資家がDEXトークンの高い実用性を認識しているためと考えられます。
DEX tokens have yielded 5x the returns compared to centralized exchange tokens YTD$KNC: 420%$LRC: 331%$AST: 205%$BNT: 180%$IDEX: 113%$ZRX: 97%
Full analysis: https://t.co/ZYNcnlpuew pic.twitter.com/MCtnIloqup
— Messari (@MessariCrypto) June 10, 2020
Messariのレポートによると、2020年6月11日時点で最高のパフォーマンスを見せているカイバーネットワーク・トークン(KNC:Kyber Network)の価格は年度累計で550%上昇し、直近24時間でも28%の値上がりをしています。他トークンを見ても、ループリング(LRC:Loopring)が385%、エアスワップ(AST:AirSwap)とアイデックス(IDEX)が共に270%の上昇となっています。比較して上昇幅が小さいものでも、バンカー(BNT:Bancor)は226%、ゼロエックス(ZRX:0x)も116%の値上がりとなり、DEXトークン全体を平均しても240%以上の価格上昇が起きています。
一方でMessariは取引所トークンに関するデータも発表しています。3月12日に大幅な値崩れを起こしたフォビトークン(HT:Huobi)は、2020年初めの価格からほぼ2倍にまで回復を見せていて、他にもビットフィネックス(Bitfinex)のレオ(LEO:UNUS SED LEO)や、デリバティブ取引所FTXのFTXトークン(FTT)も50%程度の値上がりを見せています。しかしDEXトークンに比べると、いずれも小さい上昇幅となっています。
DEX利用の勢い強まる
成長力と出来高の点では、依然として中央集権型取引所がDEXを凌駕していますが、より多くの仮想通貨投資家がDEXプラットフォームで取引をするにつれ、DEXは徐々に推進力を強めています。
こうした動きの要因としては、主にCEXプラットフォームを対象にした、厳しい仮想通貨取引規制が考えられます。例として、2019年にビットトレックス(Bittrex)やポロニエックス(Poloniex)は、いくつかのアルトコイン取引ペアについて、アメリカ国内での取り扱いを中止したり、バイナンス(Binance)はアメリカ国内のユーザーに対する独立した取引所を開設するなど、規制へと対応しています。
ニュースサイトであるBTCManagerによると、同年2月にDEX取引所の出来高は62%増加しており、3億7,200万ドル(約409億円)を超え、過去最高を記録したことが発表されています。さらに遡ると、2019年11月にはDEXにおける取引量が1週間で7,500万ドル(約82億5,000万円)を超えています。
参考
・DEX Tokens Providing Greater Yields than CEX Coins in 2020
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