バイナンス(Binance)やOKExなど世界の取引所ビジネスをデータで俯瞰する

本コラムでは、バイナンス(Binance)やOKEx、FTXなど世界の取引所ビジネスをデータで俯瞰することを試みます。取引所ビジネスの勢力図を大雑把に理解してもらえれば幸いです。

現物市場の各社の取引量(2020年6月)

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上記は、2020年の6月現物市場の各社の取引量です。バイナンスの取引所ビジネスは絶好調であり、最近ではトレーディングシステムの改良も行い、ビジネスとテクノロジーの開発に余念がありません。また、Binance Charityと称して世界各国にマスクを送るなど、慈善活動も行っています。

バイナンス以外では、日本では注目度の低いOKExのシェアがコインベース(Coinbase)の2倍近い水準で推移していることで、OKExが発行している独自トークンも2020年には価格を大きく伸ばしています。

また、韓国系のビッサム(Bithumb)やアップビット(Upbit)が日本最大手のビットフライヤー(bitFlyer)をはるかにしのぐ出来高を誇っていることも注目されます。日本の取引所市場は世界に対して完全に影響力を失ったというのが実際の状況です。欧米からの視点ではアジアの暗号資産市場が注目されることがありますが、ほとんど中国と韓国の2国のみと言って良いでしょう。

この中ではコインベースとクラーケン(Kraken)が非中国系の老舗取引所の中では安定した出来高を保有していますが、両者とも法定通貨建てペアを所有していることが特色です。各取引所の対バイナンス比は以下のとおりです。

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なお、取扱トークンの数は以下のとおりです。執筆時点で最も取り扱いトークンが多い取引所はHuobiとなっています。

取引所 Binance Huobi Coinbase Bithumb Kraken Upbit OKEx bitFlyer
トークン数 199 224 32 104 40 130 145 5

顧客の預かり資産残高

次に顧客の預かり資産残高に目を向けましょう。The Blockの報道によればCoinbase(984,300BTC)、Huobi(413,000 BTC)、Binance(318,000 BTC)、OKEx(268,000 BTC)、BitMEX(217,000 BTC)の順で多くのビットコインを保管しています。

数字に着目していただければ分かりますが、Coinbaseが二位のHuobiと倍以上の差をつけた量のビットコインを保管しています。CoinbaseはBinanceほどのアルトコイン取引ができないにも関わらず、ユーザーのビットコイン出金を抑えられている点で、厳しい上場プロセスが敷かれている日本の取引所にとっても参考となるデータです。機関投資家がCoinbaseを使っている割合が多いからと考えるのが素直に推察できる要因であると言えます。

参考
Coinbase is the largest bitcoin holder among exchanges, followed by Huobi and Binance

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