既存金融機関もDeFi(分散型金融)に関心?IBMがサポートする意欲を示す

DeFi(分散型金融)が盛り上がりを見せています。DeFiは、さまざまなオープンソースの金融プロトコルを組み合わせて、金融サービスを構築できることが特徴です。

盛り上がりを見せるDeFi

例えばメイカーダオ(MakerDAO)のプロトコルで発行したステーブルコインのDAIを、回バーネットワーク(KyberNetwork)のプロトコルを利用して他のトークンとスワップができたり、コンパウンド(Compound)でレンディングが行えたり、一つ一つのプロトコルは単一機能でも、それぞれを組み合わせて金融取引を行えます。

また、それぞれのスマートコントラクトはイーサリアム(Ethereum)のパブリックブロックチェーン上で展開されているため、開発者は一切の提携関係などを持たずとも、CompoundやKyberNetworkなどあらゆるプロトコルを自由に組み合わせて、独自の金融サービスをユーザーに提供できます。

また、金融取引はスマートコントラクトで実行され、特定の第三者に資金を預ける必要性もないため、コードの脆弱性の懸念さえなければ、聞き覚えがない会社が展開する金融サービスでもユーザーとしては比較的軽微なリスクで使用できることが特徴です。

こういった特徴は、さまざまな金融サービスを連続的に生み出すことに繋がり、イノベーションの交換速度が異常に早く、DeFiのエコシステムが指数関数的に成長することに繋がっています。現在、これらのサービス群はイーサリアムの最も主要なユースケースとなっています。

2020年現在では暗号資産のヘビーユーザーのみでこういったDeFiが利用されているのが現状ですが、より社会的な金融システムの中に組み込まれる可能性も十分にあります。おもちゃと思われていたものが世界を変えるというような現象は、これまで繰り返されてきたことで、パーソナルコンピュータもWebもそれに当てはまります。そしてこれらは、消費者側から普及して、どこかの時点で世界を変え始めるというプロセスを辿ります。この法則がDeFiにも当てはまる可能性があります。

IBMが銀行の分散型金融(DeFi)参入をサポートへ

先に挙げた法則を示唆することとして、IBMがDeFiのサポートに意欲を示したことが報道されました。金融機関が、DeFiに関心を持つ兆しは既に始まっています。

暗号資産メディアのCointelegraphのインタビューによると、IBMのデジタルアセット事業のディレクターであるニティン・ガウル(Nitin Gaur)氏は、「金融機関はDeFiを理解する必要があると私は考えている。なぜなら、それは既存のビジネスモデルのビジネスを脇に追いやり、取って代わるポテンシャルがあるからだ。そして、そのリスクこそが銀行がDeFiに関心を持つべき理由だ」と述べています。

DeFiは金融機関に一連の規制上の課題を残すものの、IBMはクライアントを支援することが出来ると述べています。同氏によると、銀行がこの分野で成功するためには、ブロックチェーンのグローバルな性質を理解する必要があるだろうとも述べています。既に述べているように、DeFiは、複数のスマートコントラクト・プロトコルを複合して金融サービスを展開できることが特徴で、金融機関はこの性質を理解して製品を作るべきだと述べています。

また現在のDeFiのエコシステムは、ほとんど暗号資産を取引することで経済圏を形成しています。ゴールドやGAFAの株式と価格が連動する仕組みが用いられている資産も取引されていますが、現物資産はペグされていません。こうのような背景があるものの、セキュリティトークンもその多くはイーサリアムのスマートコントラクトを基盤にしていることが多く、このようなDeFiのアプリケーションとの統合は技術的観点だけであれば容易です。

もしそれが実現すると、セキュリティトークンをレンディングしたり、担保にしたアセットファイナンスができるなどさまざまな取引機会が増えます。セキュリティトークンへの取り組みを示している金融機関は、より中期的な探索分野としてDeFiに目を向けるべきであることは当然であると言えるでしょう。

このように既存金融機関もいずれDeFiを統合するはずです。これについてどのように既存金融機関は向き合うことができる可能性があるかは下記のレポートでより詳細な検討を行っています。

関連:既存金融機関はDeFiをいかに統合できるか その可能性や懸念や実装ケースを考える

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