イーサリアムのコンスタンティノープル遅延は今後どのような影響を与えるのか?

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアム(Ethereum)は2度目のコンスタンティノープル延期から、ブロック #7,280,000 で実装が決定。すでにディフィカルティボムによってブロック生成時間が一定ではないため、おおよそ2月27日前後になるという計算となっています。

イーサリアムの今後の開発は今回の度重なる実装遅延において問題にはなりませんが、今回のコンスタンティノープル遅延の影響を考察しました。

コンスタンティノープルの遅延後の処理

まずイーサリアムデベロッパーが行わないといけないことは、メインネットに実装する前にテストを行うテストネットのRopsten(ロプステン)を再度ハードフォークしなければなりません。ロプステンのコンスタンティノープル実装は2018年10月14日に行われており、ここでクライアントのGethとParity間でフォークが発生。元々コンスタンティノープルの実装を延期した理由となっていました。

テストネットではすでにEIP-1283が実装されているため、今回の2度目の延期理由となるEIP-1283を取り除くフォークを実装する必要があるということです。メインネットではフォークを延期したので、EIP-1283を取り除いた実装を行うという形になります。

*テストネットとは・・・メインネットとは別に存在するイーサリアムチェーン。テストネットのETHは本来のETHと違い、普段取引されているものとは異なるテスト用。

関連:イーサリアムの大型アップデート「コンスタンティノープル」実装が延期、遅れる理由とは?

ディフィカルティボムの影響

イーサリアムには、コンスタンティノープルのような大型アップグレードの際に、ERC20トークンやDapps、マイナー、投資家などのエコシステム全体が移行するためにディフィカルティボムが実装されています。

今回のコンスタンティノープル遅延で、本来はディフィカルティボムの影響を受けずに実装されている予定であったものの、マイナーはブロック生成時間の増加により1日の報酬が減ってしまうことになります。また、送金やコントラクトを動かすのにも最大で2倍の時間がかかると見られます。

現在のバージョンであるビザンチウムでは、ディフィカルティボムの影響を意図的に30秒まで待ったため、1日に発行される新規ETHの量が半分になるという結果になりました。ですがこれは、今回実装されるEIP-1234で33%新規発行ETHが減少されるため、マイナーにコンスタンティノープルに確実に移行させるインセンティブを与えるという意味ではむしろ好条件であると言えます。

出典:https://etherscan.io/chart/blocktime

コンスタンティノープル遅延の価格影響は?

2度目の延期が決定したのは、1月16日の日本時間5:00amで、ここから下落トレンドが開始していることがわかります。また、1月28日のビットコイン下落に伴い、マイナー売りと見られる下落も見られます。

ですが、1月末からはディフィカルティボムで少しずつ1日のETH発行数が減少していくので、自動的に供給が減少していくことになります。通常のブロック生成時間が約15秒のとき、1日に生成されるブロックは5,760ブロック、1ブロックの報酬が3ETHなのでつまり

5760 * 3ETH =  17,280ETH

1ETHが11,000円の時、1.9億円ということになります。ブロックタイムが20秒の時は4,320ブロックなので12,960ETHで約1.4億円、ブロックタイムが30秒の時には半分となる9,500万円にまで売り圧が下がることになるのです。

従って、市場の構造である需要と供給の均衡が崩れ、需要 < 供給という状態が自然に作り出されることになるので、価格面においてはデフレの影響を及ぼすという利点もあることに注意が必要です。

出典:TradingView

結論と考察

コンスタンティノープルの実装は本来、EIP-1234によってデフレモデルへと移行されることで、ETH価格の上昇をはかる意図があったものの、ディフィカルティボムにより急速なデフレモデルへと移行する形になりました。

市場の反応としては、ビットコイン現物で決済されるBakktの上場延期なども含め、延期は避けたかったものでしょう。ですが、EIP-1234の実装で33%がいきなり減少するより、ディフィカルティボムの影響から移行するという形はより自然であると言えるため、価格影響に注意してETH取引を行う必要があります。

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