価格が上昇するビットコイン(BTC)と米ドルの関係

ビットコイン(BTC)の価格は、2019年6月下旬までの3カ月期間に約140%も上昇しています。この間のビットコインは、4月の4,000ドルから6月には一時1万2,000ドルにまで上昇しました。そして時価総額は1,920億ドル(約20兆7000億円)に達しました。ビットコイン価格がこのように、世界の準備通貨である米ドル(USD)に対して上昇していることは、逆にUSDの購買力が何と170%も下落していることを物語っています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

ドルは必要悪のインフレーションによって左右されてきた

USDの価値、すなわち購買力は実は、1913年以来下降線をたどっています。価値の下落は、米国政府がドル増刷に走ったことに加えて、需要増あるいは供給制限が引き金となって起きたインフレに起因します。

1913年当時の100ドルは、今日に商品購入すれば2,500ドル以上もの食料、衣類、その他日用品を買うことができました。第1次世界大戦(1914-18年)後のハイパーインフレーションによって、USDの価値はさらに大きく下落し、その後さらに世界大恐慌(1929年10月)を経験した後、第2次世界大戦後に突入するという、USDにとって好ましくない結果になりました。

インフレーションは経済を拡大するための必要悪です。米連邦準備制度理事会(FRB)はトランプ大統領の下で、インフレ目標率を2%に設定しています。FRBは金利を低く抑えことによって、消費行動を刺激することで需要を伸ばし、究極的に経済成長を促そうという政策を採用しています。

USDの価値下落は生活水準の低下、貧富の差拡大を招く

USDがその価値を失うインパクトについて見ると、特に天然ガスや石油などの価格上昇によって、輸入価格全体が上昇する結果、市民の生活(消費)水準が一段と低下するという悪循環を招きます。

USDの価値喪失のもう1つの側面は、貧富の差が大きくなり、富裕層がますます富を得るようになり、全人口のトップ10%までの高額所得者が、全所得の50%を稼ぐ状況になりました。さらにトップ1%の高額所得者が、GDPの20%を稼ぐという異常な状態を生み出しました。超高額所得者が稼ぐ20%という数字は、過去100年に記録された最高の比率(%)ということです。

ビットコイン(BTC)はデフレ資産、金と同様の限られた資産

一方、ビットコインは、金(ゴールド)と同様にデフレ資産と定義することができます。ビットコインは金と同様に、価値の保存になるような方向に向かっています。ビットコインは金と同様に限られた資産であり、マイニング(採掘)される数が減っていけば、やがてあらかじめ決められている供給量のほぼ2100万BTCに達して、供給が止まります。

ビットコインの備蓄を生み出す主たる顕著な要因は、まさにそのデフレ的な要素によるもので、そのような状況の下では、支出を控えたいという気分になりますので、投機がビットコイン市場の不可分の一部であるのはそのためです。

ビットコイン(BTC)価格上昇は米中貿易戦争が及ぼす対ドル人民元下落の影響

特に最近、USDの価値の下落とビットコイン価格上昇の間の深い関係の裏には、もう1つ注目すべき要因が関係していると言われています。それは米中貿易戦争が及ぼす金融への影響です。つまりドル・人民元の為替変動が、ビットコイン価格上昇に大きく関わっているとの見方です。

フォーブス(Forbes)誌は「Currency Fears Drive Chinese Into Bitcoin」との記事の中で、対ドル人民元が下落すると、多数の中国人富裕層を含めてビットコインを買いだめする動きが強まると次のように分析しています。

「一部の専門家は、ビットコイン価格の急騰の背景に中国の人民元の下落があると分析する。中国の投資家たちは今後も人民元の下落が続くと見ており、手持ちの資金をドルやビットコインに交換しているという」

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
USD Drops 170% in Past 90 Days against Bitcoin that is Putting up Higher-Highs
Bitcoin Rally Has Legs Amid Trump Versus China

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