
SaaS(サース)はファイルストレージなどシンプルなサービスのほかに、近年ではワープロ、表計算、メーラーといったデスクワークで必要な機能がほぼ出揃っている状態です。
今回は、そんなSaaSの種類をカテゴリごとに分けて紹介します。
多くのサービスに無料試用期間があるので、気軽に試してみてはいかがでしょうか?
個人事業主や中小企業におすすめのSaaS
日本人の多くが利用しているアプリ「LINE」が提供するクラウドサービスとして注目されているのが「LINE店舗経理」です。
クラウド会計ソフト「LINE店舗経理」
無駄な支出を減らして会計業務の効率化を図ることができる便利なツールがクラウド会計ソフトです。
特に「LINE店舗経理」は、誰でも簡単に経理業務を行えるようシンプルにまとめられているのが特徴。個人事業主の方が面倒に感じる確定申告についても必要書類を簡単に作成できるうえ、そのまま確定申告書類をwebで申請することもできます。
個人事業主向け、法人向けの両方に2種類の料金体系が用意されているので、個人・法人問わず利用しやすいでしょう。
また、申し込みに特別な審査がないため、即日利用を開始できます。
法人向けアプリケーション開発SaaS一覧
開発者向けのクラウドサービスとしては、AWS(アマゾン ウェブ サービス)や Microsoft Azure(アジュール)などがありますが、ここではプログラミングの経験がなくても使えるアプリケーション開発のSaaSを一覧にしています。
GMOお店アプリ
新しいメニューの告知やクーポンの発行など、店舗用の集客ツールを手軽に開発できるのが「GMOお店アプリ」です。
ホスティング事業やソーシャルゲームで培ってきた技術がある、GMOならではのサービスで、利用者はオプションを組み合わせるだけで良い仕組みになっています。
スタンダートプランで最小限の機能を利用しても、月間 12,500円(サーバ代別)の費用が必要です。
UP Link(アプリンク)
株式会社USENによる店舗アプリの開発基盤が「 テキストテキストUP Link」です。店舗アプリで必要な、お知らせ機能やお店までのルート案内が、標準オプションで搭載されています。
こちらも、ユーザー(お店側)がアプリを構築するのではなく、要望を聞いたベンダー側が提案してアプリを完成させていく、コンサルティング的なビジネスモデルを展開しています。
Yappli(ヤプリ)
自社アプリの開発をサポートする「Yappli」は、店舗アプリだけでなく、企業のオウンドメディア(ニュースを発信するサイト)構築や、ECサイトの運営など、幅広い企業向けアプリに対応します。
公式サイトで紹介されている活用事例では、金融機関のほかに、学校で生徒や教員が情報共有するための仕組みを開発した案件が掲載されています。
Buildy(ビルディ)
クロードテック株式会社の「Buildy」は、ニュース配信など店舗向けアプリの開発が行えるSaaSです。スタンダートプランは月間 9,800円、無料プラン(※1)もあり、SaaSらしい取り組みと言えるでしょう。
※1 2019年7月現在は新規登録の受付を中断中
Monaca(モナカ)
iOS、Androidといったスマートフォンだけでなく、Windows向けも同時に開発できる「HTML5ハイブリッドアプリ」に対応しているのが「Monaca」。
ここまで見てきた、ビジネス向けアプリ開発のプラットフォームとは違って、JavaScriptなどの基礎知識が必要です。
国内企業のアシアル株式会社が運営していることもあり、日本語のマニュアル・チュートリアルなどは充実していますが、「Apache Cordova(アパッチ コルドバ)」などのフレームワークに沿ったコーディングが求められます。
そのため、全くプログラミング言語を使ったことがないユーザーにとっては、難易度の高いサービスだと言えます。
しかし、お店に特化したアプリと違って自由度が高く、費用面でも比較的安価です。スターンダードな「Proプラン」であれば、月間 2,000円から利用でき、2週間の試用期間も設けられています。
人工知能を採用した画像処理SaaSの種類
スマートフォンが普及して、高解像度の写真を日常的に撮る人も増えています。
しかし、素人の撮影した写真というのはどこかボケていたり、色合いが悪かったりと、加工しなければ使えないこともありますよね。
そんな写真を加工するアプリもSaaSで提供されています。
Creative Cloud(クリエイティブ・クラウド)
写真・イラストからアニメ・動画編集まで、映像関連のクリエイターを支えてきたAdobe(アドビ)の各アプリケーションも、SaaSサブスクリプション方式で販売されています。
同社のSaaSでは、PhotoshopやIllustratorといった、高機能アプリが定額で使えるだけでなく「クラウドストレージ」というファイルを保管できる場所や、自分が撮った写真を販売できる「Adobe Stock」というサービスも利用できます。
cre8tiveAI(クリエイティブAI)
輪郭がボケたイラストや、滲んだ写真もAI技術によって、綺麗な高解像度画像に修正してくれるのが「cre8tiveAI」です。手持ちの写真をブラウザ経由で送信するだけで利用でき、無料で使えるエントリープランもあります。
今後は、モノクロの写真をカラーに彩色する機能も準備中とのこと。同サービスを提供する株式会社ラディウス・ファイブでは、人工知能がイラストを描く「Creative AI 彩ちゃん」のプロジェクトも進行しています。
また、同様の画像処理サービスには、無料で画像の拡大やノイズ除去を行う「waifu2x(http://waifu2x.udp.jp/)」もあります。
オフィススイートのSaaS
ワープロ、表計算、プレゼンテーションといったデスクワークでの作業をサポートするのが「オフィススイート」。SaaSであれば、一つのIDでパソコンやスマートフォンといった複数の端末をまたいだ作業が行えます。
G Suite(ジースイート)
Googleによる一連のオフィスアプリをクラウド上で利用できるのが「G Suite」です。メール(Gmail)やワープロ、表計算といった機能が利用できるほか、有料プランを契約すれば、独自ドメインでの運用もできるようになっています。
特に企業の場合、「●●●●@gmail.com」といったメールアドレスではなく、独自ドメインの方が信頼感があります。
そのため、自社でのサーバ管理など、複雑な手続きを必要としないSaaSでの運用にメリットがあります。
Office 365(オフィス・サンロクゴ)
Microsoft社によるオフィススイート製品もSaaSで運用されています。ワード、エクセル、パワーポイントといったお馴染みのアプリケーションが、WindowsやMacだけでなくタブレットやスマートフォンでも違和感なく利用できます。
ATOK PASSPORT(エイトック・パスポート)
国内企業では、日本語ワープロソフト「一太郎」および、グラフィックソフト「花子」をリリースしているジャストシステムが有名ですが、アプリケーションのSaaS化は行われていません。
その代わり、日本語入力システムの「ATOK(エイトック)」をサブスクリプション方式で提供しています。クラウドに自分が使った辞書履歴の記録や、文章校正の機能を追加しています。
今後のSaaSは人工知能との連携が鍵になる
デジタルカメラで撮影された画像処理の新しい手法として「ハカルエーアイ」がサービスを開始しています。
工場の管理などでは、たくさんのメーター類を定期的にチェックして、数値を記録する必要がありますが、このサービスを使えば、スマートフォンで撮影すると人工知能が値を読み取り、集計データとして記録してくれます。
Dropboxのようなファイルストレージとして始まったSaaSですが、これからは人工知能・機械学習との組み合わせで付加価値を拡張していくことが考えられます。