- ヘッジファンド運用担当者による仮想通貨マーケット分析=最新版
- ヘッジファンド運用担当者が、現在の仮想通貨市場を分析。低迷するビットコイン相場の展望と、注目ポイントを解説する。また、過去の分析と現相場を比較した検証も行う。
本記事は、仮想通貨マーケットの分析レポートを配信する「reports@cryptact」上で寄稿されたものです。公式からの許可を受け、掲載を行なっています。
第1弾のレポート「ヘッジファンド運用担当者による仮想通貨市場分析 ~市況低迷から光明は差すか?~(18年11月27日掲載)」で指摘していた通り、過去3か月間でビットコイン価格は、36万円を下値として底堅い展開となっています。
その中で、「足元、急速に高まったボラティリティ(価格変動率)が再度落ち着いたタイミングが、底値からの反転の時期」とし、目安として執筆時点から2-3か月としていましたが、こちらも2019年2月21日時点でボラティリティは再度落ち着きを取り戻し、現時点では予想通りの展開となっています。今回は、第1弾レポートのフォローアップとして、現状の市況のアップデートを行い分析内容を掲載したいと思います。
今回の結論
- ビットコイン価格は2019年6月くらいまでは、40-50万円の範囲に落ち着くものと考えられる
- ボラティリティはさらにもう一段の下げが期待でき、それが見えてくると年後半にかけてビットコイン価格のレンジは一段切り上がるだろう
- 引き続きボラティリティには注目。ボラティリティが70を超えてくると一度マーケットを静観したほうがいいだろう
第一回目(2018年11月27日)の結論と現相場による検証
BTC価格はさらに15%近いダウンサイド(36万円)はあり得る
→(検証結果)2018年12月半ばに最安値として36万円をつけ、結論通りに。
一方で、今後12か月の下値は限定的で底値反転の時期が近い推察
→(検証結果)途中経過として現時点(3か月経過)では、さらなるダウンサイドは発生していない。
市場の落ち着きと共に中期的には、2017年12月につけた高値を目指す可能性も
→(検証結果)検証可能期間にまだ入っていない。
鍵となるのはボラティリティ。足元、急速に高まったボラティリティが再度落ち着いたタイミングが、底値からの反転の時期。目安は今後2-3か月と推察
→(検証結果)約3か月をかけてボラティリティは高騰前の水準に戻り、結論通りに。
前回のリポートの詳細はこちらをご覧ください。現時点のビットコイン市場の動きは、当社のほぼ想定通りの動きになっております。
現状のビットコイン市場の低迷は、過去にあった市場低迷と似通っております。特に2013年12月から起きた市場低迷は、現在の市場動向を見る上で、価格及びボラティリティの動きか非常に参考になる点が多く、それらを総合的に勘案して結論を導きました。
図表1は、2013年12月から2017年1月までの日次BTC価格とその30日ボラティリティ(年換算)を表しています。2013年12月16日のBTC価格を100とした場合に、この価格を日次で超えたのが2017年1月2日でした。
次に図表2は、直近のBTC高値である2017年12月16日の220万円を起点として、現在までの価格とボラティリティの推移を表したものです。
前回レポートの時点では、ちょうど足元ボラティリティが急騰しておりましたが(ピーク時105)、2019年2月19日現在ではボラティリティが図表2にある通り、完全に落ち着いた水準(2月19日時点41)に戻ってきております。
投資の世界では、ボラティリティが急騰しているタイミングでの高値あるいは底値を当てにいくのは非常に難しく、一歩引いてボラティリティの落ち着きを確認してから投資判断するのが一般的です。そういう意味では、現在の市場環境は3か月前と比較して投資判断するのにより適した時期かと考えられます。
そこで、前回の市場低迷時期において、ボラティリティが落ち着きを取り戻してからの1年後までの動きをピックアップしてみたいと思います。
図表3の通り、前回の市場低迷期ではボラティリティの高騰が落ち着いて以降、半年弱はBTC価格はほぼ横ばい(上下10%の価格変動)を維持しており、その後上昇を開始しました。期間中のボラティリティも通常の変動の範囲で健全な回帰性を見せて動いております。
これらの動きを参考に現在のマーケットに当てはめて考えると、当社ではもう一段のボラティリティの低下を期待しており、ビットコイン価格としては2019年6月くらいまでは40-50万円の間を動くものと考えております。
引き継ぎ注目はボラティリティであり、このまま落ち着きを見せるのであれば、前回レポートで指摘した通り、2018年年末の下げはいわゆるセリングクライマックスであった可能性が高まり、今後のビットコインの価格上昇の可能性がより高まるものと考えております。通常のボラティリティの変動も考慮すると、値としてボラティリティが70を超えてきた場合に、いったん様子見に入った方がいいかと考えます。
なお、ご参考までに2011年8月27日から2012年7月18日、及び2013年4月9日から2013年11月5日までの市場低迷期もチャートも図表5及び図表6に載せております。
これらは前回や今回の低迷と比べてかなり短期間で高値に戻しましたため、比較対象として必ずしも近いものではありませんが、2度目のボラティリティ急上昇が落ち着いたタイミング(図表6の期間では1度目は緩やかでした)から、それぞれ3か月、6か月間はほぼ横ばい圏でした。
今回は第1弾のレポートの検証及びアップデートを行いました。基本的に前回のレポートの見立て通りの展開となっているため、大筋の結論に変更はございません。中長期の目線でみれば、現在が市場の底値圏であり、今後2年程度を目安に高値圏への上昇も十分にあり得ると考えております。
今回はそこに短期的な視点として、向こう3-4か月は現在の価格水準(40-50万円)を維持するであろうことを追加しており、引き続きボラティリティに注目していただければと思います。
市場分析レポートTOPページ:「reports@cryptact」
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Cryptactは、bitFlyerと業務提携したことでも有名な仮想通貨の実現損益計算サービスtax@cryptactや、ポートフォリオ管理ツール、portfolio@cryptactをサービス提供している企業。
創業メンバー自身が行っていた仮想通貨取引の損益計算を簡単にするために、2017年に自用目的で開発したのがtax@cryptactの始まりで、機関投資家が利用するような高度なシステムを個人でも使用できるサービスとなっています。
今回CoinPostでも掲載されたレポートは、「reports@cryptact」のサービスとして、元ヘッジファンド運用担当者による仮想通貨マーケットの分析レポートの配信しています。