イーサリアム(Ethereum)の大型アップデートが完了、ブロック報酬削減マイナーへのインパクトを数字で理解

日本時間3月1日、早朝にイーサリアム(Ethereum)の大型のアップデートが実施されました。ハードフォークによって、Constantinople(コンスタンティノープル)とSt. Petersburg(セントピーターズバーグ)が実施されました。

どのような実施が施されたかについては、コインチョイスのこちらのコラムが詳しいです。
関連:イーサリアム(Ethereum)ハードフォークが2019年1月14日に実施、その概要とは?

本コラムでは、投資家やトレーダーが知っておくべきことを書きます。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

ブロック報酬削減のマイナーへのインパクト

アップデートでは、ブロック報酬がそれ以前の3ETHから2ETHになりました。マイナーにとっては、同じだけのコンピューティングコスト(電気代)を投下していても、2/3しか得れないことになります。現在100ドル分のETHを原価80ドル分で掘っていたマイナーは、66ドル分しか掘れなくなり、損益分岐点を割り込み、差分の14ドル分が赤字になることを意味します。

つまり、ETHの価格が上がらない限りは、マイナーは撤退をすることになります。

66ドル分のETHが100ドル分の価値まで上昇をするには、50%の値上がりが必要です。これは、現在の価格から50%の値上がりをしないと、イーサリアムのマイナーは、これまでと同じ報酬を得れないということです。

イーサリアムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行のため、マイナーの役割を徐々に減らす方針ですが、この数字はイーサリアムマイナーの厳しさを表していることがよく理解できるのではないのでしょうか。

大規模なGPUが余りが起きる可能性

なお、執筆時点ではハードフォークを境にハッシュレートが低下をした様子はなく、かつ価格も上がっていないので、マイナーが赤字で掘っている状況であると推察できます。

イーサリアム(Ethereum)の大型アップデートが完了、ブロック報酬削減マイナーへのインパクトを数字で理解出典: Etherscan

トレーダーや投資家は、これまで新規の供給されるインフレーションレートが3ETHから2ETHになることを意識しており、1単位あたりのETHの希少性が高まることを期待しています。これについては、下記の記事が詳しいです。

参照:ETHを投資対象として検討する。将来価値を考えるために見るべき指標、考え方

しかし、期待通りにETHの価格が上昇をしなかった場合は、マイナーが撤退をしてイーサリアムのネットワークのハッシュレートが低下するでしょう。マイナーの役割を徐々に減らすことはイーサリアムの方針であることから、ハッシュレートが低くなっても今のイーサリアムではファンダメンタルの低下とは判断されないはずですが、イーサリアムのネットワークに存在していたGPUが余ることになります。そのGPUは恐らく他のGPUで採掘できるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)コインに割かれることになるはずです。

今後、イーサリアムではPoS移行に向け、マイナーの報酬はさらに減ることになり、そのたび大規模なGPUが余りが出ることになりますが、そのときにどのようなことが起きるか予想をするためにも、Constantinople(コンスタンティノープル)のハードフォークが起きた3月現在の動向は注視しておくと良いでしょう。

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