スマートコントラクトのレンディングの利点と課題とは?

MakerDAO(メイカーダオ)はステーブルコインのプロジェクトという側面もありますが、共用のスマートコントラクトにETH(イーサリアム)を預託することでそのステーブルコインを発行できる、レンディングプラットフォームという側面もあります。

つまりETHを担保にして、法定通貨(USドル)を借り入れをしているという風に考えることができるということです。今回はスマートコントラクトを使った借り入れ/貸し出しのメリットと現状の課題について考えてみようと思います。

下記の記事は、18歳の女性ユーザーがブロックチェーンを使った借り入れと、銀行での借り入れを比較するためにはじめてMakerDAOでお金を使用してレンディングをしようとした時の記録です。

参考:How I took my first loan on Ethereum Blockchain — MakerDAO

スマートコントラクトを使ったレンディングが銀行よりも優れている点

最初は利用するときに不安で実際にトライするまで3日くらい考えたそうですが、実際にレンディングをしてみると簡単だったと書いてあります。MakerDAOでのレンディングは、下記の点で銀行より優れていたと述べています。

●レンディングを実行するトランザクション手数料は0.07ドルで、年間の金利は0.5%だった。(一般の消費者がすぐに借りられるのは消費者金融で、5-10%の融資市場で最も高い金利が課されることが多い)

●書類が必要ない。担保を預託していることと、担保資産の価値が毀損したときの没収はスマートコントラクトによって制御されているため、書類も審査は必要なし。

●トランザクションが早い。CDPの発行は2-3分で完了した。

●銀行と異なり、24時間毎日稼働をしている。

●セキュアであること。この新しい金融システムにおいて、信頼するものはオープンソースのコードで、人を信頼する必要がない。

●年齢制がない。この筆者は18歳だったが、借り入れがすぐに実行できた。

上記の内容は、スマートコントラクトおよびブロックチェーンがいかにコンプライアンスコストを削減できるかを表しています。

スマートコントラクトのレンディング、現状の課題とは

上記のようにスマートコントラクトで制御されているレンディングにはメリットもありますが、やはり現状は逆に銀行の借り入れの方が便利な点もあります。

一つは、スマートコントラクトの場合は必ず担保が必要なことです。現在、ブロックチェーンによるレンディングマーケットは、与信作業を用いていません。MakerDAO(メイカーダオ)やCompound(コンパウンド)によるレンディングは、担保をコントラクトアドレスに預託し、その担保をスマートコントラクトで制御することによって、実現しています。

つまり、人の信用のみでお金を貸し出すことは少なくとも今のスマートコントラクトのレンディングでは不可能です。実現するには分散型IDなどがあったうえで、さらに応用が必要となるでしょう。

他にはUI/UXがまだまだ改善の余地があるという点も挙げられますが、これを解決するようなサードパーティーのプロジェクトはすでに登場しています。例えばInstaDAppを使えばかなりユーザーにとって使いやすいインターフェースが実現します。

MakerDAOなど、まだまだなんとなく難しそうだから、と感じて敬遠してしまうユーザーも多いのではないかと思いますが、ユーザーエクスペリエンスがもっと簡単になって広く使われる未来も見えています。スマートコントラクトのレンディングマーケットが2019年に大きく拡大する可能性の十分あるのではないでしょうか。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

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