- フェイスブックの独自仮想通貨の可能性
- 英バークレイズのアナリストは米時間11日、フェイスブックの独自仮想通貨が2021年までに2.1兆円規模の利益増加に貢献できると予想した。2018年のケンブリッジ・アナリティカ問題で大きく損なわれた信頼の回復がカギとなるとみている。
バークレイズのアナリスト「フェイスブックの仮想通貨は2兆円超の利益に貢献」
英国の大手国際金融企業、バークレイズのアナリストRoss Sandler氏は米時間11日、フェイスブックの独自仮想通貨の実働が開始すれば2021年までに2.1兆円相当の追加利益が見込めるだろうと米メディアCNBCに対して言及した。
昨年12月に、フェイスブック社が独自の仮想通貨を開発している事がブルームバーグなどの報道で判明していた。
同社は「インスタグラム」や「メッセンジャー」などと共に運営するWhatsAppで利用が可能なステーブルコインを開発しており、世界最大規模の国際金融グループのアナリストであるSandler氏は以下のように同通貨の影響を予想している。
(独自ステーブルコイン)のような新たな収入源ができれば、フェイスブックの株価にとって話が変わるだろう。
このように述べたSandler氏は、昨年ケンブリッジ・アナリティカ問題で低下したフェイスブックに対する信頼度の回復は同社のナラティブにとって「非常に必要だと」しており、仮想通貨を導入して広告以外の収入源が確立されれば2021年までに最大190億ドル(約2.1兆円)相当の利益増収が見込めると述べた。
昨年、フェイスブック社は最大8700万人の個人情報が英国のケンブリッジ・アナリティカ社に行き渡った事が問題となっており、先月マーク・ザッカーバーグCEOも今後の目標としてユーザーのプライバシーを重視した運営方針を強調していた。このようにフェイスブックの独自仮想通貨「フェイスブック・コイン」の成功はユーザーのプライバシー向上にとってもプラスに捉えられるが、2.1兆円の増収はそう簡単にはいかない。
フェイスブックは以前にも送金やP2P取引のシステムの展開を試みた経歴がある。2010年から同社は米ドルやユーロなど15の法定通貨を対象に、独自の「フェイスブック・クレジット」を発行していたが、2012年に発行が中止され2013年には完全に利用が終了していた。
そのため、フェイスブックが発行する仮想通貨が成功するためには「フェイスブックの仮想通貨を利用する価値をいかに示すか、そして2018年に低下した信頼を回復するかがカギ」とSandler氏は予想している。
しかし、昨年5月からフェイスブックが過去にPayPalでCEOを務めた経歴のDavid Marcus氏をブロックチェーン部門のトップに置いたことや、今年2月に仮想通貨企業Chainspaceを買収したことからもフェイスブックの仮想通貨プロジェクトに対する本気度が伺える。