
Facebook(フェイスブック)が自社仮想通貨プロジェクトの遂行のため自社トークンを発行して、10億ドル(約1,100億円)を調達することが明らかになりました。
仮想通貨メディアである「クリプト・コイン・ニュース」(CCN)が、仮想通貨起業家でヘッジファンドマネジャーのジェレミー・ガードナー(Jeremy Gardner)氏の話として伝えるところによると、Facebookが発行する自社仮想通貨は「ビットコイン・コミュニティーの脅威にはならない」ということです。
Facebookの仮想通貨発行額は10億ドル?
ガードナー氏は、Facebookの仮想通貨は業界に大きなプラスの影響を与えると考えており、2019年4月3~4日にロサンゼルスで開かれたELEV8会議で、次のように語りました。
「これはかつてない仮想通貨最大のブームになるかもしれない。私は短期的には、それが掛け値なしにプラスになると見ている。その影響を長持ちさせる最善の手段としては、ほんの少しビットコインを買い増すことかもしれない」
ニューヨークタイムズ紙経済記者のナサニエル・ポッパー(Nathaniel Popper)氏は、「当社が今年(2019年)初めに報道したように、情報筋によると、Facebookは仮想通貨プロジェクトに投資するため、ベンチャーキャピタル(VC)企業の設立を見据えている。聞くところによると、調達する金額は10億ドルという巨額なものになる」とツイートし、仮想通貨発行額が10億ドルであると示唆しています。
発行する仮想通貨はステーブルコイン
ポッパー氏曰く、今回の資金調達は、Facebookの仮想通貨を支援する目的で行われているとのことです。他のステーブルコインの値段が、銀行口座にある米ドルと紐づいているのと同様、発行した通貨の値段を安定させるための資金であることを裏付けているとしました。
同氏は更にTwitter上で、ブロックチェーンの大きな魅力の1つは「非中央集権型」であることを考えると、外部投資家の参入は、Facebookが、ブロックチェーンのプロジェクトの非中央集権化を促し、管理を不要とすることに結び付くと発言しました。また、「ある筋の話によると、Facebookは、資金を仮想通貨の担保として使うという。Facebookは以前から、コインが安定した価値を持つよう思案してきたが、それは銀行口座に保管されている法定通貨と連動する形になる」との発言を続けました。
Facebookは18年5月以来、自社ブロックチェーン部門にエンジニアを求めてきました。PayPal元社長のデビッド・マーカス(David Marcus)氏を室長とする同部門は、社内でも何をしているか秘匿されてきましたが、仮想通貨発行がらみのことは公然の秘密です。
Facebookの信頼回復はなるのか?
プロジェクトは、マーク・ザッカーバーグ会長兼最高経営責任者(CEO)が、規制当局者の批判をかわし、個人データ漏出事件で揺らぐ評判を回復するため、ユーザーのプライバシーを強化するものになりそうです。しかし、Facebookにとってそれも遅きに失した感があります。
Facebookは、仮想通貨やブロックチェーンに関係することで、「信頼できない」という評価を再定義してもらうことを目指しています。しかし、メディアはビットコイン発行の際のサトシ・ナカモトのホワイトペーパーの精神を無視していると批判します。ホワイトペーパーには以下のような精神が書かれています。
「必要なのは、信頼ではなく暗号化された証明に基づく電子決済システムであり、誰でもその意思のある2つの関係者が、信頼される第三者を必要とせずに直接取引することを可能にするものである」
Facebookは、自社発行の仮想通貨で果たして「信頼」を回復できるでしょうか?
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参考
・CCN