信用スコアとは?メリット、デメリット、日本の信用スコアについても解説

お金を借りたり、ローンを組んだり、クレジットカードを使ったりするとき、実は過去の情報が知られているということはご存知ですか?

あなたがこれまでお金を借りたりどのような金融サービスを受けてきたのか、キャッシングをしっかり返済してきたかなど、個人を判断する材料として「信用情報」というのがあります。

近年日本でも話題になり始めている信用情報は、中国では個人の信頼性を評価する基準としても使われているのです。
また、さまざまな企業が信用情報を活用し多様なビジネスを始めようとしています。

それでは、そもそも信用情報とはどういうものなのでしょうか。
そして最近使われ始めた、信用情報の活用とはどういうものでしょうか。

中国で普及する信用スコアとは?

先ほどは日本の例を出しましたが、ここでは中国の信用スコアについて説明します。

中国の信用スコアとは、中国国内で行われる一種の信用度の評価です。
有名なのは「芝麻信用(セサミクレジット・ジーマ信用)」ですが、そのほかにもいくつかの企業が信用スコアを運用しており、この情報は社会的に大きな影響を及ぼしています。

例えば信用スコアの高い人は信頼性の高い人ですから、保証金が免除されたり、就職に有利という傾向があったりします。
その一方で、信用スコアが低いと就職に不利だったり余計な保証金が必要になったりする場合もあるでしょう

中には結婚の相手選びや相手を選ぶときにも使われており、信用スコアが低いからと結婚を反対されるケースも出ているようです。

信用スコアとは何を示すのか?

この信用スコアとは、単純に言えば「あなたが信頼に値する人か」ということを示すものです。
例えば「あなたがどういう人か」という情報や「どういう学歴でどういう職歴か」というようなことを評価するのです。

これは日本の信用情報とは全く違います。
日本の信用情報は基本的にお金の借り入れと返済を滞ることなく行っていれば傷つくことはなく、人柄などは影響しません。
ですが、中国の信用スコアは学歴や職歴、人柄や収入なども影響すると公表されています。

信用スコアはどうやって決まる?

例えばSNSで発信した情報やこれまでの金融情報、そのほかあなたに関するさまざまな情報を集めてスコアリングし、その結果をAIがまとめてスコアを出します

学歴や職歴、年齢や性別、犯罪歴などさまざまな情報が影響するとされているのです。
ですが、実際の計算やどうやって算出するかということは公表されていません。
いろいろなテクニックとされるものはあるのですが、最終的にはどのような要素が強く影響するのかは不明なことが多いのです。

信用スコアのメリットは?

信用スコアにもさまざまな考え方がありますが、メリットはいくつかあります。

信頼できるか人なのかを知る

あなたは初対面の人を見て、その人が信頼できる人かどうか判断できるでしょうか? とても難しいですよね。
その人の言動や服装、振る舞い、顔立ちなどから推測するしかありません。

ですが、信用スコアが分かっていれば、その人がどういう人なのか判断できます。
信用スコアが高い人は「優秀な人」と判断しやすく、信用スコアが低いと「信頼できない人」と分かりやすいでしょう。

サービスで優遇が期待できる

もしあなたの信用スコアが高い場合、さまざまなメリットがあります。
例えば、あなたが信頼できる人だと判断されると家の敷金・礼金などが減らされるかもしれません。
すでに日本の金融機関でも、信用情報が優れている人には金利優遇などがあるのと同じで、さまざまなサービスで優遇されます。

特にこれからは「シェアリングエコノミー」という概念が広がり、いろいろな人があらゆるものや情報をシェアする時代が訪れます。
そうなると信頼できる人に対してはサービスでトラブルになるリスクが少なく、さまざまな優遇が期待できるでしょう。

【信用スコアのデメリットは?】

となると信用スコアの内容はとても良さそうに感じるかもしれません。
ですが、いい面ばかりでもないのです。ここではデメリットを紹介しましょう。

スコアだけで判断することで不平等が生まれる

状況次第では不平等になりかねない、という点が挙げられます。
このため同じような人が二人いたとしても大きくスコアが違う場合、スコアが低い人は就職しづらくなる可能性が出てくるでしょう。
ほぼ同じ技能を持つ人でも、信用スコアが低いだけで不利を被ることがあるのです。

スコアによる差別・理不尽な被害が発生する場合も

次に、スコアが低い人のことをいじめたり、マウンティングなども発生したりするかもしれません。
信用スコアが低いことを理由に、恋人と別れたり結婚を反対されたりする事例がすでに起きているのです。スコアだけで人を判断してしまう仕組みができあがると、人生にも大きな影響を及ぼすかもしれません。

中国やアメリカで代表的な信用スコアのサービス事業者は?

とはいえ、中国やアメリカではすでに信用スコアの運用が始まっています。
ここでは、いくつかの事業者やサービス名、それぞれの特徴などを紹介しましょう。

芝麻信用(セサミクレジット)

中国で有名なのが、この「芝麻信用(セサミクレジット・ジーマ信用)」です。
ジーマ信用やセサミクレジットと呼ばれ、中国国内では広く使われています。

開発したのはアリババグループの関連企業である「アント・フィナンシャルサービスグループ」です。
アリババのサービスを利用したり、SNSでの言動で評価を決めたりするとされています。
優れた人には優遇金利でのローンを提供したりしています。

スコアはアプリから簡単にチェックすることができ、中国国内でも簡単に評価できます。
特に道徳的な人、人格者ほど評価が高いとされています。

FICOスコア

FICOスコアとは、アメリカ国内で使われている信用スコアリングです。
アメリカにはいくつもの信用スコアリングを行う企業がありますが、FICOスコアはその中でも運営期間が長く、信頼性が高いとされています。

実際、大手金融機関の半数以上で、このFICOスコアを取り入れているとされているのです。

運営はフェア・アイザック社という会社が行っています。
この評価はどちらかと言えば返済履歴や借入残高などが大きな影響を及ぼすため、どちらかと言えば日常生活より、金融での評価が大きいでしょう。
ですが、金融というデリケートな部分での管理ができているか、それがそのままその人の信頼性にも影響するという考え方があります。

アメリカは移民の国でいろいろな評価基準があるため、このFICOスコアが日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。

信用スコアは日本でも普及するのか?

このような信用スコアが日本国内でも影響するかどうかというと、すでに金融関係では信用情報の取り扱いなどでその人の評価がなされています。
そして信用スコアが日本国内でも始まっています。

いくつかの企業が信用スコアのサービスを開始しようとしています。
ここでは話題の3つのサービスを紹介しましょう。

ドコモスコアリング

まず、有名なのがドコモです。
これは通信企業であるドコモが行うとされるスコアリングで、2019年上期からサービスがスタートするとされています。

スコアリングの方法としては、年齢や性別、ドコモの携帯電話の利用状況、携帯電話の支払い履歴、コンテンツサービスの内容や利用履歴などが影響するようです。

ここで出たスコアリングは個人向け融資や金融アドバイスサービスである「レンディングマネージャー」というサービスで活用されます。
なお、ドコモではこのスコアリングとレンディングマネージャーなどを合計して「ドコモレンディングプラットフォーム」という形で活用するのです。

また外部へのスコア提供によって信用スコアリングをさまざまな金融機関でも活用するようになります。
このため、消費活動や金融機関での活動にも影響があるかもしれません。

J.Score(ジェイスコア)

比較的スコアリングに特化しているのが「J.Score(ジェイスコア)」というスコアリングサービスです。
こちらは株式会社J.Score(ジェイスコア)という企業が始めたもので、みずほ銀行とソフトバンクグループの共同出資で行われています。

特徴的なのは、さまざまな点でスコアリングをすると公開していることでしょう。
名前はもちろん、年齢や性別、住居、そのほかのさまざまな要素を用いて、AIによるスコアリングを行います。

また、みずほ銀行やソフトバンクと連携させ、AIの分析精度を高めることもできます。
情報の多さや提携量の多さなどから、ジーマ信用に近い性質を持つと考えられます。
また、ここからAIによるスコアレンディングが利用でき、個人がお金を借りることもできるのです。

特に優秀なスコアを持つ人の場合、金利が優遇される場合があり、スコアリワードという制度もあります。
優秀なスコアを持つ人は、スコアを活用しているさまざまな企業から優遇が期待できるでしょう。

優待や割引、カードの発行手数料無料などの特典があります。この優遇の数や量は今後も増えるでしょう。

LINE Score(ラインスコア)

こちらは2018年11月に開始された、LINEの信用スコアリング事業です。
運営母体はもちろんLINEです。
他のスコアリングとの違いは、メッセージアプリLINEをはじめ関連サービスを活用したものだということでしょう。

LINEはLINEPayやLINEでのやり取り、LINEニュースの閲覧履歴などを評価要素としてスコアリングを行います。
スコアはLINE上でのさまざまな支払い、決済サービスや個人への融資サービス、Fintechサービスに利用されるとされています。

特にLINEはモバイル事業や電子マネー事業へ積極的に事業展開をしているため、そのようなさまざまなサービスに影響を及ぼすかもしれません。

実際、LINEの個人融資サービスではすでにこのスコアリングによって優遇されるようです。

これからは信用スコアの時代?

実は、これからこの情報はどんどん活用され、将来的にはその人の信頼性を表す大事な数値といわれています。とはいえ、これからどう発展していくかは分かりません。
どのように活用されるのか、動向を注目していきましょう。

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