バックト(Bakkt)が進める最高水準の暗号通貨保管セキュリティとは?

バックト(Bakkt)は4月30日に、カストディ企業のデジタル・アセット・カストディ・カンパニー(Digital Asset Custody Company:DACC)を買収したと発表しました。(参照

高い水準のセキュリティと期待

暗号通貨を安全に保管するカストディは、顧客資産を預かる暗号通貨取引所事業者にとって最も核になる部分であると言えます。その中でもバックトは、ニューヨーク証券取引所の親会社にあたるインターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange :ICE)の傘下であり、多数の機関投資家が利用することも想定され、セキュリティの水準は他の取引所以上に高いものであると期待されます。

バックトの発表したブログには、同社が目指すセキュリティの基準について、技術的な仕様までは述べられていないものの、どの水準のセキュリティを目指しているかが書かれています。

Bakktが準備する最高水準のセキュリティとは?

ウォレットアーキテクチャ

バックトは、ホットウォレットとコールドウォレットを使い分けます。ほとんどの顧客資産は、ネットワークから隔離されたコールドウォレットで管理されます。いずれのウォレットもオンチェーンとオフチェーンの両観点でセキュリティ対策がなされ、マルチシグで管理されます。

資産の引き出しは複数のファクターで承認が行なわれ、事前にホワイトリストで指定されたアドレスのみに引き出しができます。

秘密鍵の管理

秘密鍵の管理は、「FIPS 140–2」レベル3に沿った規格、または高機能なHSM(耐タンパ装置)のハードウェアのみを用いて行なわれます。HSMではネットワークが決してアクセスできないストレージ領域を持ち、秘密鍵はそこに保管されます。

秘密鍵は暗号化され、地理的に分散した状態で複数のハードウェアで保管され、それぞれファイアウォールのセキュリティーレイヤーも設けられています。

物理的な防御性

上述のハードウェアは、銀行が使用するレベルのセキュリティで物理的に守られています。
週7日24時間で、少数の限られた役職の人間だけがアクセスをできる体制になっています。

サイバーセキュリティ対策

暗号通貨の直接の保管以外のトレーディングシステムに関わるサイバーセキュリティについては、ニューヨーク証券取引所で使用されているものと同じものを採用しています。

さまざまな不正を想定し、事前に検知できるシステムが開発されています。ニューヨーク証券取引所は、世界最大の証券取引市場であり、そこで採用されているサイバーセキュリティは最高水準のセキュリティであることが想定できます。

Bakktは世界最高水準のセキュリティか?

以上がバックトが暗号通貨資産を保管する手法です。詳細な情報までは書かれていないものの、世界最高水準のセキュリティ要件ということになるでしょう。なおカストディ企業については、筆者の記事でも詳しく解説していますので、興味がある方は見てみると良いでしょう。

機関投資家の資産を預かる暗号通貨のCustody(カストディ)はどのようなサービスでか。及び各企業の戦略について。

バックトについてはさまざまな報道から、ローンチこそ規制要件で遅延しているものの着々と準備が行なわれているであろうことは読むことができます。

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