
スイスのツーク州にあるブロックチェーン企業のODEMは6月13日、カナダのカルガリーにある南アルバータ工科大学(SAIT)と共同でデジタル卒業証書を授与する計画を発表した。2019年の4,800人以上の卒業生はSAITの伝統的な羊皮紙と一緒にブロックチェーンベースの文書を受け取ることになる。
「学生は自分の記録を管理できなければならない」
ODEMはイーサリアムのブロックチェーン上に構築された教育と雇用の機会を提供するためのプラットフォーム。今回のODEMとSIATの提携により発行されるデジタル化した卒業証書を用いることで、卒業生はSAITから紙や電子記録を要求することなく、世界中の採用担当者や雇用主に対して、学業成績を直接共有することが可能となる。ブロックチェーンで、受信者が管理する情報のセキュリティと信頼性を保証している。
ODEMの最高経営責任者(CEO)であるRichard Maaghul氏は今回の取り組みについて、「教育は人生におけるもっとも価値のある資産の1つだ。学生は自分の学習記録を管理できなければならないと考えている。そして、ブロックチェーンはそれを可能にする」とし、「提携によって、ブロックチェーン技術がどのようにして教育をよりアクセスしやすく、検証可能なものにするのかを探ることができるようになった」とのコメントを発表している。
イーサリアム(Ethereum)を利用したテストプロジェクト
SAITとの提携は、12月に行ったイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンを使用し、デジタル化した卒業証書の発行をテストするためのプロジェクトの成功からスタートした。そして、SAITの卒業式は、カナダの高等教育機関の中でブロックチェーンに基づく卒業証書が発行されるケースのこれまでで最大の卒業生徒数となる見込み。
SAITの学長兼CEOであるデイビッド・ロス(David Ross)氏は、「SAITの認証情報をブロックチェーンを通じてアクセス可能することで、卒業生と雇用主は信用性のある情報をお互いに共有し、革新的なテクノロジーの恩恵を受け続けるだろう」と述べている。
ブロックチェーン技術は雇用主にも大きな利益をもたらす。卒業証書の正当性は、簡単かつ効率的に検証することが可能であり、バックグラウンドのチェックにおいてもブロックチェーンの記録を即座に確認できる。そのため、不正な請求を防ぐことが可能だ。
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参考
・ODEM