
2016年の経済産業省の報告によると、日本のキャッシュレス決済の比率は約20%です。
2008年時点では約11%であったことから、この比率は毎年約1%ずつ増加しています。
今後もキャッシュレス決済を政府も推進し、更なる急激な普及が見込めます。
そのような流れに遅れないため、キャッシュレス決済を導入していない事業者は前向きに導入を検討した方が良いでしょう。
今回はキャッシュレス決済の導入を考えている事業者向けの記事となっています。
キャッシュレス決済を導入する時に深く関係する「キャッシュレス・消費者還元事業」と「軽減税率対策補助金」について詳しく見ていきましょう。
- キャッシュレス決済の導入のメリットが分かる
- キャッシュレス・消費者還元事業とは何か分かる
- 軽減税率対策補助金とは何か分かる
- その他の中小企業への支援を知ることができる
話題のキャッシュレス決済!メリットやおすすめのサービス、種類、特徴、使えるお店は?
消費税が10%に増税
2019年10月から消費税が8%から10%に増税されます。
元々は2015年に税率が引き上げられる予定でしたが、一度2017年に先送りされました。
そして、2017年からさらに先送りされ、2019年10月に決定しています。
増税にあたり、政府は低所得者の負担の軽減や利便性・生産性の向上を目的として、軽減税率制度やキャッシュレス決済の普及を進めています。
軽減税率制度は飲食料品(外食を除く)と週2回以上発行されている新聞の税率が8%に据え置かれるという制度です。
この制度とキャッシュレス決済を組み合わせれば、消費者は増税後でも最大限負担を軽減することができます。
キャッシュレス・消費者還元事業とは
キャッシュレス決済・消費者還元事業は消費者の増税による負担軽減と事業者の生産性向上を目的としたキャッシュレス決済を推進するための制度です。
対象のキャッシュレス決済はクレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどとなっています。
また、キャッシュレス決済・消費者還元事業は一般の中小・小規模事業者が適用の対象です。
事業スケジュール
キャッシュレス決済・消費者還元事業は2019年10月から9か月間で実施されます。
その内容は中小・小規模事業者での決済時に最大5%の消費者還元とキャッシュレス決済の導入の負担の軽減です。
具体的には以下のようになっています。
一般の中小・小規模事業者については
- 消費者還元5%
- 加盟店手数料3.25%以下への引き下げを条件として、さらに国が1/3を補助
- 中小企業の負担ゼロで端末導入(1/3を決済事業者、残り2/3を国が補助)
フランチャイズ等の場合は消費者還元2%(端末費用及び加盟店手数料の補助はなし)
まず、キャッシュレス決済事業者が中小・小規模事業者に募集をかけて、登録をさせます。
そして、キャッシュレス決済手段を提供して、消費者がその中小・小規模事業者でキャッシュレス決済をすると最大5%のポイント還元が行われます。
そのポイントの原資はキャッシュレス決済事業者が国に補助金請求をすれば、もらうことが可能です。
キャッシュレス決済導入、消費者のメリットは?
では、国が補助金を出してまでキャッシュレス決済を普及させて消費者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここではキャッシュレス決済が導入されることによる消費者側のメリットを見ていきます。
ポイント還元や割引
キャッシュレス決済をすると多くの場合、支払い額に対して一定の割合でポイントが還元されます。
また、定期的にキャッシュレス事業者は加盟店での買い物で割引を受けられるキャンペーンをしているため消費者にとって有利なことが多いです。
これらのことから、キャッシュレス決済は現金で払う時と比べて常に一定の割引が受けられるため消費者にとってはとてもメリットが大きいものとなっています。
さらに、今回取り上げたキャッシュレス決済・消費者還元事業によって消費者に対する還元率が高くなります。
よって、消費者はキャッシュレス決済ができる店で買い物をする傾向が強まるでしょう。
キャッシュレス・消費者還元事業、事業者のメリットは?
キャッシュレス・消費者還元事業に事業者が参加するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
事業者の大きなメリットは以下の3つが挙げられます。
- 集客力アップ
- レジ業務の効率化
- 導入の自己負担なし
それぞれ詳しく見ていきましょう。
集客力アップ
キャッシュレス・消費者還元事業では中小・小規模事業者は5%、フランチャイズは2%の消費者還元が行われます。
これを消費者にアピールすることで他の事業者と価格において差別化でき、集客力を上げることが可能です。
ひいては、売上の向上につながります。
レジ業務の効率化
キャッシュレス・消費者還元事業を通してキャッシュレス決済を導入すると、現金管理の必要性が減りレジ業務が効率化されます。
キャッシュレスが決済のほとんどを占めるようになったら、レジ締めなどの業務もする必要がなくなり全体的な生産性の向上が可能です。
また、キャッシュレスは決済スピードが現金より早いため回転率を上げることもできます。
導入の自己負担なし
キャッシュレス・消費者還元事業では、負担なしで中小・小規模事業者はキャッシュレス端末の導入が可能です。
端末費用は1/3を決済事業者、残りを国が負担してくれます。
軽減税率対策補助金とは
軽減税率対策補助金は軽減税率の対象になる商品を扱っている中小・小規模事業者に対する補助金です。
補助の対象は軽減税率に対応するために必要な経費となっています。
キャッシュレス決済・消費者還元事業は全ての中小・小規模事業者を対象としていますが、軽減税率対策補助金は軽減税率に対応が必要な事業者のみが対象となっています。
この軽減税率対策補助金は以下の3つのポイントから詳しく説明していきましょう。
- 複数税率対応レジの購入補助制度
- 電子的受発注システムの改修補助制度
- 中小企業のための支援制度
複数税率対応レジの購入補助制度
複数税率対応レジの購入補助制度は日頃から軽減税率商品を販売しており、今後も継続していくために複数の税率に対応しているレジを導入・改修しなければいけない中小・小規模事業者に対する補助金制度です。
補助率は基本的には3/4となっています。
しかし、レジ1台のみ機器導入を行う時の費用が3万円未満の場合は4/5、タブレットなどの汎用端末の場合は1/2です。
補助額の上限はレジ1台あたり20万円まで、1事業者あたり200万円までとなっています。
電子的受発注システムの改修補助制度
電子的受発注システムの改修補助制度は電子的受発注システムを使って日頃から軽減税率商品を取引していて、今後も継続していくためにシステムを改修・入替をする中小・小規模事業者に対する補助金制度です。
この制度はすでにEDI・EOSなどの電子発注システムを利用している事業者のみが使えるので注意しましょう。
補助率は基本的に3/4です。
しかし、補助対象範囲外の機能を含むパッケージ製品・サービスは初期購入費用の1/2が経費となり、それに3/4が乗じられて補助金が計算されます。
補助額の上限は小売事業者の発注システムの場合は1,000万円、卸売事業者の受注システムの場合は150万円、両方の改修・入替が必要な場合は1,000万円です。
中小企業のための支援制度
上記の2つの制度を利用する時に使える支援制度がいくつかあります。
以下の表を参照して、自分の事業に活用できるものがあれば積極的に利用しましょう。
補助金制度を利用してキャッシュレス決済を導入しよう
ここまでで2019年10月からの消費税増税に伴って行われる2つの補助金制度について見てきました。
キャッシュレス・消費者還元事業は中小・小規模事業者向けの制度で、最大5%の消費者還元やキャッシュレス導入に対する補助が受けられます。
また、軽減税率対策補助金は軽減税率が適用される商品を扱っている中小・小規模事業者向けの制度です。
複数レジへの対応にかかる経費は基本的に国が2/3、最大200万円まで補助してくれ、受発注システムの改修等にかかる経費は基本的に国が3/4、最大1,000万円まで補助してくれます。
こういった制度や補助金を活かし、キャッシュレス決済を導入することによってより良い消費環境と共に更なる売上の向上につなげていきましょう。