分散型ストレージなどを構築する3Boxが約2億7,000万円資金調達、そのサービスとは?

アプリ開発者のための分散型ストレージおよびアイデンティティツールを構築するスタートアップの3Box が、シードラウンドで250万ドル(約2億7,000万円)を調達しました。3Boxは、イーサリアム(Ethereum)特化のインキュベータであるコンセンシス(ConsenSys)からのスピンアウト企業です。本調達ラウンドは、プレースホルダー(Placeholder)がリードし、ベンロック(Venrock)、ノースゾーン(Northzone)、コインファンド(CoinFund)が参加しています。もちろんConsenSysも引き続き株主となっています。

メタマスク(MetaMask)も採用する3Boxのサービスy

3Boxは、IPFSをベースにして、ユーザー個人がアイデンティティやストレージ管理をできるオープンソースソフトウェアを構築しています。既に同サービスは、メタマスク(MetaMask)とアラゴン(Aragon)、フォーム(FOAM) が採用しています。(Aragon以外はConsenSys出自のプロジェクトです)

3boxのウェブサイト
参照:3box

3Boxを使用したログイン機能では、ユーザーは自身のデータをリスクにさらすことなく、サービスにログインできます。このログインのモジュールは現在のFacebookやTwitterのログインのようなものを想定しています。

開発者は数行のコードをサービスに追加することで、このログイン機能を追加しています。今後、各サービスのユーザーIDとパスワードも管理できるようになることが予定されます。

最初の使用は、ブロックチェーンのDApps(分散型アプリケーション)などが想定されていますが、その後従来のサービスや一般的なアプリケーションでも同機能を使うことになると予想されます。

個人でデータを管理するためのプロフィールサービス

3Boxでのデータ保存は、IPFSを用いた分散型データストレージによって格納されます。IPFSとは、P2Pによるデータをやり取りする手法のようなものです。一般的に私達があるデータを欲しい場合、クライアント/サーバーモデルを用いて、サーバーにある特定のデータを要求してダウンロードしますが、IPFSではIPFSのプロトコルに基づき、既にそのデータを保有している別のコンピュータからデータをP2Pでダウンロードする方式を用います。

3BoxはこのIPFSを用いて開発され、3Boxに保存されているデータは分散的に格納され、誰もがアクセスできるパブリックなものですが、プライベートにしたいデータは、鍵を持っているユーザーによってしか復号化できません。この複合は今のところ、ユーザーが保持するイーサリアムの秘密鍵によって行われます。

現在、このデータ管理をするノードは3Boxが全て運用していますが、今後分散化される予定です。

大手企業のデータ利用に対する不信感の解決策となるか

3Boxは、ユーザーが完全にコントロールできるGoogleドライブやドロップボックス(Dropbox)のようなものです。もしユーザーがあるデータを削除したいときは、削除したことを暗号的に確認できます。

これが従来のアプリケーション・サービスであれば、そのプロフィールはまだGoogleやDropboxのサーバーに残っているかもしれないという疑念を抱くことになりますが、3Boxではユーザーが削除できたという事実を確実に確認できます。

昨今、GoogleやFacebookをはじめとしたGAFAと呼ばれる企業群へのデータ利用の不信感がメディアで叫ばれますが、その解決策として、こういった3Boxのようなデータ保存形式は確実なトレンドであると言えるでしょう。

参考
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