
FXは証拠金取引という形なので、少額から始めることができます。これから資産形成をしようという方も手軽に始めることができるのです。
そこで今回は、新たにFXを始めたいと考えている方に向けて、FXの基本を解説します。
まずは「ポジションを建てる」ということ、そして、決済までの保有期間や決済のタイミングについて見ていきましょう。
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FXの「ポジション」とは
FX取引におけるポジションとはどのようなものなのか、まずは取引自体について説明します。
FX取引の仕組み
FX取引は通貨ペアの片方を売って片方を買い、為替レートの変動により反対売買で損益を出す仕組みです。
たとえばUSD/JPY(米ドル/円)を買うという場合、円を売って米ドルを買う取引を行います。また取引は証拠金による差額決済という形なので、反対売買によって損益が確定すると証拠金が増減します。
買いポジションと売りポジション
FX取引で注文を出し、約定すると建玉ができます。これを「ポジションを建てる」と言います。
FX取引のポジションには、「買いポジション」と「売りポジション」の2つがあります。買いポジションは株式を購入するように、通貨ペアの片方を売って、その外貨でもう片方の外貨を購入することです。購入した通貨が上昇すれば利益が出る取引となります。
一方で売りポジションの場合には、先に通貨を売ってもう片方の通貨を手に入れる形になります。こちらは売った通貨が下落することで利益が生じる取引です。
スクエアという状態について
「スクエア」には2つの意味があります。まったくポジションを保有していない状態(同じ通貨ペアで売りポジションも買いポジションも建てていない状態)と、同じ通貨ペアで同じ通貨単位の売りポジションと買いポジションの両方を建てている状態を意味します。
まずポジションを保有していない状態ですが、これは買いポジションあるいは売りポジションをすべて決済して保有数がゼロになっている状態です。損失あるいは利益を確定し、口座には取引できる証拠金が残ることになります。次のポジションを建てる準備ができている状態です。
もうひとつの「売りと買いの両方のポジションを建てる」状態ですが、これは同じ通貨ペアで同じ通貨量となることが条件になります。これはいわゆる「両建て」と呼ばれるものです。
両建てをするメリットは、保有するポジションによってスワップポイントが発生することにあります。金利の低い通貨を売って金利が高い通貨を買えば、その差から生まれるスワップポイントがもらえます。逆のポジションを建てるとスワップポイントを支払う形になります。
両建てをすれば、為替レートの変動による為替差損が生じることなく、スワップポイントだけを得ることが可能です。
FXにおけるポジションの保有期間はいつまで?
FX取引ではポジションを建てたあと、どのくらい保有を続けられるのかを説明します。
FX取引には保有期間の制限がない
FX取引は証拠金を使った「差金決済」の一種です。差金決済とは、売りと買いの差額で授受する決済方式のことで、FXの場合はポジションを決済した際の損益を証拠金に加算します。
株式の信用取引はポジションを保有できるのは最大6ヵ月、商品先物は1年と決まっています。そのままポジションを保有し続けるならば、一度決済して再度ポジションをとる「ロールオーバー」をしなければなりません。
しかしFX取引の場合には、自動的に毎日ロールオーバーするので保有期間に制限はありません。
FXで含み損のままポジションを持ち続ける「塩漬け」
ポジションの保有期限がないからといって、いつまでも保有し続けることができない場合があります。
FXで買いポジションあるいは売りポジションを建てた場合、前者なら為替レートが上昇した時に、後者であれば逆に下降した時に含み益が出ます。そこで決済すれば、利益分だけ証拠金が増えるわけです。
しかし為替レートが逆に動けば、それぞれ含み損を抱えることになります。ポジションを決済すれば損失が確定しますが、相場が反転すれば含み益に転じるかもしれません。
そのような希望を持ってポジションを持ち続けていると、いつまでも含み損を抱えたままになる可能性があります。これが「塩漬け」と呼ばれる状態です。そのようなリスクを回避するためには、損失を確定する「損切り」をすることも大切です。
スワップポイントによる損失に注意
FX取引では株式投資などと異なり、ロールオーバー時にスワップポイントが発生します。そして金利の高い通貨を売って金利が高い通貨を買うポジションを保有していると、毎日マイナスのスワップポイントが発生します。そのまま保有を続けるとマイナスが蓄積するので為替差益以上の損失が出ないように注意が必要です。
決済のタイミング「ポジションクローズ」
FX取引でポジションを建てたならば、決済しなければ損益が確定しません。その決済のことを「ポジションクローズ」と呼びます。
ポジションクローズについて
保有するポジションを解消することをポジションクローズと言います。たとえば、買いポジションを保有しているならば売り注文を出すことで決済できます。
仮にUSD/EUR(米ドル/ユーロ)の買いポジションがあれば、米ドルを売ってユーロを得るということです。円建ての口座であれば、さらにユーロを円に換金して損益を確定します。
含み損はロスカットを
FXでポジションを建てても、含み益を生むとは限りません。為替相場が見込みと逆に動けば、保有するポジションは含み損を抱えます。
そのまま為替相場が反転しなければ、含み損はさらに大きくなってしまいます。そこで損失を確定するための「ロスカット」が必要です。これは決済することで証拠金は少なくなりますが、次の取引をスムーズに行えます。
常にポジションの把握が必要
為替相場は参加人数が多く、さらにニュースや経済指標の発表などでレートが大きく動くことがあります。含み損を大きくしないために、あるいは含み益が減少しないようにポジションの把握をすることが必要です。
適切なタイミングで決済することで、しっかりと利益確定したり損失を限定する損切りができます。
ポジション決済のタイミングで税金が変わる
FX取引で税金が発生するのは、為替差益やスワップポイントにより利益が発生した時です。つまり、ポジションを保有したままであれば税金は発生しません。
税金は1年間の損益で計算するので、年をまたぐ場合には年間で利益が出ているのか損失が出ているのかによって決済のタイミングを考えたほうが良いでしょう。ただし、FX取引で生じた損失は最大3年間は繰り越しができます。
ポジションは週末の持ち越しに気を付けよう
FXでのポジションを決済するのためには、為替市場が開いている時間帯に取引をすることが必要です。為替市場は24時間開いているので、平日であればいつでも決済できます。しかし、土日は為替相場は休みなので金曜日に決済しなければ翌月曜日までポジションは持ち越しになります。
もちろん自動的にロールオーバーとなり、スワップポイントも発生します。土日に何か大きなニュースが流れれば、月曜日に為替相場が大きく動くこともあるので注意しましょう。
ポジション比率を公開しているFX会社
ポジションを保有する際にチェックしたいのが「ポジション比率」です。これは為替市場全体の買残高と売残高の偏りがどの程度あるのかを示す比率です。たとえば買いポジションの比率が高ければ、今後はその解消のための売り注文が多く出てくることを意味します。
そのポジション比率を公開しているFX会社がいくつかあるのでご紹介します。
外為オンライン
外為オンラインは公式サイトにはポジション比率を載せてはいません。Java版のチャートで使える「ディールスコープ」というツールで確認できます。チャート形式でポジション比率の流れが時系列に把握できるのがメリットです。
DMM FX
DMM FXで提供しているポジション比率は、過去のデータを見ることはできませんが、5分ごとに更新されるリアルタイム情報を見ることができます。
そのためデイトレードのように刻々と変わる相場の強弱感をチェックしたい場合に役立ちます。
マネーパートナーズ
マネーパートナーズは、ポジション比率を公式サイトで公開しています。データは全営業日におけるマネーパートナーズでの未決済建玉を通貨ペアごとに表示しています。
通貨ペアを一覧で表示していることと、買いと売りの比率がひと目でわかるので、相場の強弱感がすぐに把握できるのがメリットです。
OANDA JAPAN
OANDA JAPANもポジション比率を公式サイトで公表しています。5分おきにデータ更新するほか、過去24時間さかのぼってレートごとのポジション比率がわかるので便利です。
FXはポジションの保有期間や決済のタイミングが重要
FX取引は証拠金を使ってレバレッジをかけることができるので、少額から行えます。保有期間にも制限がありませんし、スワップポイントがつけばポジションを建てている間は利益が積み上がります。
ただし為替相場の動きは速いので、適切なタイミングで決済することが大事です。含み損になったら早めの損切りが必要ですが、ポジション比率をチェックすれば利益も出しやすくなるでしょう。FX会社によっては買いと売りの比率を開示しているので、市場参加者の相場感もチェックできます。
売りでも買いでもポジションを建てることができるので、上昇相場でも下降相場でもどちらでも取引できるため、常に利益を出すチャンスがあるのがFX取引の魅力と言えるでしょう。