イラン独自の仮想通貨発行準備か、金との交換可能で米経済制裁避けるため?

イランは米国の経済制裁を回避するため、中央銀行から認可を得てマイニングされ、金(ゴールド)と交換可能な暗号資産(仮想通貨)を近く発行することになりそうです。

非営利団体のイラン商工業・鉱業・農業会議所(ICCIMA)当局者のシャハブ・ジャヴァンマルディ(Shahab Javanmardi)氏によると、同国の仮想通貨のマイニングは中銀と民間IT 企業コンソーシアムとの協定を通じて行われます。

モスクにまで広がったマイニング禁止 中銀管理の仮想通貨発行へ

イランの通信社メヘル(Mehr)によると、ジャヴァンマルディ氏は「イランの仮想通貨は、金の裏付けを得て発行されるが、その機能は外国のライバル企業と同様である。国内で暗号化されるこのマネーは、イラン銀行の凍結資産の最適利用を緩和することになる」と説明しています。

イラン政府はこのため、国内の仮想通貨マイニング事業を規制・管理することになります。イランでは経済制裁以来、野放しだったマイニングがモスク内にまで広がっていましたが、この数週間取り締まりが強化されていました。

イランの規制当局は2019年6月末、ビットコイン(BTC)のマイニングリグ(PCシステム)を1,000台押収しました。その理由は配電網を混乱に陥れたというもの。中央銀行は7月初め、最終的に「仮想通貨関連の活動はすべて、イラン国内で禁止される」と発表したと伝えられています。

仮想通貨の名称は「PayMon」XLMネットワークを使って決済

一方19年初め、イランの4銀行がGhoghnoos社と協力して、仮想通貨の決済システムを開発していることが判明しました。ちなみにこのシステムで開発される「PayMon」と呼ばれる仮想通貨は、決済と送金サービスのステラルーメンズ(Steller Lumens)ネットワークを介した金との交換可能なトークンです。

PayMon発行の最終目的はまだ明確ではありませんが、イランのブロックチェーン企業アルズデジタル(ArzDigital)によれば、米国の経済制裁を回避して貿易する方策の一助としてPayMonが有効かどうか確かめることだといいます。同社創業者のハミド・レザ・シャアバニ(Hamid Reza Shaabani)氏は「PayMonは特定の取引業者の手で実施され、トークン保有者はそれを金と交換できるが、詳細はまだ不明である」と説明していました。

イランの独自仮想通貨は年内に発行か?

発行されるPayMonは、国境を越えて他の通貨と交換可能になり、デジタル通貨の特性として、ほぼ制約なく世界の市場にアクセス可能になり、諸外国の投資家がPayMonを投資目的で売買することができます。ベネズエラと違ってイランは、すでにロシアとアルメニアとの間で3国間のブロックチェーン協力協定を持ち、中国や欧州諸国の一部でも問題なく受け入れられる立場にあります。

イラン中央銀行は1月、仮想通貨とICO規制の大部分を解禁しました。その時点で残された主たる規制問題が決済方法でした。数日後、その仮想通貨が国家所有の金(ゴールド)準備によって支えられることが分かりました。PayMonはテスト中で、年末までに発行の準備が整う見込みだとされています。

イランの4銀行はPayMon(PMN)と呼ばれる10億枚のトークンを用意して、イランのOTC取引所Fara Bouseに上場します。4銀行はバンクメラット(Bank Merat)、バンクメルリイラン(Bank Melli Iran)、バンクパサルガド(BPI)、パルシアン銀行(Parsian Bank)。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Iran to Unveil a Central Bank Authorized Gold-Backed Cryptocurrency
Iran’s Crypto-Rial “PayMon” and a Blockchain Revolution

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