「大多数のビットコイン(BTC)は2%が保持」は正しい?データを読み解く上で気を付けること

全体供給量の80%に当たるビットコイン(BTC)を2%のアドレスが保持しているという指摘が話題になっています。ブロックチェーンは常にアドレスの残高を見ることができ、このような各アドレスの保有の変遷や偏在は誰でも確認できます。

80%のビットコイン(BTC)を2%のアドレスが保持はミスリード?

このようなビットコインの保持率に関するニュースは、「ビットコインの保有者は極度に偏っており、富が集中している」というようなキャッチーなコピーを作りやすいです。しかし、これらの指摘は明らかなミスリードです。

ビットコインの固有アドレスには、取引所やカストディといった不特定多数から大小さまざまな金額を管理しているものも含まれ、そういった2%のアドレスが80%のビットコインを保有しているに過ぎません。

さらに指摘するならば、グレースケール(Grayscale)のビットコインの上場投資信託(Grayscale Bitcoin Trust BTC)は全体供給1%のビットコインを保有し、コインベース(Coinbase)社のカストディは全体供給量の2%を保有します。

このようなアドレスが存在する事実を知っていれば、アドレスのデータからは簡単には富の偏在を明らかにできないことも理解できるでしょう。

同じく、ステーブルコインのUSDTについても、2019年8月に300アドレスが80%を保有しているという見出しのニュースが話題になりました。これをUSDTを発行するテザー(Tether)の陰謀論などに結びつけたい読ませ方をしているメディアが多く見受けられましたが、これも同じくミスリードであると言って良いでしょう。

そして、アドレスの偏在などの指摘については、カストディなどが重要度を増す今後さらに意味のない指標になるだろうと筆者は考えています。

データを正しく読み解くリテラシーが大事

暗号通貨・ブロックチェーン業界においては、ブロックチェーン自体がそのデータに透明性があるため、それを分析しようとする人が多くいます。その一方で、今回指摘したような、「意味のないデータの読み方」をしている人がしばしばいます。

例えば、アドレス単位での富の偏在を過度に問題視する以外の事例では、マイニングプールの集中化の指摘です。通常、マイニングする際には、マイニングプールを経由して参加しますが、この主要プールが10しかないからビットコインは集権化しているというようなものです。

実際には、このマイニングプールの裏側には世界中に点在しているさまざまなマイニングマシンが存在し、それらがプールに参加しています。暗号通貨アドレスの分布も、マイニングプールの分布もそれぞれが意味のあるデータになり得る読み方もあるのですが、それを変な読み方をするメディアなどが減らないのは、残念であると言えます。ユーザー側は、そういったミスリードに気付けるリテラシーも必要になってくるのではないでしょうか。 

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

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