トランプ大統領と国務長官らが仮想通貨取引の規制強化を示唆する真意は?

米国のマイク・ポンペオ国務長官が8月下旬、デジタル資産の取引はより厳しく規制すべきだとの考え方を強調しました。トランプ政権は、暗号資産(仮想通貨)業界に余裕を与えることを考えていないようです。

トランプ大統領は7月11日、「仮想通貨の支持者ではない」とTwitter上でコメントしました。これを受けてスティーブン・ムニューシン財務長官が7月24日、仮想通貨の規制強化を示唆しました。ポンペオ国務長官の発言で、トランプ政権の3首脳すべてが仮想通貨に厳しい見解を明らかにしたことになります。

仮想通貨の匿名取引は安全保障上の脅威とポンペオ米国務長官

ポンペオ長官は8月20日、CNBCのインタビューに応えて、「仮想通貨の匿名もしくは偽名の取引は、米国および同盟国に安全保障上の脅威あるいはリスクをもたらす」と主張しました。

同長官はその裏付けとして、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を引用して、「われわれは十分な追跡手段を持たず、資金の流れと誰がその金を移動しているのかを知る能力がないことは、15年前に起きたテロ活動である9・11事件の教訓である」と語りました。

金融技術を通じて9・11事件の再発を軽減するため、ポンペオ長官は「電子的な金融取引は、国際銀行間金融通信協会(SWIFT)の「世界的プラットフォームに適用されている同じ法律によって規制されるべきである」との見解を示しました。

ムニューシン財務長官は厳しい規制措置の検討中を示唆

トランプ大統領は7月にTwitter上でビットコイン(BTC)とFacebookのリブラ(Libra)について初めて言及、「私は仮想通貨の支持者ではない」と前置きして、「規制が整備されていない仮想通貨は、麻薬取引やその他非合法活動など、違法な行為を助長することになりうる」との厳しい見解を示しました。トランプ氏は併せて、リブラもその立場と信頼性に欠けるとして、規制の厳しい銀行と同様の規制を受けるべきだと述べました。

次いでムニューシン財務長官は「すべての仮想通貨についての検討を進めている。関係省庁からより多くの規制が出てくると思う」と述べ、トランプ政権が具体的に新たな規制措置を検討中であることを示唆しました。

そしてポンペオ国務長官の今回の発言で、トランプ政権が近く何らかの規制強化策を採用する可能性が高まっています。米証券取引委員会(SEC)や米商品先物取引委員会(CFTC)、米国内国歳入庁(IRS)さらにはマネーロンダリング(ML)や詐欺などの取り締まりに関連して米連邦捜査局(FBI)、米中央情報局(CIA)など関係省庁は、規制強化について何らかの検討を指示されているのでしょう。

「仮想通貨はどこか1国の決定に左右されず生き残る」

そんな中、ファンドストラット・グローバル(Fundstat Global)のマネジングパートナーであるトーマス・リー(Thomas Lee)氏は、トランプ政権が電子タバコの禁止を検討中であることを引用して、トランプ政権にとって「限界を超えるとかやれないことは何もない」状況だと指摘して、ビットコインなど仮想通貨の禁止も次の対象になりうると警戒心をあらわにしました。

また世界最大手の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のチャンポン・ザオ(Changpeng Zao)創業者兼最高経営責任者(CEO)は、考えられる最悪のシナリオは仮想通貨の所有を違法とすることだと語っています。同氏はしかし「仮想通貨はどこか1国の動きに左右されることなく、生き残るだろう。ビットコインを禁止しようと努める多くの国では、市民が仮想通貨をさらに求めるきっかけになる」と語っています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Trump Administration’s Mike Pompeo Wants to Regulate Crypto Transactions
Trump could ban Bitcoin like e-cigarettes, says prominent analyst

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