ブロックチェーンで進歩的な身分証明を可能に

個人認証の簡略化

デジタル社会では、個人情報の盗難が深刻な問題になっています。世界規模のハッキンググループが日常的にシステム侵入を繰り返し、人々の個人情報が危険にさらされ、ハッカーによって収集されたデータは二次的な詐欺行為などに悪用されます。

ブロックチェーンが登場してからかなりの時が経ちましたが、昨今ではID認証システムを開発するアメリカ企業の「ジュミオ(Jumio)」が、個人を認証できる「匿名暗号コード」を用いて、認証処理を簡略化する取り組みを行っています。

2018年4月にJumioは、EOSブロックチェーンベースのデータ交換ネットワークの構築を目指すインサイツ・ネットワーク(Insights Network)とパートナーシップを結び、Insights NetworkのWebウォレットであるインスタ―・ウォレット(INSTAR Wallet)の本人確認処理をリアルタイムで行えるようにしています。

最適とされるブロックチェーン

ブロックチェーンは世界規模のコンピューター・ネットワーク上で管理される台帳です。ネットワーク上のすべてのコンピューターは、ネットワーク内で構築された入力情報の全記録を、完全な履歴として共有しています。そのため、ほぼ不可侵なシステムとなっており、身分証明の認証処理には最適と考えられています。

Jumioのシステムでは、ユーザーは身分証明のために、名前・住所・写真・動画などの個人情報を提出します。個人情報はポータルサイトからのみ提出可能で、再認証が必要な時には、ユーザーは再度ポータルサイトで個人情報の提出を求められます。その後、ユーザーの個人情報はブロックチェーン上に記録され、匿名暗号コードを受け取った時点から、オンライン上での身分証明は匿名暗号コードによって証明ができるようになります。この認証処理の重要な点は、それによってユーザーは個人情報を都度提出する必要がなくなるということです。

また、ユーザーがオンライン上で買い物や取引を行う際に、ユーザー固有のQRコードを相手先に提示することで身分を証明できるようになります。さらにゼロ知識証明(Zero Knowledge Proof)技術を使うことで、ユーザーは管理者に対して自身の身元を全て明かすことなく、身分証明を行うこともできます。加えて、未成年が年齢制限のかけられたWebサイトにアクセスすることや、身分を隠してオンラインで購入手続きするのを防ぐことも可能です。

ブロックチェーンはその安全性や利便性以外にも、ユーザーが身分証明に関して最も心配するプライバシー問題の解決にも役立ちます。ブロックチェーンを用いることで、ユーザーは必要最小限の個人情報のみを開示するだけになります。デジタルにおけるブロックチェーンを使った身分証明は、他のシステムでは望めないハイレベルなデータ管理を可能にしてくれるのです。

参考
Blockchain is the New and Improved ID Verification
Jumio and Insights Network Partner to Deliver “Passport” for Blockchain Projects

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