バイナンス(Binance)の情報セキュリティ国際規格取得が示唆すること

世界最大の取引所であるバイナンス(Binance)は、業界としては初めて英国およびノルウェーの認証機関からISO / IEC 27001規格(情報セキュリティに関する規格)により認証を受けたことを発表しました。

同社は今後もセキュリティに投資することをアナウンスするとともに、この認証を受けるにあたり監査では、14のカテゴリにおける114の規準について検査されたと述べています。それらはセキュリティポリシーから資産管理、システム設計、オペレーションセキュリティなどでさまざまな項目に渡るといいます。

Binanceは世界最大の取引所であり、その規模になった背景は、さまざまな施策もありますが、大前提として優れたトレーディングシステム、高度なセキュリティがあります。しかしながら、本件については、特に日本国内の規制当局や事業者は問題意識を持つべき点が多いのではないかと想います。その問題意識を筆者独自の意見として本コラムで述べます。

バイナンスのセキュリティの高さは利益をあげて再投資の結果

Binanceは、現在ではシンガポールや米国など各地域での規制に対応しようとしていますが、それまで約2年間にわたり、マルタに登記をするオフショア取引所であった背景があります。そして、オフショアであったからこそ、さまざまな新規コイン追加や新機能の追加を行い、ユーザーに利用されることができました。

例えば、日本国内で規制に遵守する取引所であれば、新規コインの上場は極めて難しく、数多くのプロセスを経る必要があります。しかしながら、Binanceはそれらを気にせず、独自のスピードで取り扱うことによって、ユーザーに利用される取引所を作り上げることに成功しています。ユーザーに利用され、利益をあげているからこそ、セキュリティに投資が出来るという現実があります。

また、Binanceは利益の一部を万が一ハッキングが起こってしまった際に補填する自身の保険積立も行っています。Binanceは一度ハッキング事件を起こしてしまっていますが、その被害額は過去の大規模ハッキングと比べれば軽微なものであったこともあり、即時に補填が発表されています。

また、Binanceは世界最大の取引所であり、そこで扱われる資産は多額であることから、ハッカーから攻撃標的になっている数は、日本国内の取引所とは比にならないと想定できます。それであっても、その程度のハッキング被害しか過去に許していないことは、Binanceのセキュリティの高さでしょう。

日本での運営を諦めたバイナンスが国際規格取得が意味すること

特に日本でありますが、規制に遵守する取引所がコンプライアンスコスト上昇からセキュリティに十分な投資ができなくなっているように感じるのは筆者だけではないでしょう。

そして、規制に遵守せずに運営していた企業が得た利益を潤沢にセキュリティに再投資して国際規格に認定されている現状、とまで表現するのは恣意的のように聞こえるかもしれませんが、やはり問題意識を持たれるべきであるというのが筆者の意見です。

恐らく、日本国内の取引所で今回、Binanceがとったものと同様のISO / IEC 27001規格にセキュリティ認定を受けれる取引所は一つもいないのではないのだろうかと思われます。

それは一重に、規制に遵守をするコンプライアンスコストの増加、過度な自主規制により利益体質になることが難しい取引所ビジネスの現状が影響していることは言うまでもありません。そして、そういった高いコンプライアンスコストが事業者に課されているにも関わらず、ハッキング事件は2019年の直近においても起こってます。

それはつまり、暗号通貨というソフトウェアそのものが資産性性質を持つ新しいアセットクラスを扱うビジネスに対する規制・セキュリティフレームワーク・自主規制のアプローチのいずれか、またはその全てに改善の余地があることを示していると言えるでしょう。

かつて、日本での運営を諦め、世界展開することを選んだBinanceがISO / IEC 27001規格を得ていることは示唆に富む出来事であると感じます。

参考
Binance Receives Universal Security Accreditation by the International Organization of Standardization

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