ブロックチェーンプロジェクトを調べると耳にする「VC」と個人投資家が知っておくべきこと

さまざまな暗号通貨、ブロックチェーンプロジェクトに投資をする際の調査過程で、「VC(ベンチャーキャピタル)」という単語を聞く機会は多いはずです。また、「このプロジェクトは○○のVCも投資しているから有望」などというような発言もTwitterなどで見られることがあります。

では、そもそもVCとは一体なんなのでしょうか?あまりVCやファンドというものの詳細は分からずにその言葉を聞いたり使ったりしている場合もあるかもしれません。本コラムでは、一般的なトレーダーや個人投資家が知っておくべき情報の範囲でVCというプレーヤーを紹介します。

ベンチャーキャピタル(VC)とは?

VCとは、スタートアップ、いわゆる創業1年目から10年目以内にあたるベンチャー企業に投資をするファンドです。そもそもファンドとはなにかという点ですが、ファンドとは他人資本を扱い投資する産業です。

ファンドには出資者であるLP投資家がいます。スタートアップに投資をするという手段を通じて、ファンドマネージャーは増やした資本をLP投資家に返します。VCはLP投資家の資産を運用する投資代理人のようなものです。

一般的なVCは、7-10年間のファンド償還期限というものがあります。この7-10年間の期間にファンドの資産、つまり投資したスタートアップの株式、またはトークンを現金化して、LP投資家に返さなければいけません。

つまりVCから調達するスタートアップは、最長でも10年以内にEXITが期待されます。また、VCが投資をする創業期の企業はハイリスクです。ですので、10社くらいに投資して1社でも20倍になって、他がゼロでもトータルの期待値は200%というようなポートフォリオ戦略をすることが一般的です。

VCは、投資先企業が成功してEXITしないと商売にならないので、投資先をサポートします。ファンドによりますがそのサポート範囲は、採用や取引先紹介、事業戦略の助言、トークンの取引所上場支援など制限はありません。

暗号通貨やトークンに投資をするファンドは、ユニオン・スクエア・ヴェンチャース( Union Square Ventures)やポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)、ワンコンファメーション(1confirmation)、XRPキャピタル(XRP Capital)、マルチコイン・キャピタル(Multicoin Capitala)、16zなどが挙げられます。

なかでもa16zや、CoinbaseマフィアでもあるPolychain、1confirmationの影響力は大きいです。

これを踏まえて個人投資家が認識すべきこと

これを踏まえて個人投資家が認識すべきことをいくつか述べます。前述したように、VCは、10社くらいに投資して1社でも20倍になって、他がゼロでもトータルの期待値は200%であるというようなポートフォリオ戦略です。

つまり、「あるプロジェクトが著名なVCに投資をされているから大丈夫」というような考えは間違いです。その著名なVCも、そのプロジェクトへ投資した資産価値がゼロになっても大丈夫なようにポートフォリオ戦略を行っているはずです。ですから同じく個人投資家もその単一の対象プロジェクトの投資価値がゼロになっても問題がないようにポートフォリオ戦略を行うべきなのです。

次に、VCにはファンド償還期限があることを述べました。この償還期限内にファンドが投資したトークンなどは必ず売却しなくてはなりません。その売却先はパブリックマーケットで一般個人投資家に売却するケースも多分に含まれます。つまり本コラムの多くの読者です。

そして、VCも投資家であるので、少しでも高く売却できるようにさまざまな努力をするものです。これらを踏まえて個人投資家は投資戦略を練る必要があると言えます。

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