米議会にリブラ(Libra)などステーブルコインを禁止する法案回覧中

「2019年証券法とステーブルコイン(Stable Coins are Securities Act of 2019」と題する新法の討議草案が米下院金融サービス委員会から回覧されています。これは米ドルなど国際的に有用性のある法定通貨と1対1交換を可能にする暗号資産(仮想通貨)「ステーブルコイン(stable coins)」をすべて証券と見なし、米証券取引委員会(SEC)による規制を可能にする法案です。草案はシルビア・ガルシア(Sylvia Garcia)下院議員(民主党)が提案しています。

ステーブルコインは経済摩擦でも価値が保持される

ステーブルコインは法定通貨と連結することから、経済摩擦の事態になっても価値が保持されます。ステーブルコインが重宝されている理由は特に2つあります。その1つは、法定通貨と1対1交換可能なことから資産保護に適していることであり、第2はビットコイン(BTC)価格など仮想通貨が大きなボラティリティ(価格変動)を示しても、価格が下落することはないことです。

ステーブルコインはこのような理由から、1、2年前から特に注目され始めて、トレーダーばかりでなく一般投資家の間でも人気の仮想通貨になってきました。ちなみにFacebookが発行を計画しているリブラ(Libra)はその代表的なもので、米ドルなど国際的な準備金のほか発展途上国の通貨とも交換可能であることが、既存の金融システムを脅かすのではないかと警戒されています。

リブラは価値のない無用な「草コイン」とデビッドソン議員が発言

一般に知られているステーブルコインは、テザー(Tether/USDT)、コインベース(Coinbase)が発行しているUSDコイン(USDC)、ジェミニ(Gemini )のジェミニ・ドル(Gemini Dollar/GUSD)、バイナンス(Binance)のBUSDなど。

「2019年証券法とステーブルコイン」法案は、米証券取引委員会(SEC)によってどのようにして証券として処理されるべきかについて細かく規定しています。

米下院議員のウォレン・デビッドソン議員(共和党)は、リブラ(Libra)を評して、「ビットコインに次いで、今度は草コイン(shitcoin)だ」と語り、仮想通貨空間に大きな波紋を広げました。価値がゼロの草コインとは、言うまでもなくリブラ(Libra)のことです。

米議会はここまで、2009年に初めて発行された非中央集権型のBTCブロックチェーンとより中央集権型のリブラを含めて、異なるブロックチェーン間の差異について理解する点で大きな進展を遂げています。下院金融サービス委員会の有力メンバーであるパトリック・マクヘンリー議員(共和党)は「ビットコインは大きな価値がある」と語っています。米議会は当初から、仮想通貨を議論する際に、ブロックチェーンとビットコインとを区別することに苦慮してきたことは周知の事実です。

米ドルの脅威となるリブラを立法によって発行を阻止する動き

多くの議員は、リブラが米ドルにとって差し迫った脅威であると見ており、立法を通じて恐らく発行を差し止められると見ています。最悪のケースはすべての仮想通貨を証券として扱うことでしょうが、そうなれば多くの企業にとって「弔いの鐘」以外の何物でもありません。法案はどこまで証券として扱うかを明白に規定する努力の現れかもしれません。

非中央集権型であるというビットコインの美点は、他の仮想通貨と比較して賞賛されています。米経済誌のフォーブス(Forbes)によると、現状に対するより大きな脅威は、ブロックチェーン技術を通じた非中央集権の問題ではなく、法定通貨のデリバティブと言うべきリブラのようなデジタル化されたトークンのコピーが大量に出回ることなのでしょうか?

参考
‘Stablecoins Are The New Bitcoin’ In Congress
Stablecoins are Securities Act of 2019

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