なんとなく投資したいと考えていても、投資の方法はさまざまです。そのため、「どんな投資方法がオススメなんだろう?」と気になる方はきっと多いはず。
本記事では、仮想通貨投資と株式投資を比較し、どちらがみなさんに合っているかを考えてもらえるように解説していきます。
仮想通貨投資と株式投資の9つの違い
本章では、仮想通貨投資と株式投資の違いのうち重要なものを9つ挙げて表にまとめ、項目別に解説をします。投資を考えている人にとっては、必ず押さえておきたい知識ですので、しっかり覚えておきましょう。
番号 | 項目 | 仮想通貨 | 株式 |
---|---|---|---|
1 | 価格変動性 | 高 | 低~中 |
2 | ストップ高・ストップ安 | 無 | 有 |
3 | 最低必要額 | 約1,000円~ | 約50,000円~ |
4 | 購入場所 | 仮想通貨取引所 | 証券取引所 |
5 | 取引時間帯 | 24時時間365日 | 平日9:30~11:30、 12:30~15:00の間のみ |
6 | 税率 | 雑所得(最大55%) | 申告分離課税(一律20.35%) |
7 | 配当 | 一部通貨に類似の仕組み有り | 有り |
8 | 優待制度 | 一部通貨に類似の仕組み有り | 株主優待 |
9 | 法定開示 | 無 | 有 |
①価格変動性
「価格変動性(ボラティリティ)」とは、価格の振れ幅を表す用語です。価格変動性が「高い」場合は、値動きが大きいことを指します。逆に価格変動性が「低い」場合は値動きが小さいということです。
仮想通貨投資は、価格変動性が「高い」ものです。つまり、短い期間においても、大きなリターン(利益)を得やすいですが、大きな損失を被る可能性も大きくなります。
続いて、株式投資の価格変動性について考えます。株式にはさまざまな種類があり、総合的にみると価格変動性は「低〜中」であると考えられます。したがって、中長期的に安定して資金を運用することに向いています。
②ストップ高/ストップ安
「ストップ高・ストップ安(値幅制限)」とは、一日における値動きの上限と下限を定めるルールです。価格が上限に達することをストップ高、下限に達することをストップ安といいます。
値幅制限を設ける目的としては、投資家の過熱感もしくは恐怖感を軽減させることで、極端な値動きを抑制することです。仮想通貨には値幅制限がないため、一日の間に価格の暴騰または暴落が起こる可能性が常にあります。
③最低必要額
仮想通貨の投資は、「1,000円ほど」で十分な場合も多いです。価格変動性が高いため、資金が少なくても利益が出やすいからですね。
また、株式投資と違って単元株数(株式の購入単位のこと。1単元=100株)という仕組みが存在しないため、日本円に合わせた数量(0.001BTC、0.1ETH、1XRPなど)から購入することが可能です。そのため、購入するだけならば100円以下でもできます。
株式投資では、「5万円ほど」は用意しておきたいところです。1株の値段が安いものであれば、もっと少ない金額から投資が可能です。ただ、株式の価格変動性が高くないことを考えると、利益を出すためにはある程度まとまった金額が必要になります。
④購入場所
仮想通貨を取引できるところは「仮想通貨取引所」です。仮想通貨取引所は、取り扱い銘柄の数や販売所の有無、レバレッジ倍率など、さまざまな違いがあるので、自分に合った取引所を見つけましょう。
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株式は、証券取引所で購入することができます。日本全国には、およそ170万の株式会社が存在していますが、東京証券取引所に上場している企業は3,600社ほどです。証券取引所で購入できる株式は、上場している銘柄のみになります。東京証券取引所の市場は下図を参考にしてください。
⑤取引時間帯
仮想通貨は、24時間365日いつでも取引を行うことができます。これに対して、株式を売買できる時間帯は、平日の9:30~11:30、12:30~15:00に限定されています。どちらにも一長一短がありますので、良し悪しは個人の判断に委ねられています。
⑥税率
仮想通貨投資による所得は、「雑所得」として計上されます。よって税金は、住民税10%に所得税(5%~45%)を加え、最大55%の課税になります。大きな利益を得たとしても、その半分以上を税金で徴収されてしまうために、仮想通貨の投資をする上で大きな障害になっているともされています。
株式投資に関しては、「申告分離課税」が適用されます。したがって、一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が課せられます。仮想通貨投資に比べて、税金のコストが比較的低いということは覚えておきましょう。
⑦配当
株式の保有者は、必ずではありませんが、銘柄によって配当を受け取ることができます。一方、仮想通貨には配当がないように思えますが、よく似た制度を持つ通貨もあります。例えば、コンセンサス・アルゴリズムにプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用している通貨の場合、トークンの保有者に対して保持数に応じた報酬を出す仕組みなどがあります。
⑧優待制度
株主優待という言葉は、皆さんも聞いたことがあると思います。例えば、マクドナルドの株式を保有していると無料で商品を購入できるクーポン券が配布されます。株主優待を目当てに株式を購入する人がいるくらい重要な制度です。
仮想通貨にも、一部のユーティリティートークンには優待制度のような仕組みを持つものは存在しますが、あまり一般的ではありません。
⑨法定開示
「法定開示」とは、上場企業が法律によって定められた書類を開示することを義務付ける制度です。これに基づき、企業の経営や財務を把握できる「有価証券報告書」が公開され、投資家の判断材料となります。
仮想通貨には、法定開示を義務付ける法律がまだ存在しないため、プロジェクトの経営や財務がやや不透明であり、投資判断を難しくしています。ただ、これから仮想通貨が社会に浸透していくにあたって、これらも整備されていくと予測できます。
どちらの投資が自分に向いているか見極める
ここまで、仮想通貨投資と株式投資の9つの違いをみてきました。これらに基づいて検討すると、片方が秀でているというように断定することはできません。ゆえに、どちらの投資が自分に向いているかを見極めることが大切になります。
では、仮想通貨投資に向いている人と株式投資に向いている人の特徴を考えてみましょう。
仮想通貨投資に向いている人
仮想通貨投資に向いているのは、次のような人だと考えられます。
- 少ない資金から短期間に大きな利益を得たい人
- 時間に縛られずマイペースに取引をしたい人
- 配当や税率、優待制度に重きを置かない人
株式投資に向いている人
株式投資に向いているのは、次のような人になります。
- 中長期的に安定した運用益を出していきたい人
- 投資にまとまった資金を用意できる人
- 配当や税率、優待制度の重要度が高い人
まとめ:仮想通貨投資と株式投資どちらがオススメ?
ここまで、仮想通貨投資と株式投資の違いを9点挙げましたが、どちらの投資方法にも良いところと悪いところがあり、どちらがオススメかというのは重要視する部分で決められます。投資を始めるにあたっては本記事を参考にし、自分にあった投資をしてみてください。
(文・師田賢人)