自宅やオフィス、屋外でのデリバリーが日常の生活にとても身近な存在になった。好きなお店、今食べたいお店の料理を簡単に注文でき、スピーディーに配達をしてくれるUber Eatsの魅力についてUber Eats 日本代表の武藤 友木子氏にお話を伺った。
食事以外にも広がる利用の幅
Uber Eatsのユーザー層を教えてください
ごくごく初期の頃というのは、やはりアーリーアダプターの方々に多く利用されていました。20代後半から30代中盤あたりの方々が多かったのですが、現在ではおかげさまで認知度が上がっていることもあり、そういった若い方々からファミリー層、シニアの方などにも広がってきています。
どういった場面での利用が多いですか?
やはり一番多いのは夕食での利用です。ただ日本のマーケットでは都心部を中心に始めたという背景も影響しているのか、昼食の需要もかなり高くなっています。昼食の需要というところでは、ご家庭、オフィスからの需要もかなり高くなっています。
それだけではなく、実はその合間の時間帯の利用も頂いています。他の宅配サービスですと、昼食から夕食までの間の時間帯は需要が減るらしいのですが、Uber Eatsではその時間帯の需要の減りが緩やかな傾向です。おやつの需要であったり、あとはお土産のように使う方もいらっしゃいます。例えばお友達の家に行く時に、プリン屋さんから手土産の代わりにプリンを届けるといったように、現在は色々な使われ方をしています。
お土産という使い方は発想がなかったです!
実は私自身も、お土産として使っています。例えば出張の際だと、スケジュールが詰まっているので、その間に京都であれば京都の和菓子をオフィスに届けておいて、それをお土産に持って帰るといったような形で利用しています。
他のサービスとは違う使われ方ですね
最近では「ありとあらゆるお食事」、というところから少し広がってきています。例えばローソンさんとの提携ですと、日用品も提供しているのですよ。ティッシュペーパーや、お食事の際に口をふくナプキン、お箸や、紙のお皿、はたまたビールなどの飲み物などまで広がってきていますので、使われ方という意味では食事を中心に少しずつ幅が広がってきているような状況です。
野外への配達はどのくらいの割合ですか?
正直に言うと、やはり自宅とオフィスがすごく多いですね。自宅というのは必ずしもご自身のお宅だけではなくて、ホームパーティーの時にみんなでオーダーをし合うとかというのも含めてです。ただ、その一方で、例えば配達場所のランキングで見てみると、代々木公園や、スカイツリーといったようなところも入ってきています。公園はなんとなくイメージがつくかもしれないですが、飲食店があるようなところであったとしても、そこからのオーダーも少なくない状況になっています。
ユーザーが増加するタイミングはどのような時ですか?
おかげさまでお客様の数は継続的に増え続けております。私たちのプラットフォームを支えてくださっているのはお食事を楽しむお客様と、レストランパートナーの方々、そしてお食事を運んでくださる配達パートナーの方々。その3者のバランスが非常に重要ですので、そのバランスを細かく確認しながらマーケットを育てているというのが状況です。
雨の日などは利用が多いですか?
例えば、酷い台風で外に出るのが大変な日は、もちろんお食事を頼む方々の需要はすごく上がります。一方で、配達パートナーの方々にとっては危険が及びうる可能性がありますので、そういった本当に酷い台風の日ですとか大雪の日は、サービス自体を休止しているんですよ。私たちにとって、お客様はもちろんですが、配達パートナーも大切な存在だからです。
特別な日の需要を、日々の需要に変えていく
Uber Eatsの特徴について教えてください
大きくは2つあると思っています。ひとつは注文というボタンを押してから、実際に玄関でピンポンと鳴ってお食事を受け取るまでの時間が、グローバル平均で30分以内であるという点です。本当に食べたい時に食べたいものを30分以内で受け取れるというのは、すごく利便性が高いと思っています。
もうひとつ、今まで日本の中では「出前」というカルチャー自体は、すごく長くあるものだと思います。ただ、出前といった時に、例えば大晦日にお蕎麦をみんなで頼む、お誕生日にみんなでピザを頼む、そういった特別な日の需要がすごく多かったと思っていて。私たちは特別な日の需要を、日々の需要に変えていくことを目指しています。お客様は、今までの出前といって想像するお店のバリエーション、例えばピザ、お寿司、ラーメン、お蕎麦のみならず、コーヒー、ドーナツ、はたまたタピオカティーなどもUber Eatsでご注文が可能です。そういった、何かを食べたいなと思った時に応えられる幅広いセレクションを揃えているのが大きな特徴になっていると思います。
ユーザー層が幅広いからこそ、色々な店舗をセレクトしているのですか?
例えば、ある実際の店舗ではお客様に男性の方々が95%ぐらいを占めるような種類の、スタミナどんぶりのお店であったりしても、実はデリバリーの利用を見ると女性が結構オーダーをしていたりするケースはよくあります。私自身も実は、店舗には行ったことがないお店でも、よくリピートしてデリバリーのオーダーをしているケースもあります。そういった意味では顕在化していない多様なニーズまでも含めて応えるためには、幅の広いセレクションが必要だと考えています。
配達パートナーは新しい働き方の選択肢
Uber Eatsの楽しみ方やメリットを教えてください。
まずは「お食事を楽しむ方」という意味においては、お土産としてのご利用など、自分が食べるだけではない使い方も、ぜひ試していただきたいなと思っています。
あと実は、お食事を楽しむ側になるだけではなくて、「配達パートナー」になるところもひとつのある意味楽しみ方だと思っていまして。実はUber Eatsの配達パートナーで、普段はフルタイムの仕事をしている方々がかなりの割合いらっしゃいます。そうした方々によく聞かれる声としては、例えばスポーツジムに行って会費を払って壁に向かって自転車を漕ぐよりも、外で新しいお店を発見しながら自転車を漕いで、収入も得られ、しかも「ありがとう」と言われる方が嬉しい、というものです。
学生さん達だとゲーム感覚でやられている方もいますね。お友達同士で誰がその日一番稼げるかとかっていうのを楽しんだり、過去にどういうお店から、どういう時間帯に配達依頼がはいる傾向が多いかというのを自分たちで考えて、それで競争しあっているというようなことも聞きます。
フルタイムで働きつつ配達パートナーをやる方の割合が多いですか?
そうですね、かなり多くの割合でフルタイムの方々がいらっしゃいます。あとはフリーランスの方々もいます。フリーランスの方々の中には、芸人さんやモデルさんもいらっしゃいます。オーディションが入った時には絶対にチャンスを逃したくないので、時間の融通がきくというのが大きな理由のようです。はたまた、まだ起業したてで、先行きが分からないから収入源を残しておきたいというような方、あとは飲食系で起業準備をしていて、どこにどういうニーズがあるのかを見たいという理由で配達パートナーになる方もいらっしゃいます。もちろん、学生さんも多いですね。
自分のメリットに合わせて配達パートナーを選択されているのですね
メリットという意味ですと、例えば小さなお子様がいるお母さんで、幼稚園に子どもが行っている間だけ社会との接点を持つ、という意味で配達パートナーをしたいというような方もいます。あとは引きこもりになってしまって、調子の良い時だけ働いて、徐々に社会との接点を増やしていきたいというような方で配達パートナーを始めて、その後実際にフルタイムの仕事に戻られたというような方もいらっしゃいます。
配達パートナーの質の向上についての取り組みを教えてください。
アプリ内に相互評価という制度はありますが、それだけではなく、私たち独自のコミュニティガイドラインを設定しております。サービスをご利用いただく全ての方々(お客様、レストランパートナー、配達パートナー)にお願いしたい礼儀やマナーなどを記載したものです。Uber Eatsは3者の信頼関係があってこそのサービスですから。あとは配達パートナーへのサポートも強化しています。例えば昨年10月からは新たな補償制度を私たちから提供させていただく取り組みも始めています。
それに加えて、定期的に配達パートナー向けのイベントを開いて、ノウハウの共有や食の安全・交通安全などの啓発活動をしています。例えばより安全に配達をしていただけるように、警察の方々と組んで自転車の交通ルールのセミナーなど色々な取り組みをしています。あとはニュースレターを定期的に送るなども行っていますね。
導入しやすい仕組みで新しい顧客層を開拓
Uber Eatsを導入することによって店舗側の変化はありますか?
売上がすごく上がるとおっしゃっていただいていますね。あとは商圏が広がり、これまで取り込めなかった新しい顧客層の獲得に貢献しているところですね。実店舗では男性が多いお店だけども、Uber Eatsだと結構女性も頼んでいるというように、新しい顧客層が入ることで、今までの顧客層は引き続き維持しつつ純増になっているというのがほとんどのレストランパートナー様から聞くお声です。
店舗側の導入時のハードルは高いですか?
かなり低いと思います。初期費用はほとんどかからないので*、始めようと思って、わりとすぐに始めていただけるというところは、メリットではないかなと思います。
*現在は中小規模レストランを支援する目的で、初期費用を免除している。
どのようなニーズがあって導入する店舗が多いですか?
今まで配達サービスをやっていないから、ぜひやってみたいというお客様も多いですし、昔は配達をやっていたが、泣く泣くやめてしまったというようなケースもあります。例えば築地にある130年ぐらい続く老舗のお蕎麦屋さんのケースですと、もともとせいろを高く積み上げて、自転車で出前を運んでいたんですが、それがやはり人手不足というところもあって出前を続けることができなくなり、出前をやめられたのですが、Uber Eatsができたことで、サービスの開始当初から入ってくださっています。昔も出前をやっていて、固定費を投入することなくできる配達サービスとして再度始めてくださったお客様と、Uber Eatsをきっかけとして新たな売り上げを取りにいくために導入するお客様と両方いらっしゃるかたちです。
今回のインタビュー動画はこちらから
武藤 友木子 (むとう ゆきこ)
日本におけるUber Eatsの責任者。重要市場である日本のUber Eatsのビジネスを統括している。Uber入社以前は、グーグル合同会社にて新規顧客開発の日本代表を務めた。グーグル合同会社以前は、オープンテーブル株式会社の代表取締役社⻑を務め、日本での経営を担った。
それ以前は、6年間にわたり、トラベルズー・ジャパン株式会社で代表取締役社⻑およびTravelzoo Asia Pacificのエグゼクティブオフィサーを務めたほか、楽天株式会社では楽天ダイニング事業の統括本部⻑を含む様々な要職を担い、事業の再編や特別プロジェクトの統括を担当した。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループでキャリアをスタート。その後、co-founderとして起業した事業を楽天株式会社に売却した。
インタビュー:NANASE / 撮影:堅田ひとみ