ビットコイン(BTC)誕生以来、悪用するダークネットのトランザクションがはびこるのは本来避けられない現象かもしれません。データによると、ダークネットでのビットコインのやりとりは2020年第一四半期(Q1)大幅に増加しています。
このようなトランザクションは、ビットコインのエコシステムに本質的備わったものであると見なされ、そのようなトランザクションのないビットコインを考えることは、真に分散型にする中心的機能の本質を侵害することになりかねないとの見方があります。
ダークネットで扱うビットコインは3年前との比較で5倍近くに
ブロックチェーン技術サービス会社ビットフューリー(Bitfury)社のプラットフォームであるCrystal Blockchain(クリスタルブロックチェーン)のリポートによると、ダークネットで受け渡しされるビットコインの量は、今年大幅に増えています。例えば、20年Q1にダークネットに送金された総額は4億1,100万ドル(約440億円)に達しました。17年Q1のその総額が8,500万ドルでしたから、4.8倍余りに跳ね上がっています。
しかし、このようなダークネットでのトランザクションに関わる仲介業者は、この3年間大きく様変わりしました。法的要件に満たない取引所の利用は、2017年Q1に76%もあったのに対して今年Q1のそれは46%に減りました。一方、法的要件を満たした取引所は、(取引所を介した送金ではない)ダークネット実体から受け取るBTCに限ると、17年の14%から20年の29%に増加しています。
ダークネット内で活動する顧客を抱える取引所は3分の1以上?
この相反する傾向の理由は、「FATF(金融活動作業部会)が発した要件が理由で、法的要件を実施した取引所が増えているため」と説明されています。
法的要件を満たさない取引所から市場参加者への移行が進んでいることは事実ですが、以前からある取引所の多くは、ダークネット内で活動する顧客を依然として抱えています。サイバーセキュリティ企業のサイファートレース(CipherTrace)のチーフアナリストであるジョン・ジェフリーズ(John Jefferies)氏は、ダークネット内で営業するコンプライアンス実績が乏しい多くの取引所は、「より不法でリスク絡みの資金を受け取る傾向にある」と指摘し、そのような取引所の数は3分の1を上回ると語っている。
裏世界ディープネットの一角を占めるダークネット市場は取引所で支えられる
サイファートレースのデータを利用するデータ分析会社クリプトコンペア(CryptoCompare)のリポートによると、取引所の38%はハイリスクな相手とやりとりがあり、その数は自社全トランザクションの4分の1を超えると報告しています。同社によると、これらハイリスクな相手と深いかかわりのある取引所は、DECOIN、BTC-Exchange、Coinhub、RightBTC、CoinTigerなどの企業名が上がっています。
ダークネット市場は、インターネット裏世界のディープネット(DeepNet)の一角を占めるだけではなく、金銭的には取引に利用されるハイリスクであまり法律を順守しない取引所によって依然として支えられています。
参考
・Exchange Benchmark Report
・Darknet Use and Bitcoin — A Crypto Activity Report by Crystal Blockchain
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