積み立て(つみたて)NISAを利用する場合、確定申告の手続きが必要なのかどうか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、積み立てNISAで運用益が出た場合の確定申告など、積み立てNISAと税金に関する疑問について解説します。
積み立て(つみたて)NISAで利益が出たら確定申告は必要?
積み立てNISAで利益が出ても、基本的に確定申告の必要はありません。
なぜなら、NISAは正式には「少額投資非課税制度」といい、投資によって得た利益は課税の対象になっていないからです。
ただし、証券会社で積み立てNISA口座と一般口座を併用している場合は、一般口座の利益に関しては確定申告が必要です。
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積み立て(つみたて)NISAとは?
積み立てNISAと税金の関係をより理解しやすくするために、積み立てNISAとは何かを理解しておきましょう。
NISAとは?
NISAとは、投資利益にかかる税金を一定の上限を設けた上で非課税とする少額投資非課税制度のことをいいます。
NISAと積み立て(つみたて)NISAの違い
NISAには「NISA」と「積み立てNISA」があります。
NISAと積み立てNISAは、1年間の非課税限度額、総非課税限度額、拠出方法、最大非課税期間に違いがあるので、両方の内容を理解した上で利用することが必要です。
また、NISAと積み立てNISAは併用することができないので、NISAの口座を開設する場合は、NISAまたは積み立てNISAのどちらかを選択して口座を開設します。
NISAの正式名称である、少額投資非課税制度からも分かるように、NISAとは少額投資が非課税になる制度なので、NISAと積み立てNISAどちらを選んだ場合でも、運用益に対して税金はかかりません。
確定申告とは?
確定申告とは、前年度1年間の収入(売上)から経費を差し引き、残った所得に対してかかる所得税(および復興特別所得税)を計算して、申告・納税する手続きのことをいいます。
毎年、確定申告の申告期限までに、確定申告書類および必要書類を管轄の税務署に提出することで、確定申告手続きを行います。
積み立て(つみたて)NISAは例外、他の投資は確定申告が必要!
年金制度の法改正に伴い年金の受給年齢が引き上げられていることから、老後資金を確保するための資産形成を目的として投資を行う方が年々増えています。
事業所得や給与所得以外でも、投資によって得た利益は所得税の課税対象となります。
積み立てNISAは確定申告を行う必要はありませんが、これはあくまでも例外です。投資によって得た利益については、原則として確定申告が必要なため、積み立てNISAと一般口座を併用している場合には、確定申告をして納税する必要があります。
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積み立て(つみたて)NISAが非課税になるメリットとは?
投資によって得た利益に対して課せられる所得税(および復興特別所得税)の税率は、およそ20%です。
通常の投資によって10万円の利益があった場合、2万円強の税金を支払う必要があるため、手元に残る金額は8万円弱となります。
積み立てNISAは非課税制度なため、10万円の利益が出たら10万円が手元に残ります。
積み立てNISAは最長で20年間の非課税期間がありますので、仮に2万円ずつ20年間節税できたとすれば、20年間で40万円の税金を節約することができます。
さらに、積み立てNISAは1年間で40万円を限度に投資を行うことができるので、利益が大きくなればさらに税金を節約することも可能です。
積み立て(つみたて)NISAの注意点
積み立てNISAで得た運用益は原則非課税なので確定申告は必要ありませんが、非課税期間が終了後や非課税額が余った場合など、注意しなければいけないポイントがあります。
積み立て(つみたて)NISAの非課税期間終了後はどうなる?
積み立てNISAの非課税期間は最長20年です。非課税期間が終了すると、積み立てNISA勘定のまま保有を続けることができないため、課税対象の「特定口座」や「一般口座」に移管する必要があります。
例えば、40万円で購入した投資信託が非課税期間終了時に30万円に値下がりした場合、もうすぐ値上がりしそうなので売却したくないというケースでは、課税口座に移管して保有しなければなりません。
マイナス10万円の状態で課税口座に移管し、40万円で売却した場合、本来であれば購入時の40万円に戻っただけですが、このケースでは課税口座の投資信託の30万円が40万円になったとみなされます。そのため、課税口座に移管後に増えた10万円に対して約20%の税金がかかってしまいます。
購入時の価格よりも下がった状態で課税口座に移管し、購入時の価格以上になってから売却を行う場合には、税金に注意することが必要です。
積み立て(つみたて)NISAは損益通算ができない
積み立てNISAは損益通算ができません。損益通算とは、一定期間の利益と損益を相殺することをいいます。
例えば、Aに投資した分で50万円の利益があった場合、50万円の利益に対して税金がかかりますが、Bに投資した分で30万円の損失があった場合は、Aで得た利益からBの損失を引くことができるため、残った20万円に対してのみ税金がかかります。
しかし、積み立てNISAは損益通算ができないため、一般口座で50万円の利益があり、積み立てNISAで30万円の損失があったとしても積み立てNISAの損失分を差し引くことができません。そのため、50万円分に税金がかかります。
積み立て(つみたて)NISAは繰越控除ができない
損益通算をしてもマイナスが残っている場合、向こう3年間にわたり、翌年の利益と相殺することができます。このことを繰越控除といいます。
しかし、積み立てNISAは損益通算をすることができないため、繰越控除を行うこともできません。
余った非課税枠は繰越できない
積み立てNISAで余った非課税額は、繰越できません。
積み立てNISAは1年間で40万円まで投資を行うことができますが、仮に1年間で20万円分の投資しかしなかったとしても、残った20万円の枠を翌年に繰り越して、翌年に60万円分の投資を行うことはできないということです。
1年間で可能な非課税の投資枠は、翌年に持ち越すことはできないので注意しましょう。
積み立て(つみたて)NISAの口座のみを開設することはできない
積み立てNISAの口座を開設する場合、積み立てNISAの口座のみを開設することができません。証券会社なら「証券(総合)口座」、銀行なら「普通預金口座」と「投資信託口座」が必要になります。
特定口座、一般口座を併用する場合は確定申告が必要
証券会社では、積み立てNISAの口座以外に、次の3種類があります。
積み立てNISAと併用して、「特定口座」「一般口座」を利用する場合は、確定申告が必要になるケースがあります。
「特定口座(源泉徴収あり)」は、税金の計算と納税を行ってくれるので、自分で確定申告をする必要はありません。
ただし、「特定口座(源泉徴収なし)」を利用した場合は、税金の計算をしてもらえるというだけで、納税自体は自分で行う必要があります。
一般口座を利用する場合は、自分で税金を計算して、確定申告と納税を行う必要があります。積み立てNISAと一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を併用する場合は、確定申告が必要になりますので注意しましょう。
積み立て(つみたて)NISAは非課税なら確定申告不要
積み立てNISAで利益は非課税なので、基本的には確定申告を行う必要はありません。
ただし、非課税期間が終了後や、積み立てNISAと一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を併用している場合には、確定申告が必要になります。
確定申告は難しくて手続きが分からないからと必要な確定申告を行わなかった場合、ペナルティが課せられてしまうことがあるので注意しましょう。
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