JPYCは10月1日、ユーザー拡大を支援するためにPolygonと戦略的協業を行うことを発表しました。これを記念してPolygonネットワークを使用するために必要となるMATICのトークン配布キャンペーンを実施することも発表されました。
JPYCとは
JPYCは前払式支払手段として発行されている日本円連動型のステーブルコイン(1円=1JPYC)です。数少ない日本円ステーブルコインの一つで、最近では一週間 JPYC だけを使って生活するチャレンジに取り組んでいるインフルエンサー企画なども実施されており、国内でも利用が広がっています。
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JPYCはサービスサイトのフォームから申込を行い、日本円を銀行振り込みをすることによって購入できます。また、JPYCはECサイトの代理購入やギフトカードとの交換に利用できます。今後はふるさと納税などにも使えるようになるらしく、ユーザーの増加も見込まれます。
ブロックチェーンの技術面ではイーサリアム(ERC 20)、Polygon、またはxDAIのいずれかを選んでJPYCを受け取ることができますが、現在JPYCユーザーの約8割がPolygonを使用しています。さらに今後はSolana等の別チェーンやイーサリアムのLayer 2上のJPYCについても対応を検討していることのことです。
JPYC利用拡大の背景は?
今回はJPYCで事業開発を総括する竹森さんにJPYC利用拡大の背景についてお話を伺いました。
JPYCは現状どのような使い方をされているのでしょうか?
JPYCの使い道は、2021年6月に始まったVプリカギフトとの交換が非常に好評です。
Vプリカギフトは、Visaに対応している世界中のネットショッピングで利用できるだけではありません。Vプリカのアカウントを作成してVプリカギフトを登録することで、例えばPayPayや楽天Pay、d払いを受け付けているリアル店舗でも決済が使えるようになります。
当社の提供するJPYC Appsでは手数料なしで1JPYC=1円としてVプリカギフトに交換できます。通常コンビニエンスストアで購入する際にかかる200円以上の手数料のことを考えると非常にお得です。ユーザーさんによっては、ブロックチェーン上の2次流通市場のDeFiサービス経由で1JPYC=1円以下でお得にJPYCを手に入れて、Vプリカギフトに交換されている方もいらっしゃるようです。
また提携先の和らしべが開発するHiÐΞ(ハイド)というウェブサービスで提供しているブログサービスにおいて、記事主に対してJPYCで直接投げ銭で支援することができます。同サービスのクラウドファンディングでもJPYCが活用されています。既存のブログサービスやクラウドファンディングサービスでは10%以上の手数料がとられる中、このサービスなら手数料を1%以下に抑えることができます。このようにサードパーティによるJPYC活用も拡大しています。
初心者にはPolygonの利用は少しハードルが高いように思えますが、利用が8割も超えるのはなぜでしょうか?
最近JPYCの販売金額が2億円を突破し、そのうち75~80%はPolygon上のJPYCで、実はこの背景にはNFTへの関心の高まりがあります。
参照:プレスリリース
元々NFTが話題になり始めた今年の春頃、多くのアーティストがNFTを発行してみたいけれどイーサリアムのガス代が高いのでなかなか発行に踏み切れないという悩みを抱えていました。その際Polygonでならイーサリアムと同様にNFTが発行できてさらに手数料も安いということで注目が集まりました。
一方で、Polygonにはガス代として使われるトークンMATICが国内取引所で入手することができず、入手するハードルが高いという課題がありました。ここで、Polygon上のJPYCが脚光を浴びることとなりました。JPYCではもともとPolygonチェーン上のJPYC受取を希望されたユーザーの方にはガス代として少額のMATICを付与しているので、JPYCさえ購入すればガス代は手に入ります。こういった背景を受けてPolygonでのJPYC利用率が高まりました。
社会のジレンマを突破するJPYCの今後の展望は
JPYCは一般のユーザーの視点からは暗号資産のステーブルコインに見えるかもしれませんが、「前払式支払手段」という商品券やプリペイドカード等と同じカテゴリに当てはまり資金決済に関する法律の適用を受ける方法で発行されています。
国内法上「暗号資産」ではないことから、常に1JPYC=1円として会計処理することができます。現状は「自家型前払式支払手段」ですが「第三者型前払式支払手段」のライセンス取得も目指しています。
この第三者型のライセンスを取得すれば発行者(JPYC社)以外の加盟店から商品の購入や
サービスの提供を受ける場合にも支払にJPYCを使用できるようになり、使える場所や活用の幅が大きく広がります。
NFTビジネス展開を検討している事業者に関しては、JPYCを決済手段とすることで「暗号資産の会計処理の煩雑さ」の課題を解決することができます。JPYC経済圏が広がると、JPYC加盟店同士の決済でもJPYCの利用が見込まれます。
また、JPYCでは加盟店から頂く手数料は他のペイメントサービスと比べても大幅に安く設定するつもりです。JPYCはあくまでも決済の手段なので実際に使ってくれる方によって成り立っています。暗号資産の世界と普段の決済をスムーズに繋いで支払う側の体験を良くすることに加えて、店舗側のキャッシュレス決済コストを下げることによって、できるだけ決済まわりでつらい思いをするシーンを減らし、社会のジレンマをの解消していきます。
キャンペーンでJPYCを貰うには
今回Polygon人気を背景に、JPYC社とMatic Network社は、JPYCをpolygonで使う際に必要となる取引手数料として使用するMATICトークンの増額配布キャンペーンを行います。
概要:
MATICトークンの配布は 10,000人分*0.1MATIC=1,000MATIC を予定しています。
期間 10月1日から12月28日まで ※10,000人を超えた場合早期終了することもあります
配布数 1回当たり0.1MATICを配布(期間中、1日あたり1回に限る)
JPYCに興味がある方でまだpolygonポリゴンネットワークを使ってみたことがない方などは是非使ってみてはいかがでしょうか。