米大手仮想通貨採掘企業ギガワット(Giga Watt)が倒産、ビットコイン(BTC)下落相場に採掘者が苦闘

仮想通貨市場が2018年11月中旬ごろから深刻な下落相場に突入しています。同様のタイミングで、ビットコイン・マイナー(採掘企業)が続々倒産もしくは事業を縮小し始めています。米国の大手マイナーであるギガ・ワット(Giga Watt)は11月19日、会社更生法を申請して破産しました。

仮想通貨のマイニング(採掘)は、大きな電力を消費するなどさまざまな問題を抱えながら、大手マイナーにとっては「極めて儲かる」事業というのが通説でした。その現状を探ってみました。

ギガ・ワットが電気料金未払いや債権者への1,000万ドル以上の負債で倒産へ

ビットコインマイニングはそもそも、多くの変動要素があって常に不安定な立場にあります。例えば、電力消費が大きいことは良く知られていますし、採掘用のハードウエア初期投資やリースコスト、ビットコイン価格などに絶えず注意を払わなくてはなりません。多くのマイニング企業は、ぎりぎり利益を上げるか、あるいはビットコイン価格が上がるか少なくとも安定していることを基礎に事業を続けてきました。このほか個人マイナーは数知れません。

倒産したギガ・ワットは、投資家や未払の電気料金で電力会社に数百万ドルの負債を抱えています。少なくとも20の債権者に700万ドル(約8億円)余りの負債があり、裁判所に提出された更生法申請書類によると、負債総額は合計で1,000~5,000万ドル(約11~57億円)とされています。同社は昨年のICOで2,200万ドル(約25億円)余りの資金を調達していましたが、倒産時の資産は5万ドル(約570万円)以下と見積もられています。

深刻な中国ではマイニング装置など叩き売りも続出

倒産した企業はギガ・ワットに限りません。スウェーデンでは、NGDCなどのマイナーが、数百万ドルの未払電気料金を抱えて事業から撤退しました。小規模マイナーの大多数は、資本力のある大手マイナーに屈して、事業に失敗しました。主力中国のマイナーも例外ではなく、規制当局の捜査が入ったり、事業閉鎖する企業が現れています。

調査会社ディア(Diar)によると、ビットコインマイニングは多くのマイナーにとって、儲からない事業となり、この傾向は特に9月になって顕著になっています。

ビットコインマイニングの半分以上を独占する中国は、特に深刻な打撃を受けています。中小のマイナーは、Antiminer S7やT9、Avalon A741など旧式のマイニング装置を量りで叩き売っていると伝えられています。

ノルウェー政府が給電の補助制度を廃止、マイナーは窮地に

一方ノルウェーでは、国内のマイナー向けに政府補助金を出して供給してきた給電政策の廃止を決定したため、マイナーに大きな打撃を与えています。ノルウェーのマイナーは19年1月から、標準価格で電気料金を支払わなくてはなりません。

この決定は、ビットコイン価格が急激に下落した時期と一致したことから大きな波紋を呼んでいます。マイナーは補助金制度によってこれまで、キロワット時(kWh)当たり0・05ドルであったものが、19年1月からは約1.73ドルに跳ね上がります。

補助金支出停止によって、マイナーは一挙に3,350%増の電気料金を支払わなくてはならない計算になります。米経済誌フォーブス(Forbes)によると、現行の電気料金で計算して、ノルウェーでは1コインのBTCマイニングコストは約7,700ドル(約87万円)に跳ね上がるそうです。

ノルウェーの情報通信技術(ICT)の利益団体ICTノルウェーのチーフエコノミストであるロジャー・シュヘルバ氏(Roger Schjerva)によると、テクノロジー全般を支援してきたノルウェー政府の信用はがた落ちになると予測しています。隣国スウェーデンは、ノルウェーの窮地に救いの手を差し伸べ、マイナーを受け入れる用意があると伝えられています。

マイニングコストは、キロワット時(kWh)当たり0.12ドル(約13.6円)と仮定すると、ASICマシンで最もメジャーなマイニングマシンであるAntiminer S9iを使うと、年間340ドル(約3万8000円)の支出となります。それでもなおビットコインマイニングは、大手マイナーにとって利益が上がってきました。kWh当たりの電気料金は、アイスランド、中国、カナダなど多くの地域で0.03ドル(約3.4円)以下と安く、ビットメイン(Bitmain)など大手のASICマイナーは今なお利益を上げられる訳です。

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参考
CRYPTO DISRUPT
BITCOIN NEWS

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