イーサリアムがマイニングを廃止してプルーフ・オブ・ステークへ完全移行する一大大型アップデート”The Merge(マージ)”に向けて、中国人マイナー達は自身の利益を守るためにイーサリアムをフォーク(分裂)させるための”イーサリアムPoW(ETHW)のソフトウェアであるGeth”を公開した。
このイーサリアムPoWはETHWとしてIOUトークンで米仮想通貨取引所のポロニエックス(Poloniex)で取引が先行してはじまっている。
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イーサリアムPoW(ETHW)とは?
イーサリアムPoWとはその名前の通り、正規イーサリアムネットワークが破棄するGPUやASICのような演算をするデバイスを必要とする”マイニングを廃止せず、現在のイーサリアムを継続するネットワーク”を指す。
イーサリアムはローンチ前から計画していたETHをステーキングしてネットワークを構成するプルーフ・オブ・ステークである独自の”Casper FFG”に完全移行するため、9月以降はマイニングをすることができない。開発者達は既に9月15日をこの移行を行うThe Merge(マージ)の予定を設定しており、後1ヶ月後に迫っている。
イーサリアムPoW(ETHW)は日本時間15日、イーサリアムを分裂(フォーク)させるためのソフトウェアとなるコピーした”Geth(ゲス)”を公開した。
イーサリアムPoWとイーサリアム2.0の違い
マージ(The Merge)では正規イーサリアムネットワークは"イーサリアム2.0またはETH2"となり、根本的な仕組みの変更が行われる。
対してイーサリアムPoWでは”マイナーに都合がいいように変更された現在と同様のイーサリアムネットワーク”となる点が大きく異る。例えばイーサリアムPoWの初期バージョンでの変更点では
- ディフィカルティボムの排除
- EIP-1559の手数料をマイナーDAOへ送金
- 難易度を新たに調整
が主な変更点だ。
このような”マイナーの収益のためだけにある”と言える変更を加えたネットワークはブロックチェーン史上初となる。
ETH速報:イーサリアムの分裂(フォーク)をThe Mergeで行い、マイニングを継続するイーサリアムPoW(ETHW)が初期バージョンのGethを公開。
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) August 15, 2022
・ディリカルティボム排除
・EIP-1559償却排除
・難易度調整
が主な特徴となるhttps://t.co/Wo0KcAXfCI#イーサリアム #仮想通貨 #マイニング #ETH
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中国人マイナーのためのイーサリアムPoW
EIP-1559とはイーサリアムに実装された”手数料として支払われたETHを償却(バーン)”するというシステムだ。このEIP-1559導入後、マイナーは”優先手数料(Priority Fee)”と言うごく一部の手数料しか入手することができず、この仕組みによってマイナーがネットワーク攻撃を仕掛けることを防止しつつ、ETH価格をサポートすることが目的とされている。
一方でイーサリアムPoWでは
「マイナーDAOアドレスに本来バーンされる大半の手数料を送金する」
という仕組みとなっている。
イーサリアムPoWによるとこのアドレスはコミュニティ及びマイナーでコントロールされるとしているが、このようなマイナーだけに偏った自己利益を重視したものは初の事例といえる。また現在のイーサリアムを分裂(コピー)する行為はDeFiやNFTマーケットプレイスからみても大きな混乱を呼び、波紋を広げることになるだろう。
公開されたThe Merge(マージ)で分裂するためのイーサリアムPoW(ETHW)のGethコードを見たところ
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) August 15, 2022
チェーンID:10001
に設定。
問題のEIP-1559で本来バーンされるBase Feeは”マイナーDAO”のマルチシグアドレス(GnosisSafe)へ送金マイナーのための集金チェーンですね#イーサリアム #ETH pic.twitter.com/DRjWuq75ri
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