エニグマ(Enigma)は、プロトコルローンチに向けて開発のアップデートを発表した。アップデートの発表により、間もなくローンチすると思われる。Enigmaは、分散型Web用のプライバシーレイヤーを構築しており、Dapps(分散型アプリケーション)やさまざまなプラットフォーム上で、個人情報、機密データを安全に使用できるようにするプロトコルの構築を進めている。
本コラムでは、発表されたEnigmaの開発内容をまとめていきたいと思う。
エニグマ(Enigma)プロトコルのローンチが間近
出典:Enigma
現在、DockerネットワークでEnigmaプロトコルの実用的な実装を待っており、各コンポーネントが自身のコンテナ内で展開することができる。エンドツーエンドの総合テストでは、Javascript LibraryとEnclave間で暗号化キーを交換。シークレットコントラクトをRustで書き、それをWASMにコンパイルしネットワークに展開。ネットワーク内で限られた期間有効な状態暗号化キーを取得。入力を暗号化して正しい出力を取り出すことでシークレットコントラクトを結ぶことができ、1人のクライアントだけが復号化することができる。
これは、すべてが予定通りに行われ、すべての操作が指定されたとおりに実行される最高のシナリオだ。これからリリースされるまでに起こり得るすべてのことに対してカバーし、エラーが正しく処理されることを確認していく。
EnigmaのシークレットコントラクトはRustで書く。Rustは安全で高性能な言語だが、Solidityに慣れている多くのDapps開発者にとっては新しい言語となる可能性がある。最初は、Yao’s Millionaires Problemを単純に実装したRustプログラムとなる。次に、暗号化された状態を維持し、プライベートデータに対して計算を実行するEnigma互換のシークレットコントラクトに移行。そして、自身のローカル環境でネットワークを起動する方法、シークレットコントラクトをコンパイルしネットワーク上に展開する方法、シークレットコントラクトをフロントエンドに接続しプレイする方法について共有していく。
開発はすでに最終段階、追加される機能とは?
Enigmaは開発の最終段階に入っており、次はシークレットノードに関連するもの(ノードの要件や経済に関する詳細)をノードランナーにガイダンスする。初期のノードランナーがEnigmaの将来の大きな部分となることを願う。
Enigmaの開発チームは、多くのユースケースとパートナーを追求している。発表されていない多くのプロジェクトや組織とのコラボレーションも続けている。シークレットコントラクトは、分散型アプリケーションの採用を促進する重要な部分であると考えている。以前発表したローンチパートナーと最終準備を始めており、シークレットコントラクトを含む最初のアプリケーション作成と展開についてサポートを続けている。メインネットでのEnigmaの焦点は、ネットワークのユーザビリティ(使いやすさ)である。
プロトコルローンチに向け機能面も追加されている。
ステートフルシークレットコントラクト
シークレットコントラクトは状態を維持することができ、個人の計算または異なるタスク間で暗号化されたデータを保持することを可能にする。ステートフルコントラクトは、ステートレス計算よりも多くのユースケースを可能にする。
スマートコントラクトからシークレットコントラクトを切り離す
Enigmaネットワークは合意レイヤーとしてイーサリアム(Ethereum)に頼るだけ。イーサリアムの必要条件と制限から切り離される。シークレットコントラクトには、独自のランタイム言語とプログラミング言語(Rust)を使用する。
プライベート出力
プライベート入力に加えて、ネットワークは連鎖で暗号化された契約状態を保持し、Dappsユーザーに直接暗号化された結果を送信。計算出力の保存をサポートする。
インセンティブ
各ノードは、ネットワークに参加したことに対して経済的報酬を受取る。ノードが所有するENGトークンの量によって、あらゆる計算に機能するようにランダムに選択される。
イーサリアム(Ethereum)統合
シークレットコントラクトは、イーサリアム(Ethereum)に展開されるスマートコントラクトに任意の機能を呼び出すことができる。
P2Pレイヤーとストレージレイヤー
完全にゼロから再設計された機能で、Enigmaネットワークに不可欠な部分。イーサリアム(Ethereum)に頼ることはない。
エニグマ(Enigma)パートナー企業も着々と準備
Enigmaは、プロトコルローンチまで間もなくといった感じだ。パートナー企業も着々と準備を進めているようで、シークレットコントラクトによる分散型アプリケーションは、一気に注目されるのではないだろうか。また、Enigmaネットワークに協力し、経済的インセンティブを得ようとする投資家も多いはず。これらの詳細についても、今後待ち遠しいばかりだ。
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参考:Enigma Blog