
「Proof of Consensus(プルーフ・オブ・コンセンサス/PoC)は、日本でも人気の高いリップル(Ripple/XRP)が採用するコンセンサス・アルゴリズムです。コンセンサス・アルゴリズムとは、ネットワーク上の取引をどのように承認するかを規定するルールです。例えば、ビットコインが採用する「Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク/PoW)は、マイニング(採掘)という仕組みに基づき、取引を承認しています。
本記事では、「PoC」の仕組みやメリット・デメリットについて解説します。
PoC(Proof-of-Consensus)とは?
リップル(Ripple/XRP)が採用するコンセンサス・アルゴリズムは、「Proof of Consensus(以下、PoC)」です。皆さんの多くが聞いたことのある言葉だと思います。しかし、PoCという表現を使うのは日本だけだとご存知でしたか?
日本人のリップラー達はどうやらXRPの合意アルゴリズムを「PoC」とよく呼ぶらしい。「proof of consensus」という意味かな?でもそれは正直間違っているぞ。「proof of X」というのは「私はXをしました証拠をあげるから、私を信じろ」という意味です。XRPコンセンサスにはそういうロジックはない。1/2
— Ethan MacBrough (@emacbrough) 2018年3月17日
海外では、PoCの代わりに「RPCA(Ripple Protocol Consensus Algorithm)」と呼ぶようです。そのため、PoCの日本語訳の「合意による証明」という表現にこだわる必要はないでしょう。
次の章では、リップル(Ripple/XRP)の採用するPoCの仕組みについて考えます。
リップル(Ripple)の取引承認の仕組み
リップルにおいて、全取引記録のことはレジャー(Ledger)と呼ばれます。
レジャーに、過去の取引がたくさん格納され、保管されています(XRP Ledger)。
では、リップル・ネットワーク上で取引の承認をしている人は誰でしょうか?彼らは「バリデーター(Validator)」と呼ばれます。バリデーターの仕事は、取引を承認して合意を形成することです。全体のうち80%が承認すると合意が成されます。
バリデーターは誰にでもなれるわけではありません。基本的に、金融機関をはじめとする信用力のある組織が、バリデーターとしてふさわしいとされています。
PoC(Proof of Consensus)のメリットとデメリット
PoCの是非については、仮想通貨の世界でも大きく意見が分かれます。ここでは、メリットとデメリットを示すことによって、PoCについて考えていきます。
メリット
PoCのメリットは、2つあります。
1つ目のメリットは、「合意形成の時間が短い」ことです。ビットコインやイーサリアムなどの取引量が多い仮想通貨は、「スケーラビリティー問題」を解決しなくてはなりません。スケーラビリティー問題とは、取引量の増加による取引速度の遅延や手数料の高騰のことをいいます。これに対して、PoCはマイニング(採掘)によって取引を承認するのではなく、バリデーターがその役割を担います。そのため、合意形成にかかる時間が大幅に短縮されます。スケーラビリティー問題は、将来的に参加者が増えていくにつれ必ず直面します。PoCは、すでに十分な準備ができているという点で、高く評価できます。
2つ目のメリットは、「バリデーターの信頼性が高い」ことです。リップルのバリデーターは、金融機関をはじめとする信用力のある組織だ、と述べました。もし、バリデーターがよくわからない個人の集まりだとしたら、「本当に信頼性があるのか」不安に思うでしょう。
デメリット
しかし、バリデーターの存在は必ずしも好ましいとは言えないこともあります。
リップルのPoCは、しばしば「中央集権的だ」と批判されています。そもそも、ビットコインが誕生したのは、各金融機関を信頼することなく送金を実現できるシステムを作るためでした。しかし一方、「リップルのバリデーターは信頼性が高い」と評価され、結局、各金融機関を初めとする組織を信頼しなくてはならないということになります。またリップルの開発を行うリップル社のXRP保有率が高いことなども挙げられています。
PoC(Proof of Consensus)は仮想通貨の普及面で期待
リップルの採用する「PoC」について解説をしてきました。バリデーターのシステムを用いることで、高速な取引を実現できるPoCの仕組みは、とても良くできています。ユーザーの利便性が高まることで、仮想通貨の普及に大きく貢献することが期待されます。一方、リップルが「中央集権的」かどうかは、議論する余地があるのではないでしょうか。
(文・師田賢人)
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