日本の仮想通貨投資家・購入者の実態レポート
最近、複数の調査レポートが出ており、日本国内の仮想通貨投資家・購入者の実態が明らかになりつつあります。
株式会社博報堂が発足した「HAKUHODO Blockchain Initiative」(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)と博報堂金融マーケティングプロジェクトは3月6日、全国の18歳から59歳の男女2万人を対象にした調査である「仮想通貨に関する生活者調査」のレポートを公開しました。
- 仮想通貨の認知度は高いものの、興味度は減少傾向
- 仮想通貨購入者の約4割が“塩漬け”状態
- 取引所の選定基準は「手数料が安い」、「セキュリティがしっかりしている」、「信頼性がある」がトップ3
- 仮想通貨に期待することは、投機的な目的に加え、新しい決済・送金インフラ等、通貨としての利便性
レポートの要点としては上記が挙げられています。
また、4割の塩漬けユーザーについて
“・塩漬け層は、仮想通貨購入者全体と比べ、既婚・子ありが多く、平均年齢も高めの傾向。仮想通貨興味度は低いものの、 今後の売買意向は66.9%と比較的高い結果に。 ・取引を行わない理由としては、「価格が安くて売りたくなかったから」(30.5%)や「価格変動が激しかったから」 (23.9%)が高く、取引所やアプリで相場をチェックしながら、売買のタイミングをうかがっていると考えられます”
という調査結果も報告されています。
PDFの全文はこちらから確認できます。
JVCEAによる2018年12月における国内の仮想通貨取引データ
加えて、JVCEA(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会)が、2018年12月における国内の仮想通貨取引データを公開しました。日本国内の取引所のアカウントを元に取引所各社の報告から作成したものです。
全文はこちらのリンクから閲覧ができます。
日本国内のユーザーの銘柄ごとの保有額は、下記のようになっています。
- 【現物保有額(単位:円)】
- ビットコイン(BTC) 656億5,000万
- リップル(XRP) 989億7,600万
- イーサリアム(ETH)164億7,700万
- ビットコインキャッシュ(BCH)61億5,900万
- モナコイン(MONA)36億5,400万
- ライトコイン(LTC)14億5,300万
BTCよりXRPを保有するユーザーの方が多く、日本国内では顕著にXRPを好む投資家が多いことが明らかになっています。XRPと比較したETHの保有量は非常に少なく、国内の投資家の属性がよくわかるデータです。
外国為替とFXの情報サイトであるザイFX!の高城泰さんが、これをもとに主要仮想通貨の日本人保有割合を計算しています。ビットコインは全体供給量の1%を日本人が保有していますが、XRPは全体供給量の6%を日本人が保有しています。
昨日発表されたJVCEAの月次データから、主要仮想通貨の日本人保有割合を計算しました
BTCは1%弱なのに対して、XRPは6%を日本人が保有。国産のMONAは別格として日本人のリップル偏重、顕著ですね
MONA 68.8%
XRP 6.2%
ETH 1.1%
BTC 0.9%
BCH 2.0%
LTC 0.7% pic.twitter.com/RDWKzFdDnW— 高城泰 (@takagifx) 2019年2月21日
仮想通貨と為替、それぞれの証拠金取引が日本でどれだけ取引されてるか、規模感を比べてみました
・取引高は為替が35倍と圧倒
・稼働口座数は仮想通貨が為替の半分近くまでせまる
・仮想通貨は1口座あたりの証拠金がきわめて少ない pic.twitter.com/ZXeculkSws— 高城泰 (@takagifx) 2019年3月1日
上記のレポートから読み取れること
上記のレポートから得られる示唆は多くあります。ETHの人気がないことに関しては、スマートコントラクトや分散型金融などのコンセプトはマスの個人投資家にとって難しかったことが分かります。また、BTCを購入する前にまずXRPを購入するユーザーが多いことは、やはり銀行送金という機能がわかりやすかったことや、単位あたりが安価であることが魅力に感じたのではないかということは容易に想像ができます。
これらのデータを照らし合わせれば、国内で塩漬けされている暗号通貨のおおよその総量、2017年のバブル期に参入した個人投資家のボリュームがわかります。2017年にマーケットに影響を与えていた主体は彼らであり、その実態をイメージすることは重要ということから、今後を占う上で上記2つのレポートは有用です。
ぜひ直接調査レポートを確認すると良いでしょう。
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