
「海外送金」に仮想通貨を利用するとお得、ということを解説する記事です。一般的な海外送金の仕組みや問題点。仮想通貨による海外送金のメリットやデメリットについて分かりやすくまとめています。
一般的な海外送金の仕組みとは?
「海外送金」って利用したことない人がほとんどですよね。ですので、ここで一度海外送金の仕組みについて簡単に説明します。もちろん、取引銀行や送金方法によって少しずつ違いはあるので、参考として考えてください。
まず、海外送金は8つのステップから成り立ちます。
- 送金依頼
- 送金資金(+為替手数料)の支払い
- 「送金手数料」の支払い
- 支払い指図(電信)
- 送金資金の決済
- 送金到着通知の受取
- 「受取手数料」の支払い
- 送金資金が受取人口座に入金
ここでは、8つのステップについて詳しく解説しませんが、複雑なプロセスを経て海外送金が行われていることが分かっていただけると思います。そのため、手続きには1週間ほどはかかってしまいます。
そして、海外送金には、3つの手数料が存在します。
- 為替手数料
- 送金手数料
- 受取手数料
1つ目の「為替手数料」は、送金資金の支払いで計算されるTTSレート(銀行からの購入レート)に上乗せされています。2つ目の「送金手数料」は、言葉の通り送金にかかる手数料です。3つ目は、受取銀行へ支払う「受取手数料」です。
これら3つの手数料を合わせて海外送金にかかる金額を計算すると、数千円と多額のコストがかかります。
仮想通貨による海外送金の仕組みとメリット
前章では、一般的な「海外送金」の問題点を明らかにしました。「時間がかかる」ことと「手数料が高い」ことです。この2つの問題点を「仮想通貨」は解決することができるのでしょうか?結論から述べると、答えは「YES」です。仮想通貨を使えば、海外送金に時間もお金もほとんどかかりません。
仮想通貨の海外送金が「時間」も「お金」もかからない理由は、今までの海外送金の仕組みと、仮想通貨による海外送金の仕組みの違いを考えることで分かります。両者が決定的に異なる点は、「仲介者の有無」です。
今までの海外送金の仕組みは、送金人と受取人の間で海外送金をする時に、銀行を経由する必要がありました。そのため、仲介してくれる対価として多額の手数料を支払っていたわけです。さらに、複数の銀行における手続きをいくつも介さなくてはならなかったため、時間もかかりました。
しかし、仮想通貨の送金プロセスに「仲介者」は存在しません。取引の正当性を、テクノロジー(技術)つまりブロックチェーンを応用することで担保できるようになったからです。つまり「仲介者」を経由していないので、仲介に関する手数料を支払う必要はなく、時間もかからないというわけです。ただし、手数料もかかる時間もゼロではない点はご留意ください。
まとめると、一般的な海外送金の問題点であった「時間がかかる」ことと「手数料が高額」という問題点を、ブロックチェーンによって仲介者を無くすことで、解決できるということです。
仮想通貨による海外送金で気をつける点
仮想通貨による海外送金のメリットについて、解説しました。それに対して本章では、仮想通貨による海外送金の「思わぬ落とし穴」を3つ述べ、注意喚起したいと思います。
ボラティリティー(価格変動性)の高さ
ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨のボラティリティー(価格変動性)は高いです。そのため、受け取った仮想通貨をそのままにしていると、価値が減損している可能性があります。それを回避するためには、受取と同時にすぐ法定通貨(ドルや中国元など)に変えると良いでしょう。
送金時におけるミスが致命的になる
仮想通貨を送金するときには、受取人のアドレスを入力します。アドレスは、複雑ですので入力ミスがあってもすぐに気づくことはできません。もしアドレスを間違えて送金をしてしまうと、送った金額が消失してしまうリスクがあります。それを防ぐためには、一文字ずつ注意深く確認することや送金を複数回に分けて行うことを考えてもいいと思います。
スケーラビリティー問題
仮想通貨のスケーラビリティー問題にも注意する必要があります。スケーラビリティー問題とは、取引量の増加により取引時間が遅延し、手数料が高騰することをいいます。
例えば、2017年末は仮想通貨の取引量が非常に増えていました。そのため、通常であれば数円から数百円であるビットコインの手数料が数千円まで高騰してしまう現象が起きました。また、取引もなかなか処理されず送金詰まりのようなことが起こりました。
これに対しては、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの仮想通貨は解決策をいろいろと試行錯誤しており、将来的には解決される可能性が高いです。
まとめ
「海外送金」に仮想通貨を利用すると、「時間」と「お金」を節約できることが伝わったかと思います。ただ、本文でも述べたように注意すべきポイントもあるので、正しく送金するように気をつけましょう。
(文・師田賢人)