イーサリアム(ETH)のマイニング報酬による市場価値への影響と今後の方針とは

新規に発行されるETHについて。

ビットコインでは、将来に新規発行されるコインの総発行供給量が2,100万枚であることが決まっています。これに対して、イーサリアム(ETH)は将来に供給される総発行量の制限を設けていません。言い方を変えるならば、ETHは無制限に発行されます。

執筆時点におけるイーサリアム(Ethereum)の仕様では、ブロック報酬として1ブロックあたりマイナーに2ETHが支払いされます。これは直近の大型アップデートであるコンスタンティノープル(Constantinople)で3ETHから2ETHに変更になりました。現在、年間に発行される新規ETHの量は、イーサリアムネットワーク内で現在供給されているETHに対し4.5%です。

基本的に、イーサリアムの開発方針として、なるべく新規発行のコインは減らしたい考えです。今後コンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行したとき、1ブロックあたりの報酬は更に少なくなる予定です。

どのように少なくしていくかについては、現在、さまざまな提案がされている最中で明確には決まっていませんが、減少させていくという方向性は確実です。

PoS移行後のバリデータ報酬をどのようにするかは、5月にもヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が新しいモデルを提案をしており、今後も繰り返し議論が行われる見通しです。これについては下記の記事でも触れています。

関連記事:Ethereum2.0でのバリデータへのリワードについて新しい提案の解説

Ethereumのマネタリーポリシー

イーサリアムがどのようにコインの新規発行の調整をしていくかの方針、つまりマネタリーポリシーですが、それは「Lowest possible issuance to secure the chain(ブロックチェーンの安全を守りつつ、インフレーションレートはできるだけ下げる)」という考えの下で進んでいます。

コインの新規発行は、ブロックチェーンをセキュアにするために働くマイナーまたはバリデータのための必要報酬ですが、発行量によってインフレーションレートが変動します。このインフレーションレートを上げすぎると既存のホルダーが所有しているコインの価値を希釈化することになります。

現在は供給されているETHに対して、4.5%が新規発行されていると既に述べましたが、これはホルダーにとって、年間で4.5%ずつインフレを起こす資産であるといえます。もし需要が昨年と変わらず一定であるのならば、この4.5%の新規発行によって、徐々に価値が希釈されていくことと同義です。

ですので、ブロックチェーンが攻撃されないように堅牢にできることを前提に、なるべく低いインフレーションレートでブロックチェーンを維持できることが望ましいです。

イーサリアムはETHの発行量に上限を設けていませんが、インフレーションレートを下げるよう、さまざまな議論をしている段階です。なお、ビットコインの総供給量やその後の問題についてはこちらの記事で解説をしました。

このようにインフレーションレートについて考えることは長期投資をしている投資家にとっては重要なトピックです。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

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