キャッシュレス・消費者還元事業とは

最近はスマホアプリで気軽に支払いができるサービスが登場して、大きく注目されているキーワードが「キャッシュレス」です。
世界から見ると日本のキャッシュレス比率はまだまだ低いですが、東京オリンピックで世界から注目されるということもあり、経済産業省がキャッシュレス化に取り組んでいます。

そんな中で、消費者にとっても企業にとってもインパクトが大きいのが、キャッシュレス・消費者還元事業です。

還元事業という名前からもわかるとおり、消費者にとってメリットがあるものですが、どのような仕組みなのか詳しく解説します。

話題のキャッシュレス決済!メリットやおすすめのサービス、種類、特徴、使えるお店は?

キャッシュレス・消費者還元事業とは


キャッシュレス・消費者還元事業とは、2019年10月1日から2020年6月30日まで実施が予定されている経済産業省による施策です

10月1日は消費税が8%から10%へ増税される予定ですが、それと同時にキャッシュレス決済を利用した消費者に対してポイント還元を行い、負担を軽減するのが目的です。

飲食店や小売店などで現金ではなくキャッシュレス決済をすると、一般の業者は5%、大手フランチャイズチェーン店では2%のポイント還元が実施されます。

そうすることで消費税は2%上がりますが、ポイント還元により実質のところ消費者の支出は軽減され、景気が悪くなるのを防ぐ狙いです。

同時にキャッシュレス決済の利用を促進し、経済産業省の目標である、「2025年までにキャッシュレス比率40%」に一気に近づけるという目的もあります。

ポイント還元は、国がキャッシュレス決済事業者に補助金を出し、キャッシュレス決済事業者が消費者にポイントを発行する仕組みです。

キャッシュレス、消費者還元事業の対象となる支払い方法は、クレジットカードデビットカード、電子マネーに加えて、2018年から一気に知名度が上がったスマホのQRコードもあります。

キャッシュレス・消費者還元事業のメリット


消費税増税による家計の負担を軽減し、同時に日本のキャッシュレス化を進める目的のキャッシュレス、消費者還元事業ですが、事業者にとってはどのようなメリットがあるのか解説します。

決済手数料の3分の1を国が負担してくれる

事業者にとってのメリットは、決済手数料の1/3を国が負担してくれることです。

クレジットカードやスマホ決済などのキャッシュレスサービスでは決済手数料は消費者ではなくキャッシュレスを導入している店舗が負担しています。

キャッシュレス・消費者還元事業の期間中はその決済手数料を国が補助するため、低コストで導入が可能です。

消費者の負担減で購買促進が見込める

キャッシュレス・消費者還元事業のポイント還元は、一般の店舗は5%、大手フランチャイズチェーンは2%です。

消費税の増税は2%のため、5%還元すれば実質は増税前よりも負担が軽くなります。

さらに食料品は軽減税率が適用されるため、消費税は8%に据え置きでポイント還元を受けることが可能です。

消費者はキャッシュレス決済が可能な店舗を積極的に利用すると考えらるため、キャッシュレス決済を導入することで購買促進が見込めます。

釣り銭の用意が不要になる

事業者の側としてはキャッシュレス比率が高まることで、釣り銭の用意が少なくて済むこともメリットです。

店舗を運営するコストを削減することができます。

キャッシュレス・消費者還元事業の対象となるのは?


キャッシュレス・消費者還元事業の対象となる決済方法は、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済です。

キャッシュレス決済を提供するキャッシュレス事業者は、キャッシュレス・消費者還元事業が始まるまでに経済産業省で加盟店登録を行います。

決済事業者の加盟店登録について

決済事業者の加盟店登録の受付期間は、2019年5月中旬から2020年4月下旬の予定です。

登録の流れ

加盟店登録の流れは、経済産業省のウェブサイトから必要書類をダウンロードし、必要事項を記入して電子メールにて提出し、事務局で審査が行われ問題なければ登録が完了です。

登録要領についても経済産業省のウェブサイトに掲載されています。

対象外となる事業者は?

キャッシュレス・消費者還元事業の対象外となるのは以下のような事業者です。

  • 公共法人
  • 金融商品取引業者
  • 銀行
  • 仮想通貨交換業者
  • 農業信用基金協会
  • 漁業信用基金協会
  • 信託会社
  • 保険会社
  • 保険医療機関、保険薬局
  • 介護サービス事業者
  • 社会福祉法に規定される社会福祉事業
  • 学校
  • 風俗店
  • 暴力団、反社会的勢力に関係する事業者
  • 宗教法人
  • 保税売店
  • 法人格のない団体

対象外となる品は?

また、対象となる事業者が提供するものであっても、以下のような品物または取引はキャッシュレス・消費者還元事業の対象外です。

  • 有価証券
  • 郵便切手
  • 印紙
  • 商品券
  • プリペイドカード
  • 四輪自動車
  • 新築住宅
  • 宝くじや競馬などの公営ギャンブル
  • 給与、賞与

中小・小規模事業者のメリットは?


キャッシュレス・消費者還元事業は中小・小規模事業者にとっても以下のようなメリットがあります。

  • 端末導入の負担がゼロに
  • 決済手数料が3.25%以下になり、国が決済手数料の1/3を補助
  • 消費者にポイント還元されるため、キャッシュレスを導入すると売上アップ
  • 現金を扱う量が減りコスト削減に

キャッシュレス決済を行うための端末や機械の導入費用が無料となるため、コストをかけずにキャッシュレス決済が導入可能です。

店舗がキャッシュレス決済会社に支払う決済手数料を国が1/3補助してくれるため、経費の削減となります。

消費者は現金ではなくキャッシュレス決済を利用したときのみポイント還元されまるため、キャッシュレス決済を導入すると売上げアップが見込め、さらにレジで準備する釣り銭を減らせるため、そのことでもコスト削減が可能です。

決済サービス一覧

消費者にポイント還元が実施される決済サービスは以下のものです。

  • クレジットカード
  • 電子マネー
  • QRコード決済
  • EC事業向け(オンライン)決済サービス

多数のキャッシュレス決済サービスが対象となり、店舗の導入コストがかからないQRコード決済となるため、小規模の事業者でも参加しやすくなっています。

登録の流れ

中小・小規模事業者の登録の流れは以下のようになります。

  1. 自分の店舗のキャッシュレスの対応状況を確認
  2. すでにキャッシュレスサービスを導入しているなら、加盟店IDを持っているか確認したうえで、登録審査を受ける
  3. これからキャッシュレスサービスを導入する事業者は、経済産業省のホームページから制度対象の決済事業者を選び、制度への参加手続きを行う

すでに多くのキャッシュレス事業者が仮登録済み


キャッシュレス・消費者還元事業はまだ準備段階ですが、経済産業省のホームページによると、すでに多くのキャッシュレス事業者が仮登録をすませています。

たとえば電子マネーの会社では、イオンクレジットサービス株式会社、楽天Edy株式会社、株式会社リクルートライフスタイル、トヨタファイナンス株式会社などがあります。

QRコード決済では、楽天株式会社、PayPay株式会社、株式会社Origami、LINE Pay株式会社など、スマホ決済で注目されている有名企業も。

EC事業者向け(オンライン)決済サービスとしては、楽天銀行株式会社、ソニーペイメントサービス株式会社、株式会社Paidyなど大手企業の名前があります。

中小規模の事業者としては、自社の店舗に上記のような大手企業の有名なキャッシュレスサービスを端末費用無料、設置費用も無料で導入できるチャンスです。

経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業は消費者だけでなく事業者にとってもメリットがある事業となります。

キャッシュレス決済を始めてポイント還元でお得に生活


キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月に予定される消費税の増税で景気が悪くなるのを防ぐために、キャッシュレスで支払うと最大5%の還元をするというものです。

消費者としては、キャッシュレス・消費者還元事業の期間は通常よりもさらにお得にキャッシュレスサービスを使うことができます。

ただし、自分に合ったキャッシュレスサービスを探して、しかもそれをしっかり使いこなせるようになるまでには少し時間がかかることも。

キャッシュレス・消費者還元事業のチャンスを最大限に活かすために、今のうちにキャッシュレス決済を始めておくとよいでしょう。

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