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今年4月にICO(イニシャル・コイン・オファリング)で1億3,300万ドル(約150億円)を調達した「Basis(ベーシス)」が、米国の証券取引法による影響を鑑みた結果、プロジェクトを解散し、調達した資金を投資家に返却することを公式サイトで発表した。

Basis(ベーシス)とは、どのようなプロジェクトだったか?

Basis(ベーシス)は、仮想通貨が抱える問題点である「ボラティリティー(価格変動性)の高さ」を解決するため、1米ドルの価格と連動するステーブルコインの実現を目的にスタートしたプロジェクトだ。ステーブルコインの発行自体に目新しさはないが、価格を安定させるための方法として、高度なアルゴリズムに基づく自動供給量調整をおこなうことが画期的で、投資家から高い評価を受けていた。

Basisの投資家には、Andreesseen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)やGoogle Ventures(グーグル・ベンチャーズ)、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)などの大手VC(ベンチャーキャピタル)が名を連ね、市場からの期待も大きいプロジェクトであった。

Basis(ベーシス)が解散となった理由をまとめる

公式サイトの発表によると、Basis(ベーシス)の解散理由をまとめると次のようになる。

まず、米国の規制ガイダンスが明らかになるにつれ、発行するトークンが証券に該当することは避けられないと弁護士と合意。すると、未登録の証券という扱いによりトークンは譲渡制限の対象となり、流動性と耐検閲性が損なわれてしまう。これによって、Basisの価格の安定性とユーザーへの魅力が失われるため、プロジェクトを解散し、資金を投資家に返却することが妥当と判断。

Basisは、上述したシナリオを避けるためあらゆる代替案を検討したが、結果として他に活路はなかったようだ。

Basis(ベーシス)の解散は、始まりにすぎない?

Basis(ベーシス)は、規制ガイダンスを考慮した結果、解散することになった。個人的には、これは始まりにすぎないと考える。規制に引っかかるだろうICOプロジェクトは、Basisの他にもたくさんあるからだ。

来年は、これらのプロジェクトがBasisと同じような末路を辿るケースが多くみられるのではないだろうか。いや、もっと悲惨になるかもしれない。なぜなら、投資家に資金を返却できないICOプロジェクトは決して少なくない。これから一体どうなるのか、注目する必要がある。

(文・師田賢人

関連:ICOに過剰な期待は禁物?2017年ICOの86%は公開価格割れ(2018年10月公開)

参考:Basis公式サイト


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