5Gの通信社会におけるブロックチェーンの可能性

近年ブロックチェーン業界では、通信業界への参入事例が多く見られる。こういった現象の背景には、ブロックチェーンだけでなく、テクノロジー業界全体の変化によるものの影響が深く関連している。

代表的な事例は下記の点が挙げられる。

  • 5Gによる通信の高速化と多元接続の実現
  • IoTによるデバイス間の通信
  • 他者から個人の情報を守るためのプライバシー管理

それでは、ブロックチェーンを活用する通信事業サービスについて、その一部を紹介しよう。

SIMカード型ウォレット「Telx」

仮想通貨関連事業と通信事業を進めるテルクス(Telx)社はSIMカード型ウォレットを開発した。これは、スマホのSMS経由で仮想通貨を送り、保管する事を可能にしたサービスである。

対応通貨は現在7銘柄対応。

  • ビットコイン(BTC)
  • イーサリアム(ETH)
  • ライトコイン(LTC)
  • リップル(XRP)
  • ダッシュ(DASH)
  • ジーキャッシュ(ZEC)
  • ビットコインキャッシュ(BCH)

Telxの公式発表によると対応国は180カ国あり、その中には日本も含まれている。ただし、ZECやDASHといった匿名通貨と呼ばれるものは日本での取扱いが控えられていることもあり、機能制限もしくは対応中止といったことも懸念される。

通常、暗号通貨の送金時にはウォレットと、それに付随するアドレスが必要になってくるが、Telx SIMカードを使えば送金先の電話番号さえ分かれば、国境を超えた送金が可能になる。SIMカードの価格は17ドル(約1,800円)と、一般的に見れば比較的安価なため、ユーザーにとっては気軽に購入しやすい価格帯になっている点にも注目したい。

仮想通貨取引所フォビ(Huobi)もスマホ開発

仮想通貨取引所であるフォビ(Huobi)が開発した「アキュート・アングル(Acute Angle)」は、Android対応の最新型ブロックチェーンスマートフォンだ。中国で既に発売が開始されており、価格帯は515ドル(約55,000円)となっている。初期設定で10HT(Huobiの取引所トークン)が記録されているという。機能として、仮想通貨ウォレット、DApps専用のアプリストア、オプション機能としてコールドウォレットにも対応するようだ。

今後は東南アジアに向けたプロモーションを強化し、2019年第4四半期にはそちらでも販売を開始する予定である。

サムスンはKakaoと提携して開発を進める

サムスン(Sumsung)は仮想通貨ウォレットを初期インストールしたギャラクシー・ノート10(Galaxy Note10)の新モデルとして、「クレイトンフォン(KlaytnPhone)」を発表した。サムスンは韓国メッセージアプリ市場でシェアNO.1を誇るKakao(カカオ)とタッグを組んだことでも話題となっている。

このモデルにはKakaoの独自ブロックチェーンKlaytn(クレイトン)を基盤としたDAppsアプリやウォレットが搭載されているだけでなく、購入者にはKlaytnのネイティブトークンであるklay(クレイ)が一定額付与される仕組みになっている。

今後の通信事業業界とブロックチェーン

今後は5GやIoTの普及で、ありとあらゆるモノがインターネットと接続され、またその伝達スピードも今までの比ではなくなり、現在のビジネスモデルに大きな変化をもたらすことになる。また、企業だけでなく消費者の意識も個人情報保護など、プライバシー管理に目が向けられていることからもブロックチェーン技術が役立つのではないかと考えられる。

これにより、超高速通信や多元接続といった新しい規格に合わせた仕様のデバイス開発もさらに進んでいくのではないだろうか。中国においては開発が進んでいるようで、直近では中国大手通信企業でもある中国電信(China Telecom)もブロックチェーンスマートフォン事業に参入した。今後も中国や東南アジアを中心とした事業拡大が予想される。

参考記事
Blockchain Advances in the Telecom sector
TELX

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