クラウドファンディングとは?仕組みやメリット、注意したい点について解説

人生100年時代ともいわれる昨今、万が一のときや老後の資産を増やすために、多くの人がさまざまなものに投資をしています。
最近では数千円から初められる少額投資商材や初心者でも気軽に始められるロボアドバイザーなどもできて、いろいろな投資ができるようになりました。

そのひとつに、クラウドファンディングというのがあります。
一般的な人たちがお金を集め、自分のプロジェクトを成功させてお金を増やして返したり、商品を贈ったりするなどのメリットがものです。

クラウドファンディングについて、詳しくみていきましょう。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、自分がやりたいプロジェクトができた起案者と、それに投資する出資者の間で行われる、一種の資金調達の方法です。

事業を始めるための出資とも似ているのですが、違うのはリターンのやり方が一般的な資金投資とは異なることや、出資の際に支援者の数が多く、いろいろな人からの出資が期待できるということでしょう。
このため、より多くの人々から集金ができます。

場合によっては、利息や手数料などの負担も少なくなるかもしれない、という点も魅力です。
また、事業というほど広くしっかりしたものではなく、企業ではない個人でも参加することができるのです。このため、個人のちょっとした思い付きでも広く世界に伝えることができ、参加者にもメリットがあります。

もちろん投資としての魅力もありますが、物品を作るクラウドファンディングなら商品を送付することで成功報酬とする場合もあるのです。
魅力的なプロジェクトに投資し、成功すれば利息をつけて返金するというお金が戻ってくるクラウドファンディングもあります。
そのほかにも、株式形式や資金提供だけをする寄付型などもあり、それぞれのスタイルに魅力がありますので、クラウドファンディングに出資するときは必ずどの投資スタイルなのかを確認しておきましょう。

クラウドファンディングのタイプ

ひとくちにクラウドファンディングといっても、そのスタイルはさまざまです。
ここでは、よくある5つのクラウドファンディングのスタイルを紹介しましょう。

寄付型クラウドファンディング

クラウドファンディングの中でも返礼品を期待しない、リターンがなくても構わないというのが、この寄付型クラウドファンディングです。

これは寄付をすることを想像すればわかりやすいでしょう。
基本的にお金を投資するのではなく、実際にどこかに寄付するだけで、特に戻りやリターン、利息などは発生しません。

事業者によってはお礼の手紙や写真、進捗状況の報告などがある場合もありますが、すべての事業者がそうだというわけでもないのです。
このため、どちらかといえば社会支援やNPOへの寄付などが多いでしょう。
学校や地域への寄付もあります。

購入型クラウドファンディング

先進的な商品やびっくりするようなアイディアのあるサービスが欲しい、という場合はこの購入型クラウドファンディングが多いでしょう。

このタイプの場合、これまでになかったような商品や革新的なアイディアを持つサービスを開発したい人へ投資するというスタイルです。
リターンは基本的にその開発したあとの商品そのものやサービスそのものですので、商品に魅力を感じた人が投資をすることが多いでしょう。

このため、投資をする人は商品そのものに魅力を感じていることが多いようです。
この購入型クラウドファンディングについては、さらに二つのスタイルがあります。
「All or Nothing型」というのと「All In型」です。
クラウドファンディングには目標金額という設定があります。
その目標金額に達成したらプロジェクトを始めるのが「All or Nothing型」で、こちらは目標金額が集まらない限り、プロジェクトを開始することはありません。
ですが「All In型」の場合は目標金額が集まらなくてもプロジェクトを開始します。

このため、場合によってはプロジェクトが始まらないことも考慮しておきましょう。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)

純粋な投資としてであれば、比較的手軽にできるのが融資型クラウドファンディングというものです。
こちらは別名をソーシャルレンディングともいいますが、日本では比較的ソーシャルレンディングという単語の方が有名でしょう。
この場合、戻ってくるのはお金になります。
商品型の場合は投資して商品が戻ってきますが、融資型の場合はいろいろな人がいろいろなプロジェクトに投資をして、配当としてお金が戻ってくるのです。
このため、一般的な投資にかなり近いスタイルではないでしょうか。

金額について、またそれぞれの配当のリターンや利率、どのタイミングで戻ってくるか、などはそれぞれのプロジェクトごとに違いがあります。
また、投資に関わる法規制があるため、その点も注意したいところでしょう。
当然税金なども発生しますので、注意しておきましょう。

ファンド投資型クラウドファンディング

もしクラウドファンディングでより大きいリターンを得たい、それも商品やお金でのリターンを期待するのであれば、このファンド投資型クラウドファンディングというのがおすすめです。

ファンド投資型クラウドファンディングの場合、運営業者が法律の基準を満たし、なおかつさまざまな事業者へ投資することができます。
投資後は売り上げの一定割合をリターンという形で得られますし、中には物品と金銭の両方でリターンがある場合もあるのです。
分配金という形のリターンと商品という形でお礼があり、なおかつ融資型のように分配金の上限があるわけではありません。

このため、比較的大きな分配金が発生する場合もあります。
また、ほかのスタイルであれば投資先が個人や不明瞭な場合が少なくありません。
ですが、このファンド投資型であれば投資先は公開されており、信頼性も高い傾向があるようです。

その代わり、投資先での運用や成長がうまくいかない、事業に失敗したような場合は分配金は発生しません。

株式投資型クラウドファンディング

最後に、株式投資型クラウドファンディングというのもあります。
こちらは企業の株に投資するのですが、違うのは未上場の企業が多いということでしょう。
基本的にこのスタイルはクラウドファンディングを行う会社が集金し、さまざまな企業へ投資をします。

その代わり、企業は未公開株を発行し、投資者が株主となるのです。
株式投資をしている人ならわかるでしょうが、この株が大きく成長すれば当然大きなリターンが狙えます。

特に未公開株はこれから成長が期待できるベンチャー企業が多く、その企業が上場したりすれば売買益が狙える一方で、当然倒産すれば投資したお金は無駄になってしまいます。

これまで、日本で一般人が未公開株に投資できる機会はとても少なく、これからベンチャー企業などに積極的に投資できる良い機会ができました。
ですが、まだこの株式投資型クラウドファンディング自体はあまり実績がなく、リスクが高い投資方法だといえるでしょう。

クラウドファンディングはどのような流れで行われる?

クラウドファンディングにもさまざまなスタイルがあります。
ですが、基本的には「クラウドファンディング事業が募集をし、出資者が投資してリターンを得る、起案者は出資してもらい事業を成功させる」というのが基本です。
それぞれの立場ごとに見ていきましょう。

起案者の流れ

何かやりたいことがある個人や、資金を集めたいベンチャー企業など、クラウドファンディングを始める人のことを「起案者」といいます。
この起案者の方で見ると、流れとしては以下のような形です。

まず、事業を始めたり、個人で行いたいクラウドファンディングのスタイルを決めたりします。
何を作りたいか、どういうリターンを設定するか、などを決めましょう。
また、使うクラウドファンディングのサービスも選定します。

次に、起案者はクラウドファンディングのサイトやサービスに登録するのです。
それから起案者はそれぞれのプロジェクトの内容やリターンを入力します。
このとき、どういうプロジェクトにするのか明確にしておきましょう。
クラウドファンディングのサービスはその内容を審査します。
審査結果によってはプロジェクトが掲載されない・審査落ちになる場合もあるので、注意しておきましょう。

そのあと集金します。設定した募集期間が過ぎるまでか投資金額が目標額になるまで、お金が集まるまで待ちましょう。
逆に注目度が高いプロジェクトや投資先の場合、さらに期間を延ばしたり目標金額を増やしたりすることもできます。

募集期間が終わったら、いよいよプロジェクト開始です。
プロジェクトを運用し、製品を完成させ利益を出しましょう。
事業を成功させるように尽力してください。
最後に、定期的に配当を支払ったり、商品を作成したりして出資者にリターンを与えます。
ですが、この場合は利益が出なかったような場合は無理に行うわけではありません。

支援者の流れ

一方、支援者の場合はもう少し簡単です。
支援を行う人は、まず魅力的なプロジェクトを探します。
クラウドファンディングの場合、さまざまな方法がありますのでそれぞれのスタイルを探しましょう。

次に魅力的なプロジェクトが見つかった場合、そのクラウドファンディングのサービスでアカウントを作成します。
そしてそのプロジェクトに投資をします。
投資はクレジットカードなどで手軽に利用できる場合が多いです。

最後に、投資が目標金額になればプロジェクトが成立します。
あとはリターンが成立したり、株式や配当、商品やサービスなどの形でリターンを得られたりするのです。

クラウドファンディングのメリットは?

クラウドファンディングにはさまざまなメリットがあり、起案者・支援者ともにメリットがあるのです。

誰でも気軽に参加できる

まず、参加の敷居がとても低いことです。
すべてネット上で行われ、起案者も個人やベンチャー企業など、比較的誰でも参加できます
また、支援者も個人ですし、必要な金額もそこまで高いわけではありません。
このため、敷居がとても低いのです。

支援者の顔やプロジェクトの進捗がわかる

次に、サービスによっては作っている人の顔や進捗状況がわかる、というのもポイントです。
起案者の魅力や情熱によって投資先を決める人もいるので、顔や進捗状況がわかりやすいでしょう。
中には定期的に進捗状況を公開している起案者もいますので、出資者は人柄やその企業の個性で選ぶことができますし、起案者はファンを作りやすいのです

新たな価値のあるサービスや商品が生まれる

最後に、魅力的な商品やサービスが作れること、それに関わることができるのも大きなポイントです。
魅力的な商品やサービスを作ることができる起案者と、魅力的な商品やサービスに関わることができる出資者の両方にとってWin-Winの関係となるでしょう。

クラウドファンディングで注意したい点

その一方で、デメリットもあります。
まず、どのプロジェクトも必ず成立するとは限りません
商品型の場合は目標金額に到達しないと成立しない場合もありますし、ほかの形式でも出資が集まらず成立しない場合があるのです。

元本保証ではない

商品型の場合途中で商品作成ができなくなった場合もあれば、株式投資型の場合は企業が倒産する場合もあります。
お金を持ち逃げする悪質なスタイルもあり、どちらにせよ投資した金額が必ず戻ってくるわけではありません。

手間や面倒がかかることもある

最後に、さまざまな手間がかかるほか、わりと面倒なことが多い、というデメリットもあります。
この場合は個人からの投資を対象にしているので、出資者は自分で投資先を探さなくてはなりません。
一方、起案者はたくさんのプロジェクトから魅力的な投資先となるように文章や画像を工夫したりする必要があります。

また、定期的な運用報告も個人へ向けたものが多いため、一般的な形式ばったものではなく、工夫も必要になる場合があります。

個人から個人へ、あるいは事業の成功へ

基本的にクラウドファンディングは個人から個人へ、あるいは個人から事業者・事業へ、というように行われています。
このため、良心や個性、人柄を重視することが多く、またそういった点を重視する企業も少なくありません。

まだ歴史が浅いためトラブルもありますが、夢や理想をかなえてより良い世の中にした事例もあります。
このため、利益以外にも夢のある投資方法といえるでしょう。

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