自動運転は今世界の様々な企業で実験が行われ、その技術と精度を高め続けています。
しかしまだまだ課題も多く、私たちが利用する機会は遠い未来だと思われることも少なくありません。
そんな自動運転ですが、実はすでに実用的な実証実験や導入計画が進められており、私たちが利用できるようになる未来が訪れる日も近いかもしれません。
それがMaaSを利用した自動運転の導入になります。MaaS自体あまり耳馴染みがないという方もいらっしゃるでしょう。
そのような方のためにこのMaaS、そして自動運転がどのような計画で行われ、今後私たちの生活に組み込まれる可能性があるのか、これらを簡単にですが紹介します。
MaaS(Mobility as a Service)とは
まずは基本的な知識としてMaaSとはなんなのか、その説明からしていきます。
MaaSとはMobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略であり、直訳すればサービスによる移動を指します。
1人1人、その住んでいる地域や移動手段によって、最適な方法は異なります。これを個々人のレベルで最適化するために、利用可能な移動手段を活用し、利便性を高めたものになります。
少し具体的な話をすると、例えば住んでいる地域で利用できる移動手段がバスや電車、タクシー、レンタカー、レンタサイクルなどがある場合、これを目的の場所へ行く上でニーズに合わせパッケージ化し、定額で提供されるサービスとなります。
MaaSのメリット
これはどのような利点があるのでしょうか。
まず車の所有から解放されるというメリットがあります。車があるのは便利ですが、維持費や年間の自動車税など何かとお金がかかります。
また駐車場も必要なくなります。借りていた場合は駐車場代が浮きますし、所有していた場合もその駐車場のスペースを別のことに活用できます。
最適化することによって、より多くの時間を使えるようになるため、結果として利点が多くなるということになります。
他にも環境汚染の減少、交通トラブルの低減、通勤・通学の質の向上などMaaSの導入は個人レベルだけでなく、社会全体の利益にも繋がります。
MaaS(Mobility as a Service)カオスマップ
MaaSではサービスにおいて、プレイヤー、つまりサービスを提供する企業やメーカーをサブカテゴリー別に一覧性のある1ページマップでまとめたカオスマップというものがあります。
MaaSカオスマップの2019年度版によれば、サブカテゴリーは以下のようにまとめられています。
・カーシェアリング
・バイクシェアリング
・カープール(相乗り)
・配車
・宅配・配達
・自動運転
自家用車を利用しない移動方法として様々なものがパッケージに取り込まれ、目的によって提案されるため、参入する企業が次々と増えてきています。この中でも今後の発展に期待されるのが自動運転になります。
MaaSと自動運転の普及
MaaSは自動運転の普及にも寄与すると期待されています。
先にも触れたようにMaaSは移動手段をパッケージ化するサービスになります。最適な移動手段の中には従来のバスや電車だけでなく、自動運転を利用したタクシーなども今後取り入れていくことでニーズに合わせた柔軟かつ最適な移動手段が提供できるとされています。
例えばスーパーなどで買い物をした際、帰る直前に自動運転車を手配することで所在地へと時間のロスなく到着し、家まで効率よく帰ることも可能です。
自動運転となるとまだまだ先の話、と思われることも少なくありませんが、実際にその検証はどんどん行われているのです。
自動運転の実証実験
この自動運転のMaaSへの活用を世界で初めて実証実験まで進めたのは日本の企業です。
・東京空港交通株式会社
・東京シティ・エアターミナル株式会社
・日本交通株式会社
・日の丸交通株式会社
・三菱地所株式会社
・JTB
・株式会社ZMP
この7社が行っており、「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に基づいて、空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させたMaaSへの活用を実証実験として行っています。
まだ計画段階であり、実際に実証実験が行われるのは2019年の11月になりますが、丸の内パークビルディングから成田、羽田空港までの経路で自動運転を利用した実験を行います。
スマホからこの区間の複数交通手段を一度に予約できるようにし、丸の内パークビルディングから東京シティエアターミナルまでを自動運転タクシーで、そこから成田空港や羽田空港までを空港リムジンバスでシームレスに移動できるという予定になっています。
この自動運転の導入が成功すれば、今後の自動運転のさらなる発展や普及に寄与することは間違いありませんし、世界に先駆けた先進的な交通インフラの可能性を生み出すこととなります。
現在は都市部での実験のみですが、この計画が進めばインバウンド観光客の移動効率化や、子どもやお年寄りなど交通弱者のサポート、慢性的なドライバーの不足などを解消することにも繋がります。
また広がりを見せればアクセスが悪い地方でも便利な移動手段の1つとして普及すると期待されています。
トヨタ自動車の自動運転参入
このMaaSと自動運転にはトヨタ自動車も新規事業として積極的に取り入れています。
その先駆けとして、トヨタとソフトバンクが設立し合弁会社化したモネテクノロジーズであり、2020年の東京オリンピックでは一部自動運転機能を搭載した車両での大会貢献や、2020年代前半での様々な地域でのサービス実証を目指すなどの計画が行われ、実証実験もスタートしています。
MaaSで自動運転は身近な交通手段に
MaaSはこれから私たちの生活に直結し、時間を効率的に利用でき、移動にかかるお金を抑えられるサービスとして期待されています。
現在は今ある移動手段での提案やサービスの提供がなされていますが、今後は先の自動運転など新しい価値を持ったサービスの参入も期待されます。
今後日本で開通するリニアモーターカーや、宅配などで利用され始めているドローンなどもその一例となりえるでしょう。
自動運転はまだまだ課題も多いですが、今後の実証実験や多くの事例によって安全性の確保などがなされることでしょう。
MaaSの普及が自動運転の発展、そして技術革新や普及にも大きな影響を与えていくのです。
私たちの生活の一部に自動運転による移動が導入される未来がいち早く来ることを期待するのもよいかもしれません。