仮想通貨市場から最有力と評価されていた、CBOE(大手オプション取引所)が昨年申請したビットコインETFが取り下げられたことを、24日米証券取引委員会(SEC)が発表した。
多くの仮想通貨・金融メディアがこのビットコインETFの取り下げに注目し、今非常に話題になっている。
今回は、ビットコインETFとはなにか、そして、なぜ仮想通貨市場に重要材料と注目されているのか、また認可の歴史をまとめた。
そもそもETF(上場投資信託)とは?
ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)とは、証券取引所で取引される投資信託のことを指す。
通常の投資信託では、販売所でのみ売買可能。しかし、証券取引所に上場しているため、ETFは株の銘柄のように取引所で売買することが可能となる。
販売所で購入する際には、1日に1回示される基準価格でしか売買できないのに対し、ETFはリアルタイム価格で取引売買ができるのが特徴だ。
ただ、投資信託が証券取引所に上場しETF認可されるには、非常に厳しい審査をクリアする必要がある。
しかし、一度上場すれば圧倒的信頼性と証券取引所を通じて巨額の資金を集めることができる。
そのため、多くの仮想通貨市場参加者はビットコインを投資信託として扱い、ETFに認可することで、さらなる信頼性向上と資金流入を狙っているのだ。
ビットコインETF承認のメリット・影響
ビットコインETF承認のメリット・影響まとめ
- 仮想通貨への信用が高まる
- 仮想通貨市場が活性化する
- 税制上のメリットがある
ビットコインへの信用が高まる
ビットコインETFが承認されるた場合、仮想通貨への信用が高まることが期待される。
権威のある証券取引所で扱われるということは、ビットコインが正式に「金融商品」と認められた証となるからだ。
現在は、詐欺やハッキングなど様々な被害が報じられ、リスクが高い投機商品として考えている人も多い仮想通貨のイメージが改善に繋がり、コミュニティは更に進展するだろう。
ビットコイン市場が活性化する
ビットコインETF承認がもたらすインパクトとしては、市場の活性化が挙げられる。
ビットコインETF認可でビットコインへの信用が高まることで、これまで仮想通貨への投資を懸念していた機関投資家の莫大な資金が流入してくることが予想できる。
投資家から集めた大金を動かすプロの機関投資家たちは、フィデューシャリー・デューティー(個々の投資家たちの信任にこたえるという義務)の観点から、安全性に問題のある仮想通貨への投資を避けてきた。
しかし、ビットコインETFが承認され、仮想通貨取引の安全性・透明性が高まることで、ビットコインの金融商品としての魅力が高まり、機関投資家はビットコイン市場に参入するだろう。
税制上のメリットがある
現在、仮想通貨取引による利益は雑所得として扱われており、最大55%もの税金を払う必要がある。
ところが、ビットコインETFが認可されると、証券に対する課税と同様になるため税率が約20%程度まで下がる。
ビットコインETFを巡る経緯
日付 | 出来事 |
2017/3 | ・ウィンクルボス兄弟がビットコインETFの上場を申請するも否決 ・SolidX Bitcoin Trustの上場申請が否決 |
2017/4 | ・米証券取引委員会(SEC)がウィンクルボス兄弟の申請について再審査を発表 |
2017/7 | ・LedgerXが米商品先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨の先物業者として認可 |
2018/1 | ・SECがビットコインの安全性などへの懸念を書簡で表明 |
2018/7 | ・世界有数の取引量を誇るCBOEがビットコインETFを申請
・SECがウィンクルボス兄弟によるビットコインETFの再申請を拒否 |
2018/8 | ・SECがDirexionなど3社の計9つのビットコインETF申請案否決 |
2018/9 | ・却下された9つのビットコインETFに対する見直し(10/26期限) ・CBOEのビットコインETF承認可否判断を12月まで延期 |
2019/1 | ・CBOEがビットコインETFの申請を取り下げ |
以上のように、これまでの経緯を見てみるとSECへのビットコインETF申請はことごとく否決されてきていることがわかる。