今年1月21~24日スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)に招かれたリップル(Ripple)のブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者(CEO)は、暗号資産(仮想通貨)業界の近い将来の注目すべき動向はIPO(新規公開株)であると発言しました。
2020年に仮想通貨業界からIPO出現か
ガーリングハウス氏はその中で、「今後12カ月、仮想通貨・ブロックチェーン空間にIPOが出現するだろう。われわれはその最初の企業になるつもりはないし、最後の企業にもならないが、主導する側にあるだろう。当社にとってそれは当然あるべき進化である」と語りました。
この発言がきっかけになって、仮想通貨市場の中でリップルのIPOについてさまざまな推測が始まっています。仮想通貨・ブロックチェーン分野の金融サービス会社インターアクシス(Interaxis)の共同創業者であるアダム・ブランバーグ(Adam Blumberg)氏によると、リップルはすでに米証券取引委員会(SEC)との話し合いを進めているといいます。
リップルがIPOを実施するためには、XRPが仮想通貨だが証券ではないことを米証券取引委員会(SEC)との話し合いで立証しなくてはなりません。ブランバーグ氏によると、仮想通貨発行企業がIPOを実施できる唯一の道は、それが利益を上げることができるかどうかであり、それが保証されない限りイニシャルコインオファリング(ICO)と変わらないことになります。
ICOはスタートアップ企業向けのクラウドファンディング
そもそもICOとIPOの違いは極めて大きいのです。IPOを実施できるのは、十分な実績を持った定評のある企業であるのに対して、ICOはリスクがついて回る歴史の浅い企業が試みる資金調達手段です。例えば、20件のICOプロジェクトを分析したリポートによると、45%に相当する20件中9つのプロジェクトが失敗しています。しかし一方で、時価総額8位のイオス(EOS)を含めて、11のプロジェクトが成功したのも事実です。
エニグマ(Enigma)のアリナ・キセレビッチ(Alina Kiselevich)氏は、IPOとICOの相違について次のように語っています。
「簡単に言えば、IPOは投資を通じて持ち株を一般投資家に向けて配分するプロセスであり、その投資は通常すでに確立済みの民間企業に公開されている。一方ICOは、ブロックチェーン上で投資したいすべての人々に開放されており、スタートアップ企業のためのクラウドファンディングプロセスである」
リップルは証券か否かで集団訴訟中 IPO実現の最大の障壁
ICOが必ずしも成功しない傾向が強まったこの2、3年、SECは未登録の証券を販売するさまざまなプロジェクトの取り締まりを強化しています。リップルもその対象になって注目され、2018年5月に「未登録証券の販売)として証券法違反容疑で集団訴訟が起こされました。
IPOは上場する企業の歴史に裏付けられた証券を公開することであり、いくつかの法的な制約があることによって、投資家は安心してI参加することができます。しかしICOは、分散型の特質が理由で同じことは言えません。ガーリングハウス氏が目指すIPOは実現までにいくつかの障壁が待ち受けているようです。
参考
・Ripple may have IPO dreams, but will crypto embrace it?
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