米国の大手銀行は、ビットコイン(BTC)を「犯罪者向けのマネー」と名指しして、仮想通貨関連企業との付き合いを避けてきました。しかし、バンクオブアメリカやJPモルガン・チェースをはじめとする世界の金融機関は、金融危機以降さまざまなダーティーマネーを取り扱ったことで、2,430億ドル(約26兆円)という膨大な額の罰金を支払っていることが分かりました。
仮想通貨取引所は銀行開設が難しい
仮想通貨メディアのBitcoinist.comは、クリスティーナ・コンベン(Christina Comben)氏がクレジットカードを使った体験記事(2019年3月27日)を次のように掲載しています。
「私は今週初め、良く知られた仮想通貨取引所で(仮想通貨を)わずかな額購入しようとしました。ところがどういう訳か取引は突然中断され、私は詐取行為との関連で取引銀行に呼ばれってしまった。11分間のやり取りがあって、ようやく私のクレジットカードは返却されたが、取引する時間はもうなくなってしまった」
このような話は、小口の仮想通貨ユーザーや個人のビットコイン所有者によくあること。仮想通貨取引所が銀行口座開設を試みると、状況はさらに悪いようです。ビットコインATMの最初のメーカーであるラマス(Lamassu)の例を見ると、銀行口座が1年間開設されず、ようやくスイスで口座を開設することができそうです。これは氷山の一角に過ぎません。
仮想通貨の時価総額を上回る金融機関のダーティーマネー
米国の銀行は何故、仮想通貨取引所と関わりたかないのでしょうか?大部分は、適切な規制がないこと、そしてマネーロンダリング対策(AML)が手ぬるいことでしょう。しかし、疑わしいダーティーマネーに対する過去10年間の罰金総額を見れば、金融機関は不正な資金の流れの正犯なのです。
Dan Hedl氏はTwitterに、その間の闇を皮肉って、「2008年以来の銀行への罰金は2,430億ドル、仮想通貨の時価総額は1,340億ドルどちらが新たな不法な活動に利用されているのか?」と投稿しています。
Bank fines since 2008: $243B
Crypto market cap: $134B
Which one is used for illegal activities again?
— Dan Hedl (@danheld) 2019年3月10日
世界最大手投資持株会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主で会長兼CEOであるウォーレン・バフェット氏のビットコインに対する見解は、余りにも有名です。同氏はビットコインを「殺虫剤の2倍」の悪影響があると発言、「ビットコイン(BTC)は詐欺であり、妄想そのもの。ペテン師やマネーロンダラーがあふれている空間」と表現したことがありました。
ウエルズ・ファーゴ(Wells Fargo)は、不正行為容疑で何と93回も罰金を科せられました。同行の罰金総額は2000年以来、148億ドル(約1兆6,400億円)にも達しました。ちなみにビットコインに科せられた罰金はこの間ゼロでした。
金融機関は不適切なAML対策で長年にわたり苦境に陥ってきました。ブルームバーグ(Bloomberg)の計算によると、ドイツ最大のドイツ銀行は、AMLに関連する罰金として、過去10年に180億ドル(約2兆円)を支払いました。この中には同銀本社が18年11月、タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用して企業や個人が節税していたことを裏付ける「パナマ文書」関連のAML容疑で立ち入り検査を受けたことが含まれています。
金融機関がこれほど多額の罰金を科せられても、なおこの手法が続けられる理由は、そのような違法活動による利益が、科料に比べて極めて大きいからです。そんなうまい話は、中小の仮想通貨関連企業にはありません。仮想通貨の時価総額は、AML関連の罰金に比べればあまりに小さく見えますがどうでしょうか?
もう1つ確かな現実があります。金融機関はそれが脅威になると見ていることから、ビットコインやその他仮想通貨のイノベーションを抑制しようと努めていることです。
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参考
・Bitcoinist.com