ビットコイン(BTC)のマイニングには専用の機器を稼働させ、その機器の運用には多くの消費電力を伴うことは周知の通りです。
実際にどのくらいの電力が使用されているのか?その数字をビジュアライズするサイトをケンブリッジ大学が作成しました。ビットコインのマイニングがどれだけ電気を消費しているかを、ハッシュレート・発売されているマイニング機器などから推定して数字を出しています。
世界の電気の0.25%がビットコインのために消費。
同サイトによるとグローバルで生産された電気の0.25%がビットコインのために消費されていると試算されています。
出典:https://www.cbeci.org/
さらにこの試算は、ビットコインだけであり、その他のPoWの暗号通貨であるイーサリアム(Ethereum)やジーキャッシュ(Zcash)、モネロ(Monero)などは含まれていません。米環境保護庁(EPA)のマックス・クラウス氏は、暗号通貨のマイニングにおける消費電力は、スロヴェニアの消費電力に匹敵するとコメントしています。またシティグループは、このペースで推移すれば、遅くないうちに世界第4位の電力消費国に匹敵するとも予測しています。
ビットコインの価格が今から10-100倍に上がることが非現実的ではなく、その時、当然消費電力も相関して上昇することは間違いないでしょう。そういった将来を想像すると、ビットコインの消費電力が多いという問題や、それによる環境破壊の深刻さは妥当性のある問題であると言えます。
PoWからPoSへの移行は必然か?
イーサリアムは、Etheruem2.0の実装に伴い、段階的にPoSへの移行することは既に知られています。また、多くの新興のブロックチェーンはほとんど全てPoSに類するアルゴリズムを採用しています。イオス(EOS)やコスモス(COSMOS)、ディフィニティ(Dfinity)、ポルカドット(Polkadot)、IOSTなどです。
ビットコインコミュニティをはじめとしたPoW派はPoSへの移行について危険性が高いことや、富の分配(新規コインの発行)の観点でリスキーであることを頻繁に指摘します。
PoWは、ネットワークのセキュリティの維持が投下されている計算力であるというシンプルな点が好まれ、また電気代というネットワーク外部のエネルギーを連続的に投下されているため、コインの価値が説明しやすいことが度々主張されます。
実際にPoSを持続性が高い形、かつ強固なセキュリティを保つ形で実装することは難易度が高く、イーサリアムはPoSの移行について、長い議論を重ねてきました。そして、その議論は進んでいて段階的な移行は間もなく始まるものの、完全なPoS移行にはまだ時間を必要とします。
しかし、このような消費電力を顧みるに、持続性とセキュリティが高いPoSのネットワークの実現を模索することは必然であるとも言えるでしょう。
参考
・Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index
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