
著名なエコノミストで暗号資産(仮想通貨)のマーケットアナリストであるアレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏がこのほど、XRPの価格がゼロになるチャートを示して業界を仰天させています。
このチャートは、同氏がテクニカル指標を使って、仮想通貨の価格変動を基に示したものです。その結果XRP価格はスタート時点の選び方で、ゼロと60ドルの相矛盾した2つの価格予測が成り立ちうることを示して、やんわり投資家に注意を喚起しています。
線形回帰法による2つの相反する価格変動チャート
クルーガー氏は2019年11月27日、TwitterにXRPチャートを投稿しました。そのチャートは、線形回帰(linear regression)という統計学上の回帰分析法を利用しています。線形回帰は統計法の最もシンプルなモデルであり、実際のデータ分布を直線で表現する手法です。
Regressing $XRP against time starting Jan/1/2018 using a linear regression forecasts price to hit zero next February. #Perspective pic.twitter.com/gLh4kZZv06
— Alex Krüger (@krugermacro) November 27, 2019
同氏は、2種のチャートを27日と28日両日に分けて投稿しています。まずスタート時点を2018年1月1日として投影すると、XRP価格チャートは右肩下がりとなっており、直線で表示すると最後はゼロに到達します。同氏はチャートをコメントして、「線形回帰法を利用して2018年1月1日をスタート時点とするXRP価格は次第に下落し、2020年2月にはゼロを付ける予想となった」とコメントしていています。
この悲観的なチャートにフォロワーが激しく反応したため、同氏は翌日2つ目のチャートを掲載、XRP価格は2030年までに60ドルになるチャートを示して「喜ばしいことにユーザーはすべて裕福になる」と投稿ています。
Here. I fixed it. $XRP at $60 by 2030. XRP army should be happy now. You will all be immensely wealthy. pic.twitter.com/rNUECJb7ia
— Alex Krüger (@krugermacro) November 29, 2019
スタート時点の違いで結果が異なることを数値モデルで示す
クルーガー氏は「これは予測ではない。スタート時点もしくはサンプルを選択することによって導入される、統計処理の結果のゆがみ(揺れ)を説明するため、XRPと単純な数値モデルを利用したもの」しています。
長期的ゆがみはスタート時点もしくは最低価格からの揺れ、短期的なゆがみはトップ価格からの揺れという2つのチャートを比較して、数値的モデリングに基づくXRP価格の変動予測は、クルーガー氏によると、「価格予想は、スタート時点をどこに設定するかに大いに関わってくる。だからXRP価格が20年2月までに、ゼロにまで下落するとは断言できない」とつぶやきます。
クルーガー氏の最初の投稿は大きな反響を呼び、スタート時点を設定し直し30年までにXRPが60ドルを付けると投資家にとって好ましい2つ目のプロジェクションをあえて示して見せた訳です。
リスキーな仮想通貨への投資はスタート時点が大切
同氏は極めてリスキーで価格変動率が高い暗号資産の世界に投資する人は誰でも、スタート時点で自分の気持ちを十分チェックしてほしいと強く助言しています。そうしない場合、すべてを失う可能性が高まると強調しています。
クルーガー氏は結論として、助言を無視する特に個人投資家に対して、「私は大方の仮想通貨投資家が、無一文もしくは破産するだろうとの結論に達している。単純にS&P500に投資する方がはるかに良いだろう」と述べ、さらに次のように助言しています。
「仮想通貨投資家は徐々に偏見と無分別な考え方をするようになり、コインに余りにも執着することになる。コインがあたかも宗教を表すかのようだ。感情と宗教心とは、投資を決定する際には切り離すことが最善の策だ」。
参考
・XRP Heading to $0 or $60? Analyst Clarifies Controversial Chart
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