イオス(EOS)がICOで調達した40億ドルはどこに行ったのか?

イオス(EOS)が調達した資金の用途は?

イーサリアム(Ethereum)の競合とも揶揄されるスマートコントラクトを実行できるブロックチェーンであるイオス(EOS)は、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)時に40億ドル(約4,400億円)を資金調達したことは話題になりました。その資金の使いみちに関してはうわさが絶えなかったですが、ブルームバーグ(Bloomberg)の取材により、明らかになりました。

また、EOSのネットワークを主導する会社であるブロックワン(Block.one)が自社株の買戻しを発表しました。現在、block.oneのバランスシートはおおよそ下記のようになっていると読み取れます。

金額 使用用途
22億ドル(約2,200億円) 現金や米国債に投資中。
10億ドル(約1,100億円) EOSのネットワーク上で開発するアプリケーションレイヤーに投資するファンドを組成およびリミテッドパートナー(LP)出資。そのうち、すでに1億7,400万ドル(191億4,000万円)投資中。
5億ドル(約550億円) ビットコインを中心とするアセットを保有。
2億3,000万ドル(約253億円) 自社株の買戻し。

ここに含まれないうちのいくつかは従業員のコストや法務対応のコストではないかと推定できます。ピーター・ティールをはじめとした最初期の投資家は、約60倍にもなる6,567%のリターンを得たと報道されています。自社株については、2億3,000万ドル(約253億円)の評価額で10%を買い戻されています。ピーター・ティールと投資ラウンドは異なりますが、ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)も一部株式を売却し、リターンを得ています。

ソフトウェア開発に40億ドル(約4,400億円)も必要ないだろうと批判されても、これだけ潤沢な資金を持つネットワークサポート企業が存在することはEOSにとって大きいアドバンテージです。つまるところ2,500億円程度の大半の資金は未だ現金で保管されており、EOSを長期的にサポートできる体制が整っていると言えます。

どのように調達されたか

EOSのICOの形式は、非常に特殊でした。1年間続いたICOで、40億ドル(約4,400億円)をどのように調達したか、ICOでのディストリビューション方式を解説します。

まず10%のEOSトークンは、EOSのソフトウェアを開発するBlock.oneに分配されます。次に20%のトークンが、第一次ICOで売り出されます。残りの70%については、以後24時間ごとに200万トークンが売り出しされ、売り出し時の価格は、そのときの需要によって分配されます。

こういった流れで、ICOは約1年間続きます。その間、EOSトークンはセカンダリーマーケットでも取引をされ、投資家は、市場で買うかICOで買うかのどちらかを価格比較し、選択することができました。このICOについては、誰にでも投資の権利があり、価格と分配方式は市場原理に委ねたことで、最も公平なICOであったとBlock.oneは主張しています。

また、EOSのホワイトペーパーには、「販売するトークンは一切使い道のないトークンであり、それはメインネットに移行をしても変わらない」と書かれていた点について、多くの批判の声もありました。しかし、この記述は、1年の長期ICOで規制の動向が変化したときのために張った予防線ではないかと考えられます。

2017年に1年間にわたるICOを開始すると発表をしたとき、さまざまな批判がありましたが、現在振り返ると、同プロジェクトの資金調達は非常に賢い方法であったと言えます。現在のEOSの動向は、こちらのレポートで解説をしています。

なおGelaxy Digitalなどは、まだBlock.oneの株式の大部分を保有しており、引き続きEOSをサポートするとコメントしており、EOSの今後の展開が注目されます。

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参照
Bloomberg


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