
日本で給与所得以外で利益を得た場合、ほとんどの場合は確定申告が必要になります。
仮想通貨を利用した利益も例外ではなく、確定申告の義務が発生します。
しかし、アルバイトや正社員など給与所得しか得たことがない方にとっては、仮想通貨による利益をどのように確定申告すればいいのかわかりません。
そのため今回は仮想通貨による利益をどのように確定申告して納税する必要があるのか詳しく解説します。
仮想通貨とは?種類、仕組み、マイニング、メリットや税金についても解説
仮想通貨とは
別名「暗号通貨」とも呼ばれる仮想通貨は日本で使える金銭として機能する通貨として法律で定められており、日本円の法定通貨と同じように支払いで使えるものとして定義されています。
支払いに使えるものに電子マネーもありますが、こちらは通貨として定義されていないため、仮想通貨とは扱いが全く別物となります。
そして、普段私達が日常的に使っている日本円は硬貨や紙幣といった実体が存在する通貨ですが、仮想通貨にはそのような実体がないデジタルデータとなっています。
仮想通貨の利益は確定申告で納税
仮想通貨で得た利益は法律で定められた所得になるため、税金を納める必要があります。
この仮想通貨の利益区分は雑所得になるのですが、他の所得が給与所得のみで仮想通貨の利益を含む雑所得の合計額が20万円未満の場合は確定申告の義務はありません。
しかし給与所得以外の所得がある場合は、たとえ雑所得の合計金額が20万円未満でも確定申告をする必要があります。
仮想通貨には税金がかかる
仮想通貨の利益が雑所得に区分される以上、一定金額以上稼いだ場合は税金が発生します。
雑所得は税率が完全固定ではなく、課税される金額に合わせて変動する累進課税制度が採用されています。
仮想通貨にかかる税金の計算方法
先ほど累進課税制度と言いましたが、この累進課税制度は計算方法を知っていないとかなり複雑で間違えやすいものとなっています。
例えば、雑所得の場合は「所得が4,000万円超の方は税率45%」となっていますが、4,000万円以上の方はきっちり45%分税金として提供されるのかというと違います。
雑所得の計算は丁寧に行うとかなり複雑ですが、簡単に計算するだけであれば以下の計算を行うだけで雑所得による税金を計算することができます。
「雑所得額 × 税率 × 控除額」
まずは、雑所得の税率と控除額一覧を見ていきましょう。
金額 | 税率 |
~195万円 | 5%(控除額:0円) |
195万円~330万円 | 10%(控除額:9万7500円) |
330万円~695万円 | 20%(控除額:42万7500円) |
695万円~900万円 | 23%(控除額:63万6000円) |
900万円~1,800万円 | 33%(控除額:153万6000円) |
1,800万円~4,000万円 | 40%(控除額:279万6000円) |
4,000万円~ | 45%(控除額:479万6000円) |
例えば仮想通貨の利益が200万円あった場合の計算は以下のようになります。
200万円 × 10% – 9万7,500円 = 10万2,500円
そのため、今回の場合ですと200万円の10%が税金となるわけではなく、200万円の10%から控除額を差し引いた金額が納める必要がある税金となります。
仮想通貨マイニングの報酬や取引での損失はどうなる?
仮想通貨のマイニングや取引で損失を出してしまった場合、他の雑所得があった場合はその損失と合算することができます。
しかし、他の所得と合算することができない上に来年に繰り越すこともできません。
ですが、株式投資の場合は損失を来年に繰り越すことができ、前年に損失を出していた場合はその損失と合算することができます。
仮に、仮想通貨と株式投資でそれぞれ1,000万円の損失を出したとします。
そして、翌年にどちらも1,000万円の利益を出したとしましょう。
この場合、仮想通貨は来年に繰り越すことができないので、翌年の仮想通貨利益は1,000万円として税金が計算されます。
しかし、株式投資の場合は前年に出した1,000万円の損失を繰り越すことができるため、翌年の利益の1,000万円と相殺することで損益が0円になります。
損益が0円ということは、税金が発生しないということであるため、1,000万円まるごと受け取ることができるということになります。
仮想通貨の確定申告をする方法
仮想通貨による税金を確定させるためには必ず確定申告書類を提出する必要があります。その確定申告について詳しく解説していきます。
確定申告に必要な書類
確定申告の以下の書類が必要です。
- 本人確認書類
- 給与所得を得ている方は源泉徴収票
- 必要に応じて医療費控除などの控除額を証明できる書類
- 確定申告書A
- 確定申告書B
- 青色申告の方は青色申告決算書
この本人確認書類に注意が必要で、マイナンバーカードを持っている場合はマイナンバーカードだけで提出することができますが、マイナンバーカードを持っておらずマイナンバーが記載された通知カードしか持っていない場合はその通知カードと写真付きの身分証明書類が必要となります。
アルバイトや正社員で給与所得しかもらっていない方は、基本的に本人確認書類と確定申告書AとB、そして源泉徴収票のみで行えます。
確定申告の書き方
記入が必要な書類は確定申告書 AとBだけが一般的です。
確定申告書Aには、収入の種類別に金額を記載する項目があり、それぞれ給与所得額や一時所得などを記入します。
仮想通貨による利益は一時所得となるので、収入金額や所得金額を記入する際は、仮所得区分が「一時」となっている箇所に記入しましょう。
慣れている方であれば簡単に書けるかもしれませんが、今まで確定申告をしたことがない方にとっては非常に難しく見えるはずです。
そのような方たちのために楽に確定申告書類を作成できる方法があるので紹介します。
確定申告を簡単に済ませる方法
昔は確定申告書類の作成を手書きで作成することが一般的でしたが、インターネットやパソコンが普及している現在は、パソコンやスマホを使って簡単に作成できるようになっています。作成だけでなく提出も簡単になっているためそれぞれ解説していきます。
確定申告ソフト
確定申告用の書類作成を簡単に済ませるには、弥生の青色申告などのクライアントソフトを使ったり、Freeeなどのクラウドサービスを利用することが一般的です。
仮想通貨による利益を登録し、確定申告の書類作成に伴う質問(給与所得はありますか?といった基本的な質問)に答えていくだけで、自動的に確定申告書類が作成され、あとは作成された書類をコピーして税務署に持参するだけで確定申告が完了します。
e-Tax
さらに確定申告を楽にしたい場合は、e-Taxという電子申告システムを利用することで、パソコンで確定申告書類を作成してそのままパソコンで提出できるようになります。
e-Taxは先ほど紹介したやよいの青色申告やFreeeといった青色申告ができるほとんどのサービスが対応しているため、e-Taxのやり方を覚えられれば、税務署に行く時間を省くことができます。
仮想通貨の確定申告をマスターしよう
仮想通貨の利益の影響で確定申告が必要になるということは、それくらいは稼ぐことに成功していることになります。確定申告をするのが面倒と思うかもしれませんが、日本に住む以上国民としての義務ですのでしっかりこなすようにしましょう。
また、仮想通貨で出た損失は翌年に繰り越しできないと言いましたが、年をまたぐまでは損益を合算することができるため、その間に損失をゼロにすることができれば問題ありません。
仮想通貨は24時間365日いつでも気軽に投資することができる投資対象ですので、試しに始めてみると良いでしょう。